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小学館・ポプコム別冊「プログラムマガジン・CGコレクション」~想い出の“20世紀パソコン雑誌”たち~

全部で4冊発行されていて、表紙は投稿作品の完成図を撮影したものが画面写真として並べられていました。また、それらを使用したCGカセットレーベルも綴じ込み付録として付いています。

 現在ではあまり見かけなくなってしまったものの、20世紀には数多くのマイコン・パソコン雑誌が発売されていました。中には、その当時に読者だった雑誌に影響を受けて後の人生が決まった、という人もいるかもしれません。ここでは、それら20世紀に発売されたマイコン・パソコン雑誌を取り上げ、紹介していきます。

 今回は月刊誌ではありませんが、80年代に誰もが憧れたコンピュータ・グラフィックスを自宅のディスプレイに映し出すことが出来るプログラムが数多く掲載されたシリーズで、小学館の月刊誌『ポプコム』の別冊として発刊されていた「プログラムマガジン・CGコレクション」シリーズを取り上げました。

本の中には、プログラムリストがぎっちりと印刷されていました。ほとんどはBASICでしたが、FM版のみマシン語のダンプリストも載っています。もちろんチェックサム付きなので、安心して(?)打ち込めます。

 その昔、絵を描くと言えば絵筆やコピックといったアナログな道具を使い、スケッチブックや漫画原稿用紙などに描くものでした。それが1980年代に入って個人でも買えるパソコンが登場すると、新たにコンピュータを使用して絵を描くという、いわゆるコンピュータ・グラフィックス(CG)が登場します。1980年代前半のハードが持つスペックは、主に画面の解像度が640×200ドットで8色というのが一般的で、この制約の下でさまざまな絵が描かれていました。

 そのCGは、雑誌の表紙を飾ったり、カセットレーベルにされてパソコン雑誌の付録になるなど、あちこちで見られるようになっていきます。しかし、それを自分が所有しているパソコンのディスプレイ上に描き出すことが出来たならば、きっと素晴らしいだろう……と考えた人は多かったようで、筆者もまさにその一人でした。

 ところが、各種ツールやCGソフトを用いて描かれていた場合は、その元となったソフトと制作者のデータが無ければ自宅で再現することはできません。そこで、BASICのコマンドやマシン語を用いて作られた作品を募集し、そのプログラムを自分のパソコンに入力することで誰もが自宅のモニターに憧れのキャラクターのCGを映すことが出来るようにした、各種パソコン雑誌やCGプログラムを掲載したムックなどが登場します。そのうちの1種類が、今回取り上げた小学館から発売された、ポプコム別冊「プログラムマガジン・CGコレクション」シリーズでした。

 この本は全部で4冊が出版されていて、PC-8801対応版が2冊、FM対応版が1冊、そしてX1対応版が1冊という構成になっています。これら3機種は、グラフィック面でのスペックは似たような感じですが、使用しているBASICのコマンドがやや異なっているなどのことから、別々に発行されていると思われます。

 小学館からの発売ということで、掲載されているイラストは基本的には同社が発行していた週刊マンガ雑誌『週刊少年サンデー』に掲載されていたマンガを中心としたラインアップとなっていました。なかでも、一番多くを占めていたのが高橋留美子先生のマンガ『うる星やつら』と、それを原作としたアニメや映画のワンシーンをCGにしたプログラムです。他の作品としては、同じく高橋留美子先生のマンガ『めぞん一刻』と、それを原作としたアニメ、さらにはあだち充先生のマンガ『タッチ』や『みゆき』と、それを原作にしたアニメ作品なども掲載されています。特に、FMシリーズ版は1作品を除いて高橋留美子先生作品のみになっているので、いわゆる“るーみっくファン”にとっては、ありがたい1冊だったのではないでしょうか。

 4冊共に、基本的にはオールBASICのプログラムが載っているのですが、FMシリーズ版に関しては「FMシリーズのF-BASICには、いわゆるタイルペイントの命令がありません。このため、中間色を画面表示するためにGET、PUT文を使って工夫するか、各雑誌上に発表された中間色ペイントルーチンを利用するか(中略)」と書かれていて、このムックには工学社の月刊『I/O』1983年7月号に掲載されたグラフィック・ルーチンのマシン語プログラムと、それに合わせたマシン語データが載っていました。続きを読むと、その他の雑誌に載っていた中間色ペイントルーチンは掲載許諾が降りなかったとのことで、最後のページにポプコムオリジナルの中間色ペイントルーチンが紹介されているというオチとなっています。

CGプログラムが掲載されているムックなので、広告は当時のポプコムレーベルから発売されていた雑誌掲載ソフトや、『ダ・ビンチ』のみとなっていました。

 肝心のプログラムですが、当たり前ながら当時はひたすら手入力するしかなかったわけで非常に苦労しましたが、今であればOCRもあるし、何ならプログラムの写真を撮影すれば自動的に文字として認識してくれるスマートフォンもあるわけで、それをコピー&ペーストすれば即座にプログラム完成となるだろうと思い立ち、早速試してみました。ところが、数字を正しく読み取ってくれないことも多く、1ドットでもズレていると完成CGが変に見えるため、結局はひたすら手作業でデータを打ち込んでいくことに……。マシン語プログラムであればチェックサムという便利な機能がありましたが、CGプログラムでは最終的に入力した人間の目がドットズレを発見しなければならないため、なかなか思うようには楽できないと思わされました(笑)。

 掲載されているCGは、どれもが基本的には640×200ドットの範囲に収まっているので、ペイント部分さえ自力で何とかできる人であれば他機種からの移植は簡単に行えそうです。それができれば全部で96本ものCGを自分が所有しているパソコンのモニター上に表示出来るという嬉しいことになるだけでなく、カラープリンタがあればハードコピーを出力させてポスター代わりに部屋に飾ることも可能に。今であれば、インクジェットプリンタの性能も上がったので綺麗に打ち出せそうですが、元データが640×200ドット×8色だけにオーバースペックのような気も……。

 現代のCGであれば解像度は制限なく、色数もフルカラーで描かれるため、非常に見栄えも良く綺麗です。しかし、時に640×200ドット×8色のCGを見てみると、荒さの中にも素朴さや優しさを感じたり、心が癒やされることもあるかもしれません。この機会に、当時の愛機を引っ張り出してきてCGプログラムを入力してみると、昔とは違った楽しさを感じられるかもしれませんので、ぜひ試してみてください。