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これぞ立体冷却?なGTX 1080を投入、GIGABYTEに聞く「ビデオカードを冷やす新たな工夫」
ビジュアルにもこだわった「XTREME GAMING」シリーズ text by 石川ひさよし
2016年6月20日 00:01
5月31日から6月4日の期間で開催されたCOMPUTEX TAIPEI 2016。GIGABYTEブースは、伝統の台北世界貿易中心(TWTC)のホール1の1階に構えられていた。
ブースは同社のゲーミングブランド「XTREME GAMING」が前面に押し出した展示内容で、ファンが一部重なり合う新構造クーラー採用のGeForce GTX 1080など注目製品も展示されていた。
今回はGIGABYTEオリジナルデザインのGeForce GTX 1080を中心に、展示ブースの様子をお届けする。
また、メーカーに意見を伝えたいという方向けにアンケートフォームを記事末尾に用意した。いただいた意見は後日メーカーに送付し、製品開発などの参考に活用していただく予定だ。
ファンが重なり合う新構造クーラーのGTX 1080を投入
ゲームと言えばやはりビデオカード。とくにCOMPUTEX TAIPEI 2016直前の5月に発表、そしてリファレンスクーラーの「Founders Edition」発売されたNVIDIA GeForce GTX 1080はその性能の高さ、消費電力の少なさで話題を集めている。
そして満を持して展示されていたのが、今後登場予定の「GV-N1080XTREME-8GD」とCOMPUTEX閉幕後に発売された「GV-N1080G1 GAMING-8GD」だ。
GV-N1080XTREME-8GDは、新構造のクーラーを搭載し最高性能を目指した、同社製GeForce GTX 1080ビデオカードのフラグシップモデル。ブースト時の最高クロックは1,936MHzと最速クラスのGeForce GTX 1080カードだ。
クーラーはファンを重ねて搭載する新構造を採用。クーラーの厚みは2.5スロット分あり、冷却性能も既存モデルからさらに向上していると見られる。補助電源コネクタは8ピン×2、「X」字の意匠も目を引く。
GV-N1080G1 GAMING-8GDは、従来からの同社ハイエンドビデオカードと同様、3連ファンが特徴のWINDFORCE 3Xクーラー(2スロット占有)を搭載するモデル。補助電源コネクタはリファレンス同様の8ピン×1基に収めた、高性能かつ取り回しがよいモデルだ。従来のWINDFORCE 3Xはブラックが中心で一部モデルでシルバーのプレートを用いていたのに対し、オレンジを差し色に用いイメージを一新している。
カード長はそのままで性能アップ、「GV-N1080XTREME-8GD」のポイントを聞いてみた
新構造クーラーを採用する「GV-N1080XTREME-8GD」だが、製品のポイントを同社でChannle Managerを務めるSen氏に伺った。
――直近のビデオカード製品では、GeForce GTX 1080を搭載する製品で、XTREME GAMINGの「GV-N1080XTREME-8GD」とG1 Gamingの「GV-N1080G1 GAMING-8GD」が発表されています。「XTREME GAMING」ではどこがどのように違うのでしょうか。
[Sen氏]G1 Gamingに搭載されるGPUクーラーは、実は強化されており、ひとつ上のセグメントだったGeForce GTX 980 Ti相当のWINDFORCE 3Xを採用しています。これも強力な製品ですが、「XTREME GAMING」ではファンの口径を10cmに拡大し、中央と左右のファンを一部重ねることで、カードの奥行き延ばすことなくさらに風量を増やすことができました。
また、こうした構造により、風がヒートシンクに直接当たる面積が拡大し、従来のWINDFORCE 3Xよりも優れた放熱効果が得られるようになりました。8cmファン×3基のものと比較すると10%ほど性能が向上しています。なお、このファンのレイアウトは現在特許を申請しております。
ファンの搭載方法以外にも、新形状のフィンを搭載するヒートシンクの採用や、ファンのブレード形状やヒートパイプなども改良し、冷却能力を全体的に向上させています。
そのほか、電源回路には12+2フェーズのレイアウトを採用し、補助電源端子も8+8ピンとすることでオーバークロックへの対応を強化しています。
――クーラー以外の点ではいかがでしょうか。
[Sen氏]「GV-N1080XTREME-8GD」には、カードの後部に「Xtreme VR Link」を設けております。これはカード後部に2基のHDMI端子を設けたもので、ここからフロントパネルへと映像信号を出力することで、PCの前面から簡単にVRヘッドセットの着脱が可能になります。また、5インチベイに搭載するVRヘッドセット用のHDMIパネルやSLIブリッジなどをバンドルしたプレミアムパックも発売する予定です。
なお、「Xtreme VR Link」はバックブラケット側のDisplayPort×2基と排他となっていますので、その部分を避けてディスプレイと接続すれば、ディスプレイとVRヘッドセットとの共存が可能です。
――GPU用ユーティリティを一新されたそうですが、そちらはいかがでしょうか。
[Sen氏]今回から「OC GURU II」に代わり「Xtreme Engine」をバンドルすることになりました。UIを一新し、より直感的に扱えるよう改良されています。また、「XTREME GAMING」以外の、例えばG1 Gamingシリーズでも、「Xtreme Engine」をバンドルすることになりました。GIGABYTEの新たなGPUユーティリティとしてご利用ください。
トータルコーディネートを目指す「XTREME GAMING」ビジュアルにこだわるユーザーのために
GIGABYTEと言えば先にも述べたように、PC関連の幅広い製品を取り扱っている。そうなると自作PCを組む際、GIGABYTE製品で統一感あるPCを組んでみようと考える方も多いだろう。
そんなユーザーへ朗報となるのが同社の「XTREME GAMING」シリーズだ。ゲーミングデバイスからケースまで、デザインを統一した製品群となっており、性能だけでなく、ビジュアル面や使用したときの楽しさなど、プラスアルファの部分も重視した製品となっている。
今年のGIGABYTEブースは「XTREME GAMING」ブランドを前面に押し出すかたちで展開しており、ブース全体のカラーもイメージカラーの黒×オレンジでまとめられ、されていた。
ゲーミングデバイスからケース、電源までデザイン統一
――「XTREME GAMING」はいつからスタートしたのでしょうか。
[Sen氏]「XTREME GAMING」は、2015年のCOMPUTEXの後にスタートしました。従来よりビデオカードにおいて「XTREME GAMING」シリーズを展開していましたが、これを幅広い製品群に拡大したイメージになります。現在、ビデオカードをはじめ、CPUクーラー、マウス/マウスパッド、キーボード、電源、ケース、ヘッドセットなどがシリーズの製品がリリースされており、「XTREME GAMING」シリーズとして今後も製品を拡充していく予定です。
――ケースや電源など、現在日本では取り扱いのない製品も含まれますが、これも展開していこうとお考えでしょうか。
[Sen氏]日本でも展開を検討していきたいと思います。
――「XTREME GAMING」のターゲットはどのようなユーザー層なのでしょうか。
[Sen氏]ゲーマーはもちろん、今話題のVRユーザーにもオススメしていきたい製品です。また、ビジュアルにもこだわっているので、幅広いユーザーの方に気にいって頂ける製品に仕上がっていると思います。
――「XTREME GAMING」シリーズのコンセプトはどのようなところにあるのでしょうか。
[Sen氏]「XTREME GAMING」全体としてはLEDを搭載したビジュアルを推しています。デザイン上では、角を落とした幾何学的なカッティングが特徴です。同時に、当然GIGABYTEの周辺機器の中でもエクストリーム、つまり性能的に上位のモデルで構成されています。「XTREME GAMING」製品には、盾をモチーフとしたエンブレムが付きますので、これを目印にお買い求めください。
――「XTREME GAMING」を選ぶメリットにつきまして、製品のデザインや性能以外でありましたら教えて下さい。
[Sen氏]今回「XTREME GAMING」の各製品ではLEDを搭載しています。これまでも、LEDを搭載した製品は各社から登場しています。ただし、それらは個別に発光を設定していかなければなりませんでした。GIGABYTEの「XTREME GAMING」シリーズで統一することによって、これを簡単に同期できるように、ユーティリティの開発や、マザーボードチームとの連携を進めていきます。
トップクラスのゲーマーが愛用する「XTREME GAMING」フィードバックを反映してより使いやすい製品に
――今回のCOMPUTEX TAIPEI 2016のブースでは、ゲーマーをお呼びして「XTREME GAMING」シリーズをアピールしていましたが、こうしたXTREME GAMINGの取り組みについて教えて下さい。
[Sen氏]今回お呼びしているのはLoLのトップランカーである「Voyboy」氏です。彼のような有名なゲーマーやTwitchの実況者などとコネクションを持ち、「XTREME GAMING」製品を実際に使っていただくことで、彼らからフィードバックを得られます。1日のうち16時間もゲームに費やすようなトップのゲーマーは問題箇所を素早く見つけてくれますし、フィードバックやニーズを汲み取り製品に取り込むことで、より優れた製品を開発することが可能になります。
トップゲーマーの望むものを製品化し、それが愛用品となることで、彼らと「同じものが欲しい」というようなゲームファン層にも製品を届けることができます。トップゲーマーと協力していくことはマーケティングの面でも重要なのです。
――こうした取り組みは台湾を中心としたものなのでしょうか。
[Sen氏]プロゲーマーへの協賛は、世界、そしてアジア各国でも取り組んでおります。日本ではDetonatioNをはじめとするゲーミングチームに協賛しております。学校のゲーミングクラブやゲーミングチームの方で機材面やノウハウなどで悩んでいることがあれば、何か協力できることがあるかと思いますので、問い合わせていただければと思います。また、こういった活動は今後も力を入れて広げていきたいと考えています。
――ありがとうございました。