借りてみたらこうだった!

TDP 10WのCeleron J1900を搭載したPC自作キット「XS35V4」を試す

Shuttle製PC自作キットの薄型ファンレスモデル

Shuttle XS35V4

 今回は、スリムデスクトップタイプのShuttle製ベアボーンキット「XS35V4」をお借りしました。

Bay Trail-D搭載ベアボーンキット「XS35V4」

フロントパネル。電源スイッチ、スリム光学ドライブ用のベイ、USB2.0ポート×1、SD/SDHCカードスロット×1を備える。
バックパネル。USB 3.0ポート×1、USB2.0ポート×3、Gigabit LAN、音声入出力、D-Sub、HDMI、DisplayPort、DCジャック、ケンジントンスロットを備える。

 Shuttle XS35V4は、横252mm×縦162mm×厚さ38.5mmのプラスチック製筐体に、Bay Trail-DベースのSoC「Celeron J1900」を搭載したベアボーンキット。対応OSは64bit版のWindows 8.1、Windows 8、Windows 7で、32bit版OSはサポートしていません。

 XS35V4が備えるIntel Celeron J1900は、2.0GHz(バースト周波数 2.4GHz)で動作する4コアCPUと、GPUコア「Intel HD Graphics」、SATAコントローラなどのチップセット機能を統合したものです。これだけの機能を備えながら、Celeron J1900はTDP 10Wと非常に低く、XS35V4はCeleron J1900の低発熱さを生かしたファンレス設計を採用しています。

 XS35V4の筐体は、標準で備える台座を用いることで縦置きが可能な他、別売りのVESAマウントキット「PV01」を用意することで、VESA規格対応ディスプレイの裏面にXS35V4を取り付けることもできます。

本体側面。メッシュ仕様。
本体天面。こちらも全面メッシュ仕様になっている。
ACアダプタ。最大40Wの電力を供給可能。


筐体内部はデュアルチャンバー構造を採用

 XS35V4の内部は、筐体中心に仕切りを設けたデュアルチャンバー構造を採用しており、筐体左側面にマザーボードをはじめとする基幹パーツ、右側面にスリム光学ドライブなどを配置しています。

 マザーボードが配置されている左側面には、メモリスロット、2.5インチドライブ接続用のSATA 3Gbpsポート、Mini PCI Expressスロットが、各1基ずつ配置されています。このうち、Mini PCI Expressスロットについては、無線LANモジュールが標準で取り付けられています。

 注意が必要なのはメモリスロットです。スロット形状はノートPCで多く採用されているDDR3 SO-DIMMタイプなのですが、Celeron J1900内蔵メモリコントローラの仕様により、「DDR3L」規格準拠のメモリでなければ、動作させることができません。メモリ選びの際は、必ずDDR3L規格に準拠した製品を選ぶ必要があります。

筐体左側面、Celeron J1900を搭載したマザーボードなどが配置されている。
Celeron J1900を覆うヒートシンク。平べったく薄いヒートシンクの全体に熱を輸送するため、平形ヒートパイプが搭載されている。
無線LANモジュール。IEEE 802.11b/g/対応品。
メモリスロットは1スロットのみで、DDR3L SO-DIMMのみ利用可能。なお、メモリクロックはDDR3-1333までの対応となっており、それ以上の製品を搭載してもDDR3-1333までダウンクロックされる。
2.5インチドライブ接続用のSATAポート。電源コネクタとSATAポートが一体になっている。転送速度は3Gbps。
2.5インチドライブ取り付け用のマウンタ。このマウンタを介してSATAポートにドライブを取り付ける。

 本体右側面は、主に光学ドライブを搭載するためのスペースとなっており、SATA 3GbpsポートとUSB2.0ポートが各1基ずつ用意されています。

 XS35V4に搭載できる光学ドライブは、インターフェースにSlimLine SATAを採用したスリム光学ドライブ。フロントパネルのドライブベイは、取り付けた光学ドライブのベゼルが露出するタイプなので、トレイ式、スロットローディング式のどちらでも利用可能です。

 また、別売りの2.5インチドライブ用マウンタ「PHD2-U」を利用すれば、光学ドライブの代わりSSDやHDDを搭載することも可能。光学ドライブが必要無いという方は、データ用のHDDを追加してみると言うのも良いでしょう。

筐体右側面。光学ドライブを搭載するため、空きスペースが多い。
SlimLine SATA対応のスリム光学ドライブを搭載可能(ドライブは別売り)。
光学ドライブを搭載したところ。トレイ式/スロットローディング式両対応。
LANコントローラ「Realtek RTL8411」。
別売りの2.5インチドライブマウンタとSATAコネクタ基板を用いれば、2.5インチのSSDやHDDを搭載可能。転送速度は3Gbps。
内部に設けられたUSB2.0ポート。Bluetoothアダプタなど、基本的に取り外さないUSB機器の接続に用いる。


ベンチマークテストでパフォーマンスをチェック

 Celeron J1900が実現するパフォーマンスはどの程度のものなのか。ベンチマークテストでチェックしてみました。いくつかのベンチマークテストについては、実行中の最大消費電力をワットチェッカーで測定してあります。

CINEBENCH R15の実行結果。
Super PI 1Mの実行結果。
ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア - ベンチマーク【1280×720ドット、標準品質(デスクトップPC)】
ファンタシースターオンライン2キャラクタークリエイト体験版 ver.2.0 【1280×720ドット、簡易描画設定1】
内蔵SATAポートのスコア。テストに利用したSSD「SSD 510 120GB」は、SATA 6Gbps対応SSDだが、3Gbps接続かつ、OSがインストールされているため、本来のパフォーマンスを発揮できていない。
フロントパネルのSDカードスロットに、UHS-I対応SDXCカードを取り付けた際のスコア。
消費電力の測定結果。

 【テスト時の構成】
 メモリ DDR3L-1333 8GB (G.SKILLF3-1866C10D-16GRSL/8GB×1枚使用)
 SSD IntelSSD 510 Series 120GB SSD
 OS 日本マイクロソフトWindows 8.1 Pro Update(64bit)

 Celeron J1900のパフォーマンスは、文章の作成やウェブの閲覧程度のライトな作業なら問題なさそうですが、デスクトップ向けHaswellベースのPentiumなら、軽く100cdを超えるCINEBENCH R15 CPU(Single Core)で39cdという結果。GPUについても、描画品質をできるだけ落とせば、描画負荷の軽いゲームが動かせるかもしれない程度の結果です。

 一方、消費電力の測定結果は、アイドル時に6W、最も高い数値を示したファイナルファンタジー XIV ベンチマーク実行中でも15Wとなりました。メインストリーム向けの製品に触れる機会の多い筆者にとって、文字通り桁の違う消費電力には脱帽です。ライトな用途でPCを使う方にとって、この消費電力の低さは魅力的でしょう。


性能よりも消費電力で選びたいベアボーンキット

 性能面ではどうしても割り切りが必要なベアボーンキットなのですが、最大でも20W未満という消費電力の低さは魅力的です。メールや文書作成が中心のオフィス用PCや、ウェブ閲覧などに用途を絞ったセカンドPCとしての用途なら、十分実用に耐え得るPCに仕上げることができます。

 XS35V4の実売価格は約22,000円(税込)ですので、最低限必要なメモリとストレージに、OSとDVDドライブを揃えても、上手くすれば5万円以内におさまります。既に高性能なPCを持っている方も、ローコストで導入できる省電力志向のセカンドPCとして、XS35V4を検討してみてはいかがでしょう。

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