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甲乙つかない拮抗した試合、わずかなミスを制した7hの勝利
~試合の流れを徹底解説!Revolレポート~
LJL 2015 SEASON2 ROUND4 Immortals 7th heaven vs Ozone Rampage
(2015/6/12 22:54)
本記事は、LJLの詳報レポートを掲載するRevolレポート(SANKO Webサイト掲載)を特約の元、転載/編集したものです。
ラウンド4の第1試合はImmortals 7th heaven 対 Ozone Rampageの激戦だった。
この試合はラウンド1のDetonatioN FocusMe vs Immortals 7th heaven以来の韓国人プレイヤーを抱えるチーム同士がぶつかりあう試合。それもあって非常にレベルが高い内容。序盤からシーソーゲームが展開されたが、終盤のミスが結果に大きく響くものとなった。今回はそのミスがどういったものだったか、そして展開に与えた影響を詳しく見ていきたい。
Team Composition~両チームのチャンピオン構成~
Immortals 7th heaven(以下7h)の構成はPatch 5.10現在において最強といえるRyzeを核とした集団戦構成だ。
RyzeはPassiveが溜まった状態になると凄まじいバーストダメージを出せる。それを活かすためにSejuaniとNautilusが前線を作り出し、LuluとSivirがULTやサポートスキルを活かしてRyzeをより強力な存在にする。そしてRyzeに敵のフォーカスが集まっている間にLuluとSivirがダメージを出していく。
このように5人が揃っている際は強力な構成なのだが、各個撃破されてしまうとそのシナジーを活かせなくなってしまうので注意が必要だ。さらには集団戦においてRyzeとLuluとSivirがポジションを被らせないようにしないといけない。3人が範囲攻撃を一挙に受けてしまうようなポジションをとっていたら、いかに強力な構成といえども機能させることはできないだろう。
Ozone Rampage(以下RPG)の構成はGnarとGragasとAlistarが前線でタンクとなり、後方からCassiopeiaとCorkiがダメージを出す集団戦構成だ。
GnarとAlistarは強力なAoE CC(範囲拘束能力)をもっており、敵のキャリーにそれらのスキルを当てることが重要な役割となる。7h側の構成にはRyzeとLuluとSivirの3人のキャリーがいる一方でRPG側はCassiopeiaとCorkiの2人だ。互いのタンク同士がつぶし合った場合、キャリーの多い7h側のほうが先にRPGのタンクを倒しきることは明らかだろう。だからこそRPGのタンクは敵のタンクとキャリーを同時に拘束することが求められる。
In-Game
21分40秒に7hがGragasとCassiopeiaを捕まえて倒しそのままBaronを確保した。その後の7hの動きから追っていこうと思う。
7hのミス、移り替わる主導権
まず、25分10秒、7hがDragonを確保したところから確認しきたい。
この時点で7hが大きな有利を作っており、なおかつMid レーンやBot JungleにWardを置くことでマップをコントロールしている。しかし一方のRPGもBot JungleにWardを置いているため、完全に7hがゲームをコントロールしているわけではない。
27分、7hは有利を活かすためにSplit Pushを選択した。Topに4人を送り込み、Botをテレポートを持ったRyzeが押し上げることでRPGに圧力を与えようというものだ。
RPGは7hと同様にTopに4人、Botに1人を送り込むことで対応した。Topの4人の中にはCassiopeiaとCorkiというMinon処理能力に優れたChampionがおり、なおかつディスエンゲージ能力の高いGragasとカウンターエンゲージ能力の高いCassiopeiaがいるために7hの圧力をうまいこと捌くことができた。問題はBotで行われる1対1のレーンの押し合いだ。RyzeとGnarの間には大きな差ができているために、Ryzeが圧力をかけGnarが耐えるという構図になっている。
7hはこの構図を活かせなかった。Botでミニオンを3rd Towerに押しこんでRyzeがGnarよりも先にTopへテレポートするか、もしくはBotのミニオンを3rd Towerへ押し込んだ後に敵Jungle内の視界のコントロールをするか、いずれかの選択肢をとることができれば試合の展開は変わったものになっただろう。
29分、7hはSplit Pushを止め、次の展開へと切り替える。
一度リコールし、RPGの青Buffをコントロールしにいった。そしてその動きをRPGはPink Wardで確認できていた。青Buffの草むらに置いてあるPink WardにSejuaniとSivirが、Botのリバーの入り口付近の草むらに置いてあるPink WardにRyzeが映っている。この情報を活かしてRPGは視界のコントロールを失っていたBaron周辺へとなだれ込む。7hの置いたPink Wardを破壊しさらには自分たちのWardを置くことでBaronのコントロールを、最低でもイーブンの状態に戻そうとした。
7hとすればRPGから青Buffを奪った代わりにBaronのコントロールを失ったと言える。
この交換は7hにとって損だった。Baron周辺の視界のコントロールを活かして先ほどのようなSplit Pushを仕掛けることもできるし、RPGがもし不用意に視界を得ようとしてきたならば各個撃破もしくは集団戦をしかけることもできる。もちろんBaronを速やかに確保することも可能だ。7hは大きな有利を手放してしまった。
しかし、もしこれらのPink Wardがなかったらどうなっていただろうか。RPGは7hのこの青Buffへの動きを察知できず、Baronへの判断を決断できなかったかもしれない。もしくは不用意に青Buffへと近づいていって倒されてしまっていたかもしれない。このPink Wardを、特に青Buffの草むらに置いてあるものを、さきほどSplit PushしていたRyzeが破壊できていたら、7hはもっと楽に試合を進められていただろう。
そして7hはBaron周辺のコントロールを奪い返そうとしたが、逆に視界の優位を活かされて各個撃破されてしまう。
RPGはそのままBaronの確保につなげ、試合の主導権を奪い返した。
勝敗を分けたRPGのミス
Baron Buffを得たRPGはTopの1st TowerとMidの2つのTower、そしてDragonを立て続けに確保していく。その後BotのInhibitorを狙われるがそれを逆手にとって集団戦を起こすことで7hにさらに圧力をかけていく。
そして試合の展開が落ち着き、次のオブジェクトを狙って双方が準備を始める。
35分58秒、7hはBotの2nd Towerまで到達していたミニオンを処理した。これがきっかけとなって試合は大きく動き出す。
7hとRPG、共に主導権を握ろうとじりじりとした読み合いや細かな仕掛けを繰り返していく。
敵がBotにいるのであればその間にBaron周辺に、その動きに対してMidを押し返してInhibitorを狙いに行くとみせかけBaron周辺から敵を追いだしていく。
37分36秒、読み合い仕掛け合いはRPGが上回った。Baron周辺の視界をコントロールしつつもDragonを確保することに成功した。これは4つ目のDragonであり、試合の勝敗を決定づける5つ目のDragonへあと1つとなり、敵に大きな圧力を与えることにつながった。だが、Bot レーンのミニオンに気が付いていなかった。
ここでCassiopeiaがリスクを負ってミニオンを処理しにいっていれば主導権はRPGのものだっただろう。7hはMidの2nd Tower付近に集まっていることがわかっており、たとえここでBotに1人顔を出してもそれ以外の4人の圧力によって7hのBaronへの動きを咎めることが可能だからだ。そして5つ目のDragonという圧力を活かしながら敵の動きをコントロールしていけばよい。勝ち筋は見えていた。
ようやく気づいたミニオンウェーブ…
38分30秒、RPGはようやくBotの大きなミニオンウェーブに気がついた。Minimapを確認してもらえばRPG側のPingがBot レーンに示されているのがわかるだろう。
RPGはBotにGnarを送り込むしかない。Inhibitorがむき出しの状態になっているため、放置すればスーパーミニオンが湧くことになり、さらに厳しい状況に追い込まれてしまうからだ。しかしGnarはミニオン処理が遅く、なおかつテレポートはクールダウン中であり使用できない。7hはここぞとばかりにBaronを始め、確保する。
そして、それへと対処しようとしていたRPGに集団戦をしかけ、試合を決定づけた。
甲乙つけがたい拮抗した試合、わずかなミスを制した7hが勝利
その後もRPGは5つ目のDragonに望みをつなぎ仕掛けていくが、大きな有利を得ていた7hが冷静に対処して集団戦に勝利し、そのままNexusを破壊した。
このような拮抗した試合において勝敗を左右するものはミスだ。しかしただ相手のミスを待っているだけではリーグ戦を勝ち抜くことは不可能だろう。少なからずの試合を運よく勝つことはあるかもしれないが、それは神頼みに近い。相手にミスさせることが勝ち抜く上で重要な要素になるだろう。RPGが自陣Jungleの視界を維持していたように、そして7hがBotで大きなミニオンウェーブを作り出したように、小さな、しかし積極的な仕掛けがあってこそ相手のミスを誘発できる。そしてそのミスを活かして攻め立てることが勝利につながっていく。
この試合においては7hが勝利したが、実際は甲乙付けがたいほど競ったものだった。ほんのわずかの差で7hが上回っただけである。ラウンド4が終了した時点で3勝1敗で3チームが並んだ。誰が一足先に抜けるのか、まだまだ目が離せない。
[写真提供:SANKO]