特集、その他

“ストレージ最強”のPS4 Proを作ってみる、内蔵SSD+外付けHDDで速度と容量を両立!

合計9TBで、ゲームも録画もし放題? text by 日沼 諭史

SSDと大容量HDDで、「超高速(SSD)+大容量(HDD)」の最強PS4 Pro環境に!

 さる2月にリリースされたPlayStation 4(PS4)の「システムソフトウェア バージョン4.50」で、ヘビーなゲームユーザーには待望ともいえる新機能が追加された。それは、外付けHDDの拡張ストレージ化、というもの。これにより本体ストレージだけでなく、USB接続の外付けHDDにもゲーム(アプリケーション)をインストールできるようになって、コストパフォーマンスよく、日々大容量化が進むゲームをガンガンインストール可能になったのだ。

 もともと交換可能な内蔵HDDをSSD化するのと合わせ、大容量の外付けHDDも用意することで、PS4は「超高速」(SSD)と「大容量」(HDD)を両立……つまり、「最強のストレージ構成」を実現するカスタムゲームマシンになるのではないか………とか思ってしまった筆者は、さっそくPS4 Proで試してみることにしたのである。

 今回使ったのはウエスタンデジタルが発売する「WD」ブランドの製品。具体的にはPC内蔵用SSD「WD Blue SSD」の最大容量モデル(1TB)と、据え置き用外付けHDD「MY BOOK」の最大容量モデル(8TB)だ。

 SSDによってどれくらい高速になるのか、そして外付けHDDでどう便利になって“最強”になるのか、確かめてみた。

用意したのは1TBのSSDと8TBのHDDWDの「WD Blue SSD」と「MY BOOK」

 ということで今回用意することにしたのは、1TBのSSDと8TBのHDD、いずれもWDブランドの製品でそろえてみた。

 SSDの「WD Blue」は、2.5インチ、SATA3インターフェース(Revision 3.x/SATA 6Gbps)のPC向け製品。読み込みは最大545MB/秒、書き込みは最大525MB/秒だ。ストレージインターフェースがSATA3となっているPS4 Proでは、(標準の内蔵HDDがSATA2対応品ということもあり)高速なSSDに換装することでかなりのパフォーマンスアップが望める。

 最大容量は1TB(モデル番号:WDS100T1B0A)で、今回選択したのももちろんこれだ。

今回検証に使用した「WD Blue SSD 1TB」(写真内右)。実売価格は35,000円余り。
 ちなみに、この「WD」ブランドのSSDは、ウエスタンデジタルとサンディスクの統合をうけて両者の技術を共有、その成果として発売したものだそう。保証期間は3年だ。

 それに組み合わせる「MY BOOK」は、外付けのUSB 3.0/2.0対応HDD。ACアダプター仕様の据え置き型で、3/4/6/8TBの4種がラインアップされている。

 上半分が光沢ブラック、下半分がツヤ消しブラックという外観で、PS4 Proと並べると専用アクセサリーかと勘違いしそうになるほどしっくりくるデザインだ。

 こちらも最大容量となる8TB(モデル番号:WDBBGB0080HBK)を使用した。

同じく検証に使用した「MY BOOK 8TB」。実売価格はおよそ37,000円
PS4 Proと並べると、かなりしっくりくるデザイン

おさらい:内蔵ストレージの換装はこうやろう

 ということで、まずは内蔵HDDのSSDへの換装からおさらいしよう。

【用意するもの】

必要な工具はプラスドライバーのみ。静電気に注意する必要はあるが、簡単に換装できる

・PS4 Pro本体
・WD Blue SSD 1TB
・PC(システムソフトウェアダウンロード用。Windows/macOSどちらでもOK)
・USBメモリ(最低1GB。セーブデータ、キャプチャーデータの量によってはより大容量が必要)
・ワイヤレスコントローラーとUSBケーブル(PS4 Pro初期化時にコントローラーのケーブル接続が必要)
・小型プラスドライバー
・静電気対策用手袋(念のため)

1. USBメモリをPS4 Proに接続し、メニューの「設定」→「アプリケーションセーブデータ管理」で必要なセーブデータをUSBメモリにバックアップする

USBメモリを挿入
セーブデータをUSBメモリにバックアップ

2. 「設定」→「本体ストレージ管理」→「キャプチャーギャラリー」から必要なキャプチャーデータをUSBメモリにバックアップする

キャプチャーデータもバックアップ

3. 公式サイトから「アップデート(システムソフトウェアを再インストール)」用のファイルをダウンロードし、USBメモリ内の所定のフォルダに格納する

「システムソフトウェア アップデート」ページからシステム再インストール用のアップデートファイルをダウンロード
同サイトに記載がある手順に沿って、USBメモリの所定のフォルダに格納する

4. PS4本体背面のカバーを引っ張って外し、プラスドライバーでねじを1本外す

背面カバーを外す
プラスドライバーでねじを外す

5. HDDトレーを引き出し、4つのねじを取り外して、SSDと取り替える

HDDトレーを引き出す
HDDとSSDを入れ替える

6. 取り付ける向きと挿入する向きに注意しながら再びねじで固定し、本体にセット。ねじを締めてカバーする

7. 電源ボタンを7秒以上長押しして電源オン。セーフモードで起動するので、メニューから「PS4を初期化する(システムソフトウェアを再インストールする)」を選択

8. 初期化完了後、各ゲームをインストールし、セーブデータもUSBメモリからコピーして完了

初期化後にゲームを再インストール

「内蔵SSD」で大幅スピードアップ!ゲームによってはロード時間が半分に

 では、SSDでどれくらい高速化するのか検証してみる。今回は主に各ゲームのタイトル画面などからゲームスタートした時のローディング時間を計測している。元の標準HDDと、WD Blue SSDそれぞれに全く同じゲーム、セーブデータをインストールしておき、ストップウォッチで手計測した。

 検証に使用したゲームは新旧取り混ぜた6本。計測ポイントも参考までに記載した。本体の設定でブーストモードをオンにし、ゲームタイトルごとの検証前にPS4 Proを再起動。その後、1回計測するたびに「アプリケーション終了」し、それを5回繰り返している。なお、モニターはフルHD液晶で、HDRには対応していない。結果は以下の通り。

1. NieR:Automata

タイム計測の開始ポイント
タイム計測の停止ポイント
NieR:Automataのローディング時間比較グラフ

2. ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド

タイム計測の開始ポイント
タイム計測の停止ポイント
ファイナルファンタジーXIVのローディング時間比較グラフ

3. BIOHAZARD 7 resident evil

 最初のセーブ地点。「CONTINUE」選択後、NEXTボタンが表示されるまでのタイムを計測。

タイム計測の開始ポイント
タイム計測の停止ポイント
BIOHAZARD 7 resident evilのローディング時間比較グラフ

4. Horizon Zero Dawn

 最初の手動セーブ地点。セーブスロット選択後、フィールドが表示されるまでのタイムを計測。

タイム計測の開始ポイント
タイム計測の停止ポイント
Horizon Zero Dawnのローディング時間比較グラフ

5. GRAVITY DAZE 2

 最初の手動セーブ地点。「続きから」選択後、フィールドが表示されるまでのタイムを計測。

タイム計測の開始ポイント
タイム計測の停止ポイント
GRAVITY DAZE 2のローディング時間比較グラフ

6. For Honor

 ストーリーモード「第一章-ナイト」の最初のステージスタート後、音声が聞こえるまでのタイムを計測。

タイム計測の開始ポイント
タイム計測の停止ポイント
For Honorのローディング時間比較グラフ

 どのゲームも大幅にスピードアップしており、SSDの高速さが大きく活きているようだ。特にHorizon Zero Dawnは倍以上高速化し、さすがにここまでだと体感でも明らかに速くなったとわかる。反対に最も差が小さかったのがNieR:Automataで、比率でいうと26%の高速化に止まった。それでも3分の1短縮できているわけで、速いことは速いのだが、ストレージによって差が少ないのは、もしかするとプログラム的に何らかの最適化が働いているせいなのかもしれない。

8TBの外付けHDDの活用法(その1)「ゲームのインストール用」で使ってみる

MY BOOKにゲームをめっちゃインストールしたい

 SSDの威力を改めて思い知らされたところで、今度はPS4の新機能である外付けHDDの拡張ストレージ化を「MY BOOK」で試してみる。

 この「拡張ストレージ」というのは、PS4本体内蔵のストレージに対する「拡張」ストレージという意味で、可能なのは基本的に「アプリケーションのインストール」だ。これまでは本体の内蔵ストレージにしかゲームをインストールできず、昨今の大容量化が進むゲームを常にインストールしておける本数が気になっていた人もいると思うが、外付けストレージにインストールできるようになったことで、この問題を見事に解決できるようになったというわけだ。

 もちろん内蔵ストレージを大容量HDDにする手もあるが、内蔵用2.5インチHDDと外付けUSB HDDとを同容量で比較すれば、(3.5インチも使える)外付けの方が低コストだったりする。外付けということで速度面がどうなるのか気になるところだけれど、容量の大きい外付けHDDにしておけば(複数増設もできるので)、実質的に残り容量を気にせずどんどんゲームを買いまくってインストールしまくれるのである。

MY BOOKを接続するUSBポートのはPS4 Proの前面でも、背面でもOK
本体設定の「USBストレージ機器」で「拡張ストレージ」としてフォーマット
ちなみに8TBのフォーマットにかかったのは30秒余り
フォーマット後は7.35TBとなった

 もちろん、すでに内蔵ストレージにインストールしているゲームも外付けHDDに移動できるし、PS4の電源のオン・オフにMY BOOKの電源も連動するので、使い勝手もいい。システムの初期化・再セットアップが必要になった時に、ゲームを再インストールする必要がなくなるというメリットもあるだろう。

本体ストレージにインストール済みのゲームを拡張ストレージに移動できる
デフォルトのインストール先を本体内蔵ストレージにするか、拡張ストレージにするかを設定可能

 なお、「拡張ストレージ」として使う場合、ゲーム(アプリケーション)をインストールする以外の用途には使えないので気を付けたい。スクリーンショットやゲームプレイの録画などはもちろん、ゲームのセーブデータをバックアップしておく用途にも利用できない。「拡張ストレージ」は、「あくまでもゲームをたくさんインストールしておけるようにする機能」と理解しておこう。

 キャプチャーデータやセーブデータをバックアップしたいのであれば、外付けHDDを接続した後、設定画面の「周辺機器」からHDDを「exFAT」形式でフォーマットすることで、従来通り利用できる。もちろんこの場合は、ゲームのインストールには使えない。

【標準HDDと「MY BOOK」の速度を比べてみた】

 ちなみに、では「外付けHDDにゲームを入れる」というのは容量以外に意味がないのか?というと実はそうでもない。

 以下の2つの検証は、内蔵の標準HDDとWD Blue SSD、外付けの「MY BOOK」の3種を使い、「NieR:Automata」のローディング時間と、ゲーム「TITANFALL 2」のインストールにかかった時間をそれぞれ比較したものだ。

 事前の予想は、「外付け」という点から「外付けHDDが最も遅くなるのではないか」と考えていたが、さほど遅くない、あるいは場合によっては高速になる、ということがわかった。これは、標準HDDがSATA2(転送速度3Gbps)であり、外付けがUSB 3.0(転送速度5Gbps)というインターフェースの仕様によるところや、MY BOOKそのものの性能の高さが影響しているのだろう。

 先述したように、MY BOOKの電源はPS4の電源オン・オフに連動するため、使い勝手もよい。「内蔵ストレージの換装はハードルが高い」と思う場合は、高速な外付けストレージを導入する、という手もあるだろう。

 なお、SSDにインストールしていた「NieR:Automata」を拡張ストレージのMY BOOKに移動するのにかかった時間は、およそ7分43秒(データ容量は48.86GB)だった。単純計算で、500GBの内蔵ストレージ一杯のゲームを外付けに移すのにかかるのが1時間20分程度となるので、わりと気軽に移したり、戻したりできそうだ。

【NieR:Automataのローディング時間の比較】
最初の手動セーブ地点。「ゲームスタート」後、フィールドが表示されるまでのタイムを計測
【TITANFALL 2インストール時間の比較】
ディスクからインストールを実行。タイトル画面でインストールの進捗を表すゲージが「25%」になったところから、100%に達し「インストール進行中」の表示が消えるまでのタイムを計測

8TBの外付けHDDの活用法(その2)「データ用」なら録画し放題?

exFAT形式でフォーマットすれば、ゲーム以外のキャプチャーデータやセーブデータをバックアップできる

 外付けHDDのもう一つの活用法は、キャプチャーデータやセーブデータのバックアップだ。

 「内蔵ストレージは1TBで十分」という人なら、外付けストレージをexFATで使うことで、こうした使い方が可能になる。

 特にゲームプレイを録画した動画データは、15分で約1.2GBほどの容量になる。これが積み重なると、たとえ内蔵ストレージが1TBあっても、一杯になるのは時間の問題。不要なものを削除する、ということも大事ではあるけれど、「後で整理するから、とりあえず」ということで退避しておける外付けHDDがあると心強いものだ。

「最強構成」を安価にやるのも手?500GB SSDや小型の外付けHDDを使う手も

1TBと500GBの「WD Blue SSD」。500GBの実売価格は約18,000円と1TBのだいたい半額

 というわけで、今回、SSDとHDDを併用した場合の構成をざっと見てきた。

 なかなか興味深かったのは、MY BOOKを拡張ストレージとして使った時のパフォーマンスが意外に高い点。ここまでの性能があるのであれば、内蔵ストレージの性能や容量を含め、選び方や使い方にもいろいろなバリエーションが考えられそうだ。

 たとえば「コストパフォーマンス重視」なら、内蔵ドライブをそこそこ入手しやすい価格帯の500GB版WD Blue SSDにし、よく遊ぶゲームだけをインストール。外付けには拡張ストレージのMY BOOKを使用、それ以外のゲームをインストールしておく、という構成もアリだろう。

 また、「コスト重視」なら、同じ「WDブランド」のポータブルHDD「MY PASSPORT」を外付けに選ぶのも手。「MY PASSPORT」は多色展開のカラフルなポータブル外付けHDDで、1/2/3/4TBをラインアップする。バスパワー駆動かつ、縦横81.5×110mmというコンパクトさで、ほとんどポケットサイズだ。モバイル性に優れた製品だから、普段は据え置きとして使いつつ、友達の家でゲームをプレイする時はゲームをインストールしたMY PASSPORTだけ持って行く、なんていうスタイルも面白い。

3TBの「MY PASSPORT」(モデル番号:WDBYFT0030BBL)。実売価格は16,000円ほど
MY BOOKと比べるとこの小ささ

 あるいは、これまではそもそもPS4を購入する際に、値段と今後のゲームインストールの数を考えて500GBにするか、1TBにするかで迷っていた人もいると思うが、外付けHDDが使えるようになった今、そんな悩みはもうなくなるだろう。とりあえず最低容量モデルのPS4を購入し、容量不足になった時は外付けHDDでカバーすればいいのだ。

 超高速かつ大容量な“最強”のPS4/PS4 Proを目指すなら、内蔵はSSD必須。なのだけれども、内蔵は小容量でもいいし、大容量でもいい。足りなくなったら、その分は外付けでなんとかできる、というフレキシブルな考え方ができるようになった今回のPS4/PS4 Proのアップデート。WD Blue SSD、MY BOOK、MY PASSPORTのうちどれか、もしくはすべてを導入して、自分のプレイスタイルに合った最適なゲーム環境の構築にチャレンジしてみてほしい。

内蔵にWD Blue SSD、外付けに拡張ストレージのMY BOOKとバックアップ用のMY PASSPORTを使う、というのが最高に違いない

[制作協力:Western Digital]