パワレポ連動企画

簡単に作れる緊急用環境を準備しよう、データ救出編

【保存版 自作PC「トラブル」の原因と対策(13)】

DOS/V POWER REPORT 2015年7月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2015年7月号」の第一特集「“動かない・不安定・遅くなった”を解消せよ!保存版 自作PC トラブルの原因と対策」を掲載する。

 前回OSが起動しないトラブルの解決方法を掲載したが、それを試してもだめだった場合、とにかくデータだけでも何とかしたいと思うのは当然。そこで今回はUSBメモリから起動できるLinuxでHDD上のデータを取り出す方法を紹介する。

 Linuxと聞くと何となく難しく感じてしまうが、今回はHDDからデータを取り出すことを目的としているため、紹介する手順通りに行えば特につまずくことはないだろう。今はトラブルに見舞われていない読者の面々も明日は我が身。とりあえず起動可能なUSBメモリだけでも作っておくと役に立つことがあるかもしれない。

 この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年7月号は全国書店、ネット通販にて5月29日(金)に発売。自作トラブル解決に必見の第一特集のほか、OSはSSDだけど、データ入れるならやっぱりこちら!異なる用途に最適な選択をアドバイスする第二特集「目的でキメる最新HDD」、0.1しか違わないのに2倍以上速い最新インターフェースを搭載!「USB 3.1対応マザーボード全員集合」、HDMIに挿すだけでテレビがパソコンに早変わり!「テレビ1台あればいい! 今知りたいスティックPC」、自分の健康にも投資するべき!の第二弾は財布にも優しいアイテム大集合!「PC疲れが楽になるお手軽健康グッズ29」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は、パーツ選びから動作中のトラブルまで、PC自作にまつわる「?」を一冊にまとめた「PC自作Q&A事典 2015」。CPUスペックの見方から、どこでパーツを買えばいいのか分からない、といった疑問にも困ったにも対応します!


- 簡単に作れる緊急用環境を準備しよう、データ救出編 -


簡単に作れる緊急用環境を準備しよう
USBメモリ起動のLinux
でWindowsのデータを救出

USBメモリからブートできる環境を構築できるツールを活用

 Windowsが起動しなくなってしまったけどPCの中にあるファイルがすぐに必要、これ以上トラブルが広がる前に大切なファイルを救出したい――こんなトラブルに巻き込まれたときの対処方法の一つとして便利なのが「USBメモリだけで起動するLinux環境」だ。Windowsで使われるファイルシステムであるFAT32やNTFSをサポートしたディストリビューションであれば、Windowsで利用していたストレージ内のデータを別の外付けHDDにコピーする、といった作業も簡単。NASへのデータの退避も可能だ。無償で公開されている「Ubuntu」を利用すれば、緊急事態の際に役立つファイル救出用の環境が比較的簡単に用意できる。Ubuntuを見るのも触るのも初めて、という人も少なくないと思うが、データをコピーする程度なら使い方はWindowsと大きな違いはない。

 USBメモリにLinuxをインストールする方法はいくつかあるが、同じく無償の「UNetbootin」と呼ばれるツールを利用するのがお勧め。インターネット経由で対応したISOイメージを取得し、これをもとに、自動で起動用USBメモリを作成してくれるスグレモノ。

 ここで紹介するのはあくまでも、Windowsは起動しなくなったがSSD/HDDは無事、という場合に有効な方法だ。SSD/HDDのハードウェア的な故障が発生している場合は、この方法でPCを起動してもデータの救出ができないこともある。もし一時的でもファイルが見えるようなら、一切のアクセスができなくなってしまわないうちに、必要なデータを救出しておこう。

Ubuntu起動USBメモリ作成方法

1.UNetbootinをダウンロード

 各種Linuxディストリビューションを利用し、起動用USBメモリを簡単に作成することができるUNetbootinをまずダウンロードしよう。

http://unetbootin.sourceforge.net/

2.ディストリビューションを選択

 UNetbootinを起動し、インストールするOSとバージョンを選択する。今回はUbuntuの14.04を利用した。その後、インストールするメディアの種類とドライブを指定する。

3.Ubuntuをダウンロード

 UNetbootinには、公式サイトから自動的にISOイメージをダウンロードする機能が組み込まれているため、別途Ubuntuをダウンロードしておく必要はない。

4.起動用USBメモリの作成

 ISOイメージのダウンロードが完了すると、自動的にUSBメモリへのファイルのコピーとブートローダーのインストールが行なわれる。これで起動用USBメモリの完成だ。

5.USBメモリからブートしてUbuntuを起動

 UEFIのブートメニューなどから、作成した起動用USBメモリでPCを起動する。UNetbootinのブートメニューが表示されるので、「Try UbuntuWithout Installing」を選んでUbuntuを起動。

6.救出したいデータの入ったディスクにアクセス

 起動後、デスクトップ左端のランチャからファイルマネージャ(3番目のアイコン)を開く。左ペインにある「Devices」の項に目当てのSSD/HDDが表示されているので、クリックしてアクセスする。
 エラーが出てアクセスできない場合は、本ページ「エラーが出てアクセスできない場合は」を参考にコマンドラインからマウントする。

7.救出するデータを確認

 ファイルマネージャの使用感はWindowsのエクスプローラーと大差はない。アクセスできるようになったディスクの中から、救出したいファイルやフォルダを探そう。

8.データをコピー

 無事データが見付かったら、別のストレージに救出したいデータをコピーしよう。なおWindowsのエクスプローラーと同様、キーボードショートカットのコピー&ペーストでファイルをコピーすることも可能

NASなどにファイルをコピーする

上記の手順では救出したファイルのコピー先はPCに直接接続したストレージとしたが、Ubuntuはネットワークアクセスがもちろん可能なので、自宅のLAN上にNASやWindowsで構築したファイルサーバーがあるなら、こちらにファイルを退避することも可能だ。

 UbuntuではWindows系OSで一般的なファイル共有サービスであるSMBを利用したアクセスが可能なので、WindowsでNASにアクセスできていれば、今回作成した緊急用のLinux環境からも簡単に利用できる。

1.Ubuntu上でNASにアクセス
2.NASをマウント
ファイルマネージャの「Network」の「Connect to Server」をクリックし、アドレスを入力。IPアドレスを入力する必要があるので、事前に把握しておこう
ユーザー名とパスワードを入力し、NASに接続する。これでNASがマウントされ、通常のストレージと同様にNAS内のフォルダ/ファイルにアクセスできるようになる

エラーが出てアクセスできない場合は

 エラー画面が表示されて救出したいファイルがファイルがあるドライブのボリュームにアクセスできない場合、リードオンリーモードでアクセスすることで正常に利用できることがある。リードオンリーモードでアクセスするには、Ubuntuの「Terminal」から以下のようにコマンドを実行すればよい(アクセスするボリュームが「/dev/sdb2」で、「/mnt/win」としてマウントする場合)。

リードオンリーモードでアクセスする場合

 上記のコマンドでは、NTFSのボリュームをリードオンリーモードのオプションを付けてマウントし、アクセスできるようにしている。なおボリュームは「sudo fdisk -l」で調べることができる。


[Text by 川添貴生]


DOS/V POWER REPORT 2015年7月号は2015年5月29日(金)発売】

★第1特集「保存版 自作PCトラブルの原因と対策」
★第2特集「目的でキメる最新HDD」
★特別企画「USB 3.1対応マザーボード全員集合」「今知りたいスティックPC」「PC疲れが楽になるお手軽健康グッズ29」
★連載「最新自作計画」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」

★ 紙版を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 特別付録小冊子「疑問にも困ったにも対応します! PC自作Q&A事典 2015」(紙版のみ別途付録、電子版では本誌末尾に収録)
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
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(AKIBA PC Hotline!編集部)