NAS EXPO 2015 秋
最新NASのトレンドとは?~清水理史氏が語る、最新NASのポイントとNAS入門~
【NAS EXPOレポート】
(2015/10/16 11:45)
2015年10月10日(土)に開催されたNAS EXPO 2015にて、テクニカルライターの清水理史氏が「PCだけじゃない、AV機器もスマホもタブレットもつながる最新NASは超便利」と題して、NASのトレンドについて語った。
今回は、NAS EXPO 2015の概観としてその内容を紹介しよう。
そもそもNASとは?
セッションの前半は、主にNASを未導入の人に向けた概要を解説。
NASとは、Network Attached Storageの略で、ネットワークに接続して家庭内などのPCからデータを保存するストレージの一種であることを紹介。その上で、これまでデータの保存先として利用されてきたローカル(PCのHDDや外付けHDD)や、最近増えてきたクラウドに加えて、第三のデータの保存先としてNASを解説した。
ローカル | クラウド | NAS | |
速度 | ○ 数百MB/s | △ 数十Mbps | ○ 100MB/s |
信頼性 | △ 冗長なし | ○ 安全 | ○ 冗長可 |
セキュリティ | △ ウイルス | △ 操作ミス | △ 対策可 |
リモートアクセス | × 困難 | ○ 容易 | ○ 可能 |
連携 | △ テレビ | △ スマホ | ○ どちらも |
イマドキのNASは「ローカルストレージとクラウドのいいとこ取りプラスα」
まずは、容量や速度などの面でローカル、クラウド、NASを比較。
NASはHDDを複数搭載できる機種が多数存在するため、容量面ではローカルのストレージ(PCのHDDやスマホのフラッシュメモリ)と同等以上であること、そして速度ではローカルのストレージに劣りながらも、データの保存先として十分な性能を持つことを解説した。
そして標準でデータが二重化される(機種が多数ある)ことによって、データ消失のリスクが低減されること、リモートアクセス(外出先からの接続機能)や連携機能(DLNAによるAV家電接続やスマートフォン対応)などをNASならではのメリットとして強調した。
大容量、高速、信頼性の高さは過去の評価軸最新トレンド知っていますか?
後半では、これまで「大容量(保存容量)」「信頼性(RAID方式)」「高性能(速度)」「拡張性(ベイの数など)」が重視されてきたNASのトレンドの変化を解説。
最新のNASでは、従来の評価軸は(安価なものを含めて)多くの製品が満たしており、新たなトレンドとして新たな5つのポイントを挙げた。
「より身近で簡単に」と紹介されたトレンドでは、GUIの変化を解説。これまでNASを敬遠していた層の多くがその理由として挙げていた設定の難しさに関しては、最近の製品ではわずか数ステップで使えるようになること、またPCを使うことなく、スマートフォンだけで設定を行えることなど、扱いが非常に容易になっていると述べた。
設定ユーティリティや活用ツールの使い勝手が大きく変わっていることにも触れ、デスクトップライクに進化した最新のGUIなどをデモで紹介したり、スマートフォン向けのアプリを実際に使って、外出先から同氏の自宅に設置したNASにアクセスしたりする様子が実演された。
5つのトレンドの中でも同氏が注目すべき機能として解説したのが、「リビングへの進出」と題された家電製品などとの連携機能。DLNAをベースに、著作権保護されたコンテンツの録画やムーブに対応する「DTCP-IP」対応機種の登場により、不足しがちなHDDレコーダの容量を気にすることなくテレビ番組を録画できるようになった。
また、オーディオ志向の強いハイレゾ対応機器の登場、NAS本体にHDMI端子を搭載しテレビに直接接続できる機能、動画のトランスコード機能などが紹介された。
上記の機能を搭載したNASは、会場でも展示されており、多くの観客の興味を集めていた。今後のNASの中心的な役割を果たしていくことが予想される。
重要なのはセキュリティ!家族や世界にヤバイものをばらまかないために
このほか、もっとも重要な機能として最近のNASのセキュリティ関連の機能強化の取り組みが紹介され、2段階認証や暗号化機能を採用した機種が増えてきたこと、さらに実際に家庭で使ううえで気をつけたいプライバシーへの配慮について紹介された。
スマートフォンの写真などを保存することを目的とした機器が増えているが、機器側でプライバシーへの配慮が足りない機器も存在し、アップロードした写真が家族全員に見られたり、DLNAサーバー機能で家庭内に公開されたりする例があることを紹介。
最新のNASであれば、ユーザーごとにホームフォルダーを作成できるため、そこに写真などのデータをユーザーごとに個別に保存すべきこと、ホームフォルダーなどプライベートなデータを保存する場所はDLNAの公開設定をオフにすることなどが強調された。
パーソナルデータを家族に公開しないためのアドバイス |
・アカウントを使い分けましょう |
・ホームフォルダーを活用しましょう |
・アクセス権をきちんと設定しましょう |
・DLNA公開設定に注意しましょう |
会場を訪れた観客の半数以上がNASを未導入であったこともあり、初心者向けのセッションでありながら多くの観衆を集め、盛況なうちにセッションは終了した。