全国出張!自作PCまつり

インテルがSkylakeの詳細をアピール、「ゲーマー向けCPU」「1MHz単位のオーバークロック」

「自作PCまつり in 松山」イベントレポート(インテル編)

 弊誌AKIBA PC Hotline!とDOS/V POWER REPORTの共同イベント「全国出張!真夏の自作PCまつり in 松山」が8月23日(日)に開催された。会場はアプライド松山店。主催はインプレスで、後援はインテル、協賛はテックウインドと日本マイクロソフト。

会場のアプライド松山店
店内の様子。天井が高く広々とした売場が特徴

 会場では、インテルが8月に発売したデスクトップ向けCPU「Skylake」やWindows 10の解説に加え、高橋敏也氏によるご当地PCコーナー、加藤勝明氏による自作PCの組み方指南といった恒例の自作PC関連セッションを実施したほか、今回は新たな趣向として、国内でも徐々に盛り上がりを見せているeスポーツの現状を解説するセッションを行なった。当イベントの開催は今回で7回目となる。

 本記事では、インテルが行なったSkylakeの解説を中心にレポートする。

 なお、イベントの模様はニコ生中継のタイムシフトでも8月30日まで視聴可能。中継の中で表示されるキーワードを入力すると、ニコ生限定プレゼント付きのアンケートに応募できる。応募には放送中に表示されるキーワードの入力が必要。

「ゲーマー向けCPU」開発の背景は、PCゲーム人口の激増

 株式会社インテル 技術本部フィールドアプリケーションエンジニアの牧野拓也氏は、Skylakeの位置付けについて「コアゲーマー向けエンスージアスト製品」と説明した。

牧野拓也氏
「PCゲーム」と「オーバークロック」もキーワード
新規にZ170チップセットが追加されている
現行Skylakeの主要スペック。HTやDDR4メモリに対応する

 「PCゲームの分野では毎年のように技術革新が起こっており、ゲームタイトルへの対応も速いことから、PCゲームがプラットフォームの進化を促進している側面があります。常に最新のテクノロジーに対応したタイトルがあって、ハードとソフトはそれに合わせて進化しているのです」(牧野氏)

 インテルの調査によれば、世界のPCゲーマー人口は12億人と報告されており、前年比で10%以上増えているという。その流れを作ったのは"リーマン・ショックで家にいる時間のある人が増えた"というネガティブな理由だが、それ以外にも最近のトレンドとしてF2P(Free to Play)のビジネスモデルを採用したタイトルが多く、新規プレイヤーが始めやすい環境が挙げられた。

DDR4に対応したメインストリームCPUNVMeへの対応も促進

 そして解説されたSkylakeは、14nmプロセスを採用した同名アーキテクチャの第1弾にあたる。現在はCore i7-6700Kおよび同6600Kが発売中だ。LGA1151の新規ソケットを採用し、TDPは91W。対応チップセットの「Z170」はPCIe 3.0を最大20レーンまで備えている。DDR4のメモリにも対応している。

プラットフォームの概要
SkylakeとZ170チップセットの特徴

 「DDR4のメモリは1年前よりもかなり手を出しやすくなっていますし、メインストリームクラスの製品でも使えるようになったことは大きいと思います。最大20レーンのPCIe 3.0をSATAやUSB 3.0にそれぞれ何レーン配分するかパーツメーカー次第ですが、NVMe接続のストレージにも対応しやすくなるのは間違いないですね。これまではPCIe 2.0が主流だったので、NVMeが使える製品が限られていました。ちなみに『750』の場合はPCIe 3.0を4レーン使います」(牧野氏)

 実質的な性能の向上度合いについては、3年前にメインストリーム相当だったスペックのPCと比較して、30%程度向上したという。

 「これまではCPUやストレージという個々のデバイスの性能だけが伸びていた部分がありましたが、今回はシステム全体の性能を向上させることができたし、Windows 10の登場にも重なりました。ここまでタイミングが合うのは珍しいですよね」(牧野氏)

1MHz単位のオーバークロックに対応「パフォーマンスを見る際にはTDPを見ますよね?」

 インテルがオーバークロッカー向けの施策を始めたのは2003年。Pentium 4の時代にユーティリティソフトウェアをリリースしたのが最初だ。現在ではユーティリティのバージョンアップに加え、ハードウェア面でも機能の向上を重ねており、Skylakeではフルレンジ・ベースクロックのオーバークロックに対応した。

インテルのオーバークロック施策
オーバークロック機能を充実させた
第3四半期にはノートPC向けSkylakeの発表が予定されている

 「これまでは倍率ベースの調整にのみ対応していたのですが、1MHz単位での調整が可能になりました。DDR4のオーバーライド機能も搭載しており、Core i7-6700Kでは最大で4133MT/sまで引き上げられるようになっています」(牧野氏)

 牧野氏はデスクトップ向けCPUとしてのSkylakeを解説する一方で、第3四半期の発表が告知されたノートPC向けCPUについても言及した。

 「来場されている方の中には、オーバークロックができるノートPC向けCPUが出るという話を聞いた方もいらっしゃると思うのですが、私の口からスライドに書いてある以上のことを言ってしまうと大変なことになるので、今の時点ではあまり多くはお話しできません。ただ、一般的な話をしますと、パフォーマンスを見る際にはTDPを見ますよね。Core i7-6700Kや6600KのTDPは91Wなので、用途の違うノート向けということで見ていただければと思います。オーバークロック性能が特徴のSkylakeなので、色んな形で性能を発揮できるはずです。でも、私のおすすめとしては、デスクトップで組んでいただきたいですね。色々できますから」(牧野氏)

NUCやStick型PCも紹介。「750の240GBモデルも押していきたい」

 インテルのセッションでは、新たに800GBモデルが追加されたSSDの「750」やNUC、スティック型PC「Compute Stick」の紹介も行なった。

 750の実測値やテクノロジーを紹介する中で、牧野氏は現行のラインナップについて言及。より低容量なモデルの必要性に触れた。

「750シリーズは400GB、1TB、1.2TBの容量を用意していますが、やはり普通に考えてまだまだ高価なので、私としては240GBのモデルが出るように押していきたいと思っています」(牧野氏)

今回会場に持ち込んだNUCキットの「NUC5i7RYH」には、Broadwell世代のCore i7-5557Uを搭載しており、Iris Graphics 6100が使えることから「ちょっとしたゲームであればNUCでも動く」とした
Compute Stick
テレビと組み合わせてテレビ電話として使うアイディアなどを提案した
基本的なスペック面でODM各社が展開するスティックPCとの違いはないとし、主な違いとしては放熱の仕組みを挙げた。Compute Stickの場合は動画がスムーズに再生できるような調整を行なっているという
SSD「750」の速度比較。特に読み出し速度はSATAと比べて倍以上の数値を記録している。

(関根 慎一)