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Windows 8こそ液晶アーム、「変形できる作業環境」を実現してみた

 Windows 8の登場で、デスクトップでもタッチパネル付きの液晶を使いたいと考えている人も多いかもしれない。タッチパネル液晶を使う場合には、通常の液晶ディスプレイとは異なる角度や位置での利用がベストとなるが、一般的な液晶ディスプレイではスタンドの仕様から使える角度や位置に限界がある。

 そこで、タッチパネル液晶を導入する場合に注目したいのが、液晶アームだ。液晶アームを利用すれば、液晶の位置や角度を自在に調節でき、タッチパネル液晶の使い勝手を最大限引き出せるようになる。そこで今回は、タッチパネル液晶に最適な液晶アームを取り上げ、実際の使い勝手をチェックしたいと思う。

Windows 8こそ液晶アーム?

Windows 8正式対応をうたうタッチ液晶、Acer T232HLbmidz
既存の液晶パネルを「タッチ対応」にする後付キット。Windows 8の正式なロゴはないが、Windows 8のサポートをうたっている。
タッチで使いやすいのはこうした角度と位置。

 Windows 8の最大の特徴といえば、やはりタッチ操作に最適化した新UI「Windows 8スタイルUI」を採用している点だろう。

 Windows 8対応のノートPCでは、タッチパネル液晶を採用する製品が多く登場しており、タブレット型のスレートPC同様、注目を集めている。デスクトップは対応が少々遅れ気味だが、年末以降Windows 8に対応したタッチパネル搭載製品が続々登場する予定。また、秋葉原のパーツショップでは、既存の液晶ディスプレイをタッチパネル化するキットが登場し、価格の安さも手伝って人気となっている。来年以降は、デスクトップ用の液晶ディスプレイでも、タッチパネルの搭載が当たり前になる可能性が高い。

 ところで、通常液晶ディスプレイを使う場合には、使いやすい位置や角度に調節して使うのが普通だが、タッチ操作にも操作しやすい位置や角度があり、それは通常の位置とは大きく異なる。

 通常利用時には、目の位置が画面の中央付近で、視線がほぼ垂直になるような位置に調節するのが普通だろう。それに対し、タッチ操作を行う場合には、画面を奥に大きく倒すとともに、キーボードを置く位置に近い、かなり手前の位置での利用が最適となる。とはいえ、この位置に調節するのはかなり難しい。

 そうしたことを反映してか、Windows 8対応のオールインワンPCや最近のタッチパネル搭載液晶ディスプレイは特殊構造のスタンドを採用、液晶面が水平になるまで倒せる製品が増えている。

最新のタッチ液晶は、タッチ向けに倒せる製品が多い。角度的には問題ないが、前後方向は机の上で液晶をずらすしかない。場所を占有してしまうし、ポジションの切り替えにも手間がかかる。写真はAcer T232HLbmidzの場合。

 しかし、そういった製品でも角度を大きく倒せるだけで、前後の位置はそう簡単に調節できない。前後の位置を調節するには、本体自体を前後に移動させる必要があるが、そうしてしまうと、デスク上のほとんどの場所をディスプレイが占有してしまうことになる。デスク上にはキーボードやマウス、書類など置くものも多くあり、スペースの確保はかなり難しい。つまり、特殊な構造のスタンドを採用したとしても、通常利用とタッチ操作それぞれに対応した位置を切り替えて使うのは、かなり難しいと言わざるを得ない。

 そこで活用したいのが、液晶アームだ。

 すでに液晶アームを使っている人もいると思うが、液晶アームの利点は、複数の関節を持つアームに液晶ディスプレイを固定することで、水平・垂直の位置や液晶面の角度、向きを自在に調節できるところにある。しかも、液晶面はデスクから浮くため、デスク上に何かものを置いている場合でも、それらを別の場所に片付けることなく簡単に位置調節が可能だ。

エルゴトロン LX デスクトップマウントアームのセット内容。実売価格は概ね1万円前後。

 そうは言っても、液晶アームがあればいいというわけでもない。

 それは、画面の角度を大きく倒せる製品がほとんどないからだ。一般的な液晶アームは、前後、左右、上下の位置調節こそ比較的自在に行えるが、液晶面の角度は通常利用に対応した範囲内での調節にとどまっているものが多い。しかし、今回取り上げるエルゴトロンの「LX デスクマウントアーム 45-241-026」は、液晶面を70度と、水平にかなり近い角度にまで倒して利用できるうえに、上下左右前後の位置もスムーズに調節できるようになっている。これを実現しているのは、この液晶アームが他の製品とは異なる関節構造を採用しているからだ。

 一般的な液晶アームでは、水平の角度を調節できる1軸の関節を複数個と、高さの調節を行う後方ポールを組み合わせたものがほとんどだ。そのため、画面の高さ、前後左右の位置をスムーズに調節するのが難しい。それに対しLX デスクマウントアームは、水平と垂直の角度調節が行える特殊構造の2軸関節を採用することで、前後左右、高さの調節が自由自在。しかも、液晶面は70度まで倒せるため、通常時はデスク後方の位置に垂直に近い角度で使い、タッチ操作時は手前に引き寄せて角度を奥に大きく倒して使う、といった使い分けも手軽に行える。つまり、タッチパネル液晶を利用するなら、このLX デスクマウントアームの利用がベストといえる。

「変形できる作業環境」を実現してみた

 では実際の使用感……の前に、まずはその可動範囲や動きのほどを写真と動画で紹介しよう。想像以上に可動範囲が広く、スムースに動くのが特徴だ。

LX デスクマウントアームの可動例
普通の位置
タッチ操作向けの位置
左寄せ
左寄せ縦回転
右寄せ
右寄せやや斜め
上向き
ギリギリまで近く
その場で縦
斜め上向き(メンテナンスに便利)

動きの実際

 では、実際の使用感を見ていこう。

 LX デスクマウントアームの構造は、下の写真のような感じとなっている。

デスクに固定するクランプ部
1つめのアームを取り付けた状態
全てのアームを取り付けた状態
VESAマウント部。ここの角度が簡単に変更できるのが特徴だ。
ケーブル類はアームに固定しておくことができる(1)
ケーブル類はアームに固定しておくことができる(2)

 まず、デスクに固定するクランプがあり、そこから短いポールが伸びている。そのポールに、1つめのアームを取り付けるが、この部分は左右の角度が調節できる回転機構を備えている。そして、アームの先に取り付けるもう1本のアームの先に液晶ディスプレイを取り付けて利用することになるが、この2本目のアームこそLXデスクマウントアームのキモとなる部分。この部分は、左右の回転に加えて、上下の角度を調節するヒンジを備えている。これにより、1本目のアームとの組み合わせで前後の位置を、2本目のアームの上下の角度調節によって液晶の高さが同時に調節できる。しかも、上下の角度を調節しても、液晶面の角度が一定に保たれる機構も実現。これこそが、他のアームにはない独特の構造というわけだ。

 ちなみに、2本目のアームの先端に液晶ディスプレイを固定することになるが、この部分には液晶面の左右と上下の角度を調節するヒンジが備わっている。さらに、液晶を縦でも使えるように、90度のピボット機構も備える。つまり、LX デスクマウントアームには、全部で6軸の回転機構が備わっているというわけだ。この6軸の回転機構を組み合わせることで、片手で簡単に位置や角度を調節できる。

 実際に液晶ディスプレイを取り付けて位置や角度の調節を行ってみたが、液晶下部を片手で持って自在に調節できた。また、それほど強くない力で調節できるうえに、ぐらつきも少ない。しかも、高さの調節範囲もかなり広く、液晶を奥に倒し、デスクすれすれの位置まで下げて使うことも可能。これもLX デスクマウントアームの魅力で、液晶を倒して低い位置で使えるからこそ、タッチパネル液晶に最適な液晶アームなのである。

クランプ部の設置の様子
クランプ部

 ちなみに、LX デスクマウントアームを使ううえで気を付けなければならないのは、利用しているデスクの構造だ。LX デスクマウントアームを使うには、クランプ部をデスクにしっかり固定できる必要があるが、それにはデスクの厚さが10〜60mmの範囲内であることが絶対条件。それに加えて、クランプ部は幅が約155mm、奥行きが約110mmあり、デスクの側面からその範囲のスペースも確保できなければならない。

 一般的なビジネスデスクならこのスペースの確保は難しいことではないし、個人用のデスクでも同様だとは思う。ただ、デスクによっては、高さが足りなかったり、クランプ部を奥までしっかり差し込むだけのスペースが確保できない場合もあるため、購入前にしっかり確認する必要がある。

アーム導入時に注意すべきポイント

 最後に、液晶アーム導入時に注意すべきポイントをいくつかまとめておこう。

液晶ディスプレイがVESAマウント規格に対応している必要がある

 液晶ディスプレイを液晶アームに固定するには、液晶ディスプレイが「VESAマウント規格」と呼ばれるマウント規格に対応している必要がある。液晶ディスプレイ背面を見ると、中央部付近に4つのネジ穴が用意されているが、そのネジ穴の大きさや幅を規格化したものがVESAマウント規格だ。ちなみに、LX デスクマウントアームはネジ穴間の幅が75mmまたは100mmの双方に対応している。そして、一般的な液晶ディスプレイの多くが、ネジ穴の幅として75mmまたは100mmのどちらかを採用しているため、多くの製品が取り付け可能と考えていい。

対応ディスプレイはサイズではなく重さで決まる

 液晶アームには、対応する液晶ディスプレイのサイズと重量が記載されているが、本当に重要なのは液晶のサイズではなく重量だ。重量が重くなるとアームが保持しきれなくなり、正常に利用できなくなる。逆に、サイズが大きくても、重量が軽ければ問題なく支えられる。つまり、液晶アームで使える液晶ディスプレイは、サイズではなく重さで決まると考えていいわけだ。

 例えば、LX デスクマウントアームでは、サイズは24型以下、重量は3.1〜9.1kgとされているが、24型を超えるサイズでも、重量が9.1kg以下のものであれば利用可能。逆に、24型以下のものでも、重量が9.1kgを超えているものは利用できない。なお、24インチを超える場合、VESAマウントの位置によっては縦置き時の高さにも注意が必要だ。

 また、液晶の重さによる下降を防ぐため、重さによっては調整を行う必要がある。逆に言うと、重さが違う液晶でもこうした工夫でスムースに動くよう、工夫されているわけだ。

※記事初出時、液晶サイズの対応サイズを「27型」としておりましたが、正しくは24型までとなります。お詫びして訂正させていただきます(12/19)

ぐらつきはデスク自体の強度によっても変わる

 液晶アームを使っていて気になるのは、液晶面のぐらつきだ。液晶面がぐらつく大きな要因は、アームの関節部やアーム自体の素材の強度などで、それらの強度が弱ければ、当然ぐらつきが大きくなる。ただ、それら以上に気を付けたいのは、デスク自体の強度だ。例えば、デスクの厚さが薄ければ、それだけぐらつきも大きくなる。また、LX デスクマウントアームのようにクランプで固定する製品の場合、デスク面の締め付けに対しての強度も要求される。そのため、取り付けを考えているデスク自体の強度もしっかり確認しておこう。

(平澤 寿康)

エルゴトロン LX デスクマウントアーム