パワレポ連動企画

“マザボ愛”があふれ出る 怒りの座談会 後編
~DOS/V POWER REPORT主力執筆陣がホンネで語る~

マザーボード100選 2015(8)

DOS/V POWER REPORT 2015年1月号

 このコーナーでは、こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の最新号と連動、同誌2015年1月号の特集記事「マザーボード100選 2015」をほぼまるごと掲載する。

 第八回目の今回は、DOS/V POWER REPORTの主力執筆陣が、2014年のマザーボード事情について「ホンネ」で語り合う座談会の後編を掲載する。前編についてはこちらを参照のこと。

 なお、この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年1月号は、絶賛発売中。1月号では今回の特集のほか、“即戦力”になるフリーソフト特集、次期OS「Windows 10」Technical Preview使用レポート、髙橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事が載っている。また、特別付録として「マザーボード&ベアボーン超図鑑 2015」と題した小冊子が付いてくるなど、盛りだくさんの内容だ。


- DOS/V POWER REPORT 2015年1月号 Special Edition -


座談会の様子
出演陣は、左からDOS/V POWER REPORT編集長佐々木修司、ITライター鈴木雅暢竹内亮介滝 伸次

ハイエンドCPUのHaswell化がX99マザーを開花させた

[佐々木] 2014年は8月末にHaswell-Eとその対応チップセット「X99」を搭載したマザーボードがリリースされました。このタイミングで、IntelのデスクトップCPUはほぼHaswell化されたわけですが、マザーボードのほうはIvy Bridge-E世代とどう変わったでしょうか。

[滝] Ivy Bridge-Eの世代では、チップセット側が更新されなかったので、新製品はほとんどなくリニューアルばかりでしたね。その点、X99世代はバリエーションが豊富です。

[鈴木] Z97搭載マザーボードのほうは機能が成熟している分個性が見えにくいので、逆にX99搭載マザーは、いろいろバリエーションがあっておもしろいですね。
[佐々木] 確かに。ASUSTeKも独自仕様の「OC Socket」を投入してきましたし。

[鈴木] Haswell-Eは消費電力も下がりましたし、対象ユーザーの層も広がりました。価格の敷居は相変わらず高いですが(笑)

[佐々木] TDPの140Wという数字も、ピーク時だけですし、アイドル時はHaswellコアの省電力機能が効いているようですね。

自作がおもしろいのはミドルレンジマザーボード

GIGA-BYTE GA-Z97X-UD3H-BKサーバー並みの168時間耐久試験後に出荷されるというGA-Z97X-UD3Hのスペシャルエディション。通常版より数千円高いが、初期不良によるトラブルを回避できるのは大きなメリット

[滝] GIGA-BYTEの「Black Edition」の取り組みはいかがですか。なかなか斬新だと思うのですが。出荷前に百数十時間稼働試験をして、初期不良の確率を非常に低く、ゼロに限りなく近くする。その分価格が少し高いという商品ですが。

[佐々木] 自作的にはよいアプローチだと思いますね。とくにミドルレンジのマザーだと。

[滝] それもあって、今回はGA-Z97X-UD3HBKに票を投じました。

[鈴木] 確かに。マザーだけでも絶対初期不良がないということが分かれば、不具合が起こったときの原因究明もしやすいですね。

[佐々木] 激安パーツに目が行きがちですが、最近の1万5,000円~2万円くらいのマザーボードは、普通に使えて、普通に遊べる良品が揃っています。ユーザーには、もっとこのゾーンに注目してほしいですね。 われわれの世代も、最初の自作はこの辺りの製品からスタートしていることが多かったと思います。今だと、CPUも最上位ではなくて、Core i5の2万円くらいのモデル。何かの機能が極端に削られているようなこともなく、さまざまな自作を楽しめます。

[鈴木] 逆に、ローエンドをきちんと使いこなせるのは上級者ですよね。どこでコストが削られているのかを理解できるので。

[滝] 目的をきちんと持って、自分に必要な機能は何かを見きわめながら使うということですね。

[佐々木] 見方を変えれば、今はローエンドマザーでも上級者の要求を満たせるようになってきているのだと思います。

[鈴木] まあ、ちょっと設定できる機能が少なかったりするんですけれどもね。

[竹内] 激安パーツ万才!の取材で、秋葉原の店頭を取材するのですが、やはり円安のアオリを受けてマザーボード価格が前月よりもじわじわ上がってきていますね。H97搭載マザーボードも探せば下限が8,000円~ 9,000円だったものが、1万円前後になるという感じです。ちょっと考えてしまいます。

microATXを小型化してMini-ITXに拡張性を追加

[竹内] 最近はあまり勢いのないmicroATXマザーボードですが、ちょっとこれはいいなという仕様の製品があります。H81を搭載したBIOSTARの「H81MHV3」というマザーボードなんですが、Mini-ITXよりも拡張スロット1本分くらい大きいサイズです。microATXなんだけれども、大きめのMini-ITXケースにも入れられるという大きさです。 Mini-ITXはこれだけ市場で受け入れられているわけですから、それより少し拡張性の高いこうした仕様のマザーボードが普及すれば、すたれ気味のmicroATXプラットフォームが、再度盛り上がる可能性もある。 ただ、もう一つ規格を作り上げるとなると大ごとなので、そこは小さめのmicroATXマザーを作るマザーボードメーカー、大きめのMini-ITXケースを作るPCケースメーカーの歩み寄りで解決するのはどうだろうと。

[佐々木] ATX規格に対するXL-ATXのように、正式な規格ではないけれどもそうした独自仕様を打ち出せば、PCケースメーカーも作りやすいでしょうね。

[竹内] Mini-ITXのケースメーカーに聞いても、さらなる拡張性を求めているユーザーが多いということが分かっています。それは大きめのMini-ITXケースが増えていることからも明らかです。

[佐々木] それぞれ作ってもらうとしたらどこのメーカーが理想ですか。

[竹内] うーん、アビーかLian Liかなぁ。

[佐々木] マザーはこういうのが好きそうなASRockですかね。

[一同] (笑)

[竹内] ファンの制御はASUSTeKに(笑)。まあ、ASUSTeKのH81M-Kはそのまま使えそうな仕様ですけれども。

[佐々木] 最後に、みなさんが2014年で評価したいメーカーはどこですか。私は、Z97でいち早くUltra M.2を搭載したASRockです。

[竹内] 僕はFan Xpert 3のASUSTeKかな。

[滝] エコやゲーミングなどのトレンドを素早く取り込んで製品化したMSIですかね。

[鈴木] なかなか決めかねるのですがやはりMSIですかね。

[佐々木] ちなみに、みなさん実際に買ったマザーボードは何ですか?

[鈴木] ASUSTeKのZ97I-PLUSです。

[滝] 鈴木さんもZ97I-PLUSですか!?

[竹内] 私もZ97I-PLUSです……。

[一同] (笑)

[滝] ちょっとベタで恥ずかしいですが。

[竹内] いいものは誰が見てもいいということです(笑)

[佐々木] ウマくオチが付いたところで締めたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

要注目のマザーボードメーカーはこれだ!

執筆陣が考える2014年の評価したいマザーボードメーカー
MSI H97M ECO
省電力性能を訴求したマザーボードという新機軸を打ち出したのがMSI。その後、B85M ECO、H81M ECOという後続製品を打ち出した辺りにも、その好調ぶりがうかがえる
Fan Xpert 3
定評あるASUSTeKのファンコントロールユーティリティ。競合他社のユーティリティも進化してきているが、完成度の面で一日の長があるのは、本誌執筆者の共通の感想だ
執筆陣が考える2015年に期待したいマザーボードメーカー
「Zen」の流れをくむマザーボード
ノートPCやスマートホン、スマートウォッチにおいて「Zen」をキーワードに商品を展開するASUSTeK。独自ブランドのスマートデバイスを数多く擁し、ほかのマザーボードメーカーとは様相が異なる。その総合力を活かして、「Zen Motherboard」、もしくはそれと組み合わせるZenブランドのPCパーツ展開にも期待したくなる


DOS/V POWER REPORT 2015年1月号は11月29日(土)発売】

★第1特集「マザーボード100選 2015」はもちろん、"即戦力"になるフリーソフト特集、次期OS「Windows 10」Technical Preview使用レポート、髙橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事を掲載

★ 紙版を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 紙版は小冊子「マザーボード&ベアボーン超図鑑 2015」付き

★ 電子版は割安な税別926円
★ 電子版では小冊子の電子版も完全収録
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
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(AKIBA PC Hotline!編集部)