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シーズン2最終決戦、RPG vs FMはどうだったのか?
~試合の流れを徹底解説!Revolレポート~

LJL 2015 Season2 Final Ozone Rampage vs DetonatioN FocusMe

本記事は、LJLの詳報レポートを掲載するRevolレポート(SANKO Webサイト掲載)を特約の元、転載/編集したものです。

 セミファイナルと同様に今回のファイナルもBo5形式で試合が行われた。そんな中、Riotが今シーズンから取り入れた新たなルールが活かされた場面があった。それはセット毎のメンバーチェンジである。今回はそのメンバーチェンジが行われた2つの試合に、特に交代した2人の選手に焦点を当てたいと思う。

Team Composition~両チームのチャンピオン構成~

1試合目
2試合目

 Ozone Rampage(以下RPG)はDetonatioN FocusMe(以下DFM)との決勝戦において、1試合目と2試合目の間にメンバー変更を行った。1試合目ではDoad選手、2試合目ではShaft選手をJunglerとして起用した。チーム構成の違いは、1試合目にはPokeの要素があるが2試合目にはないことだろう。どちらも集団戦に長けた構成であり、なおかつJunglerは序盤から試合を動かすことが求められるChampionだ。Doad選手を起用した1試合目の構成も、Shaft選手を起用した2試合目も過去にRPGが戦ったことのあるものであり、Junglerが変わったこと以外に大きな変化はない。

Match 1

 まずは1試合目から観ていこう。Doad選手がEvelynnを使った試合だ。RPGの1試合目の試合の入り方はあまり良いものではなかった。

敵陣の青バフにWardを置きにいくも、見つかってしまいフラッシュを使用をせざるをえない状況に
相手にレベルを先行された瞬間にしかけられてしまった

 JunglerのEvelynnは敵の青バフにWardを置きにいくも相手に見つかってしまった。結果としてフラッシュを使わざるを得なくなってしまったし、体力をかなり削られてしまったのでポーションがないままJunglingをしなければならなかった。その結果、Lv3になった段階でGankを狙うことができなかった。

 またBot LaneでもDFMの2人にLv2を先行されてしまい、そのレベルの有利を活かされてしまった。Threshは生き残ったもののフラッシュがない状況になり、それをDFMに突かれJunglerのRek'Saiにファーストブラッドをとられてしまう。

 開始4分でJunglerとBotの間に金銭差が生まれてしまうという厳しい状況に陥ってしまった。

フラッシュのないThreshが狙われてファーストブラッドを献上
Lv6になってからMidへのGankを狙う

 ここからはJunglerのDoad選手が操るEvelynnを中心に確認していこう。

 Lv6になるまではGankを狙う動きはみせずファームに徹していた。Topのブッシュに入り仕掛けるかにみえたが、すぐさま下がったことがあったくらいだ。Lv6になりULTを手に入れ、なおかつLong Swordを2つ買ったところからDoad選手は動き始めた。

敵の青バフへの仕掛けを伺っている
またしてもMidへのGankを狙う

 まずMidへのGankを狙っていた。しかしDFMも警戒しており仕掛けるまでには至らない。そうするとすぐさま敵の青バフへと狙いを切り替えた。そして再度MidへのGankを狙うも、さきほどと同様にDFMの警戒もあって成功しなかった。

 ここにDoad選手の1つの特徴があらわれているだろう。彼はGankを仕掛けて試合を動かしていくだけでなく敵のバフへも積極的に圧力をかけていく選手だ。そうすることで早い時間帯から有利を作り出すことを可能にしている。

 11分にBotへとGankを仕掛けた。Rumbleが非常に強い時間帯であることと、Dragonが確保しやすい時間帯にさしかかったからだろう。有利を取られていたBotにRumbleも加えてGankすることで不利を有利に転換し、なおかつBot側の視界のコントロールにまでつなげている。

BotへとGank、そしてそれと同じタイミングでTopのAmuse選手がBotへテレポート
Rumbleの強みを活かした見事な集団戦

Match 2

Threshと共にMidへGankを仕掛けるも成功はせず
TopへとGankするもKillはとれず

 次はShaft選手だ。この試合ではRek'Saiを使っている。

 2試合目はさきほどと違って開始直後から動くような展開ではなかった。この6分15秒のGankまでShaft選手は一度もしかけていない。しかしその間にDFMのAstarore選手はTopへ1度Gankし、仕掛けはしなかったもののMidへGankするそぶりをみせていた。

 10分と11分30秒に立て続けにGankを狙うもどちらも成功しなかった。さきほどの6分15秒からこの10分のGankまでに特筆すべき動きはなかった。もちろんMidでViktorがZedにソロキルされてしまったことやBotが体力面で不利な状況が幾分続いたというのもあるだろう。

 BotへのGankを試みた後にEvelynnの動きがソナーに映ったのでCounter Gankを狙った。しかしEvelynnは仕掛けなかったのでJunglingに戻っている。

BotへとGankを狙うがかわされてしまう
Counter Gankの準備をするがDFMは仕掛けてこなかった

 序盤から中盤に差し掛かる時間帯まで確認してみたが、Shaft選手はDoad選手と比較すると少し消極的な印象を受ける。そういった印象を受けるのはGankの成功率が影響しているかもしれないが、しかしDoad選手と違ってShaft選手には敵のバフへ圧力をかける動きがなかった点には注目すべきだろう。Shaft選手は移動する範囲が自陣のJungle内であることが多く、一方でDoad選手は敵のJungleへ侵入することが多い。この積極性の違いが彼らのプレースタイルの差異を表していると思われる。

 Doad選手の特徴はこの積極性にあるだろう。ではShaft選手の特徴は何なのだろうか。

データからわかる特徴

 1試合目と2試合目のデータを比較したときに最も目をひいたのがWardに関連したデータだ。1試合目のDoad選手が設置したWardの数は27、WPM(Ward Per Minute/毎分のWard設置数)に換算すると0.78だ。2試合目のShaft選手が設置したWardの数は35、WPMに換算すると0.93だ。Shaft選手の視界確保への貢献度の高さがわかるだろう。

 さらにはWardを破壊した数もShaft選手の方が多い。Doad選手の8に対してShaft選手は14、WCPM(Ward Clear Per Minute/毎分のWard破壊数)に換算するとDoad選手は0.23、Shaft選手は0.37だ。
総合するとShaft選手の方が視界のコントロールに長けている、もしくはコントロールに重きを置いた動きをしていることがこの2つのデータから読み取れる。それはドラゴン等のオブジェクトのコントロールにもつながっていくだろう。ここに彼の特徴が表れているのではないだろうか。

Conclusion

 Doad選手が積極的に仕掛けていくJunglerであることはRound10までの試合で十二分にわかっていたことだと思われる。Shaft選手はそのDoad選手と比較すると積極的なJunglerではなく、視界のコントロールに長けたタイプであることがわかった。もちろんまだ1試合しか出場していないし、その試合も決勝戦という大舞台だったことを考えると彼の特徴全てが発揮されたわけではないだろう。しかしSeason2の決勝戦という大舞台でJunglerが固定化されず流動的に起用されたことを考えると、Doad選手とShaft選手の間にスタイルの違いがあり、それを活かしてチームの幅を広げようと考えているのではないか、と予想することは的外れではないはずだ。

 Grand Championshipに向けてRPGはチームのスタイルの幅という新たな武器を手に入れたと言える。新たな武器がナマクラかどうかはまだわからないが、研磨する時間は2週間もある。Grand Championshipが楽しみだ。

[写真提供:SANKO]

(Revol)