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3メーカーに聞く、Haswell時代の電源選び
【Seasonic編】こだわりは「品質」「信頼」「安全」、5年間の交換保証でトータルに安く

Text by 石川ひさよし

 自作PCの隠れた重要パーツといえるのが電源。

 CPUやSSDなどの華々しいパーツに隠れがちだが、PCを長期間安定動作させるには電源選びが大切だ。新たに発売されたHaswell環境でも、その性能を活かしきるには「対応電源」が必要という。

 こうした重要さの反面、電源選びのポイントはわかりにくい。変換効率を示す「80PLUS」のグレードや機能面の違いはあるが、似たようなスペック表が並んでいることも多い。しかし、スペック表に現れにくい設計やコンセプトで違いが出るのも「電源」の特徴。単に「安いだけ」で選んでしまうと、安定性に影響が出たり、「相性問題」に泣かされることになりがちだ。

 では、電源をどのように選んだら良いか?。今回、そのヒントを3つのメーカーに聞いてみた。各メーカーのポリシーやこだわりもお聞きしたので、電源選びの参考にしてほしい。

 Seasonicと言えば、自作PCでもかなり古くから、それこそAT互換機とかDOS/V機と言われていた時代からの古参電源メーカーだ。現在は、中容量~大容量モデルを中心に、やや高級なブランドとして確固たるポジションと築いている。

 また、80PLUSへの素早い対応や、フルモジュラー式ケーブルの採用など、積極的に機能を取り込む点も特徴。

 今回は、Seasonicの日本法人、Seasonic Japanでゼネラルマネージャーを務める国方 宏志氏と、Seasonic製電源を国内で販売するオウルテックのマネージャー、浅賀 哲也氏にSeasonic製電源のこだわりや特徴などをお伺いした。

こだわりは「品質」「信頼」「安全」の3本柱

オウルテック 浅賀 哲也氏(左)とSeasonic Japan 国方 宏志氏(右)
同社電源の現行最上位クラス「XP2」シリーズ
XP2シリーズは80PLUS Platinumの高効率と、フルモジュラーの使いやすさが特徴。760Wモデルは奥行き160mmとコンパクト
30%の負荷までファンを停止、その後も負荷に応じてファン回転数を制御する「ハイブリッド・サイレントファンコントロール機能」。同社電源の大きなウリだが、こうした制御も効率が高いからこそ有効なのだという
ハイブリッド・サイレントファンコントロール機能の切り替えスイッチ。スイッチの切り替えでファンを継続的に回すNormalモードにも変更できる。なお、大容量モデルをハイブリッド・サイレントファンコントロール機能を利用すると、通常の使用中ならほとんどファンが回らない。静音性を重視するなら重要なポイントだ
Seasonic電源には本体やケーブルを収めるポーチも付属する。こうしたところの高級感も特徴だ
電解コンデンサも固体コンデンサもともに日本メーカー製の105℃対応品を使用
別売オプションとなるが、PCオフの状態でも各種のUSB充電対応機器に給電できるベイユニットが用意されている

--はじめに、Seasonicのこだわりなどを教えて下さい。

[国方氏]Seasonicは、開発から製造販売まで行う電源専業メーカーとして設立、今年で37周年を迎えますが、製品に対するこだわりは大きく3つ、「品質」「信頼」「安全」です。

 まず品質ですが、電源を構成する部品ひとつひとつにも高品質なものを採用しており、日本国内モデルに関しては、電解コンデンサに日本メーカー製の105℃対応品を採用していますし、二次側平滑回路には日本メーカー製105℃対応固体コンデンサを採用しています。ファンの耐久性についても、山洋製ファンをベースにブレード形状にもこだわり、さらに独自のハイブリッドファンコントロール機能を加えることで自動的にファンの動作モードを変更、静音性を追求しています。ほか、使い勝手の面で、必要最小限のケーブルだけで構成できるフルモジュラー式ケーブルの採用を積極的に進めています。

--コンデンサの105℃対応はよく聞かれるキーワードですが、具体的にどのような点が他のコンデンサと異なるのでしょうか。

[国方氏]主な違いは製品寿命ですね。85℃と105℃対応製品では、寿命に約4倍の差があるのです。

 電源の故障要因は、大きく2つありまして、そのひとつがコンデンサの不良です。寿命の長い部品を使うことで、故障が減らせる、というわけです。

 なお、故障要因のもうひとつがファンの故障でファンが停止、内部温度が上昇することで他のパーツまで壊してしまう、といった内容です。

--では山洋ファンの採用はそうしたファン故障への対応なのでしょうか。

[国方氏]そのとおりです。山洋ファンは医療など、PCよりもさらにクリティカルな現場でも採用されているとおり、信頼性に関して十分な実績があります。また、山洋ファンを使うことでパッケージとしての電源製品の良さを引き出すことにも成功しています。

--信頼・安全についてはいかがでしょうか。

[国方氏]信頼面では、80PLUSやエナジースターはもちろん、RoHSやErP Lot 6 2013など、必要な認証制度は全て取得しています。また、品質へのこだわりにも関連しますが、設計品質が高ければ発熱が減り、各部品への負担が減りますので、それに応じて耐久性も高くなります。

 続いて安全性についてですが、Seasonicでは、日本国内での販売に際し、10年来におよびオウルテックとの代理店契約を結んでおり、日本のお客さんへのサポートを行なっています。長く使っていただけるよう、5年間の新品交換保証も付与しておりますので、安心してご利用いただけます。

--Seasonic製の電源と言うと、比較的高価な印象ですが、いかがでしょうか。

[国方氏]先に述べました品質の追求の結果と言えます。単純に高価と言えるかは、製品の品質、そして5年という長期の製品保証と合わせて検討いただけると幸いです。

--なるほど、そうした特徴は日本向け製品だけなのでしょうか?

[国方氏]たとえば、日本メーカー製コンデンサや山洋ファンの採用は日本市場向けの特徴です。

 また、世界共通な特徴としては、電圧降下試験などが挙げられます。日本国内は世界と比べると安定した電圧が供給されている地域になりますが、万が一にも備えるため、日本国内向けモデルに対しても、しっかり試験を行なっています。

--Haswellへの対応についてはいかがでしょうか?

[国方氏]Haswellへの対応に関しては、Seasonicの内部検証、そしてIntelにおける検証ともに実施しています。検証自体はIntelの推奨する内容に沿って実施しています。特に問題となるのが省電力機能のC6/C7ステートへの対応ですが、弊社のリテール製品で80PLUS Gold以上のものは現行全製品で対応していますので、安心してお選びいただけます。

高効率電源は自身の発熱が少なく、より長寿命

80PLUSのグレードの高い製品ほど、高効率で高品質、長寿命という
80PLUS Platinum対応の「XP2」シリーズの内部

--Seasonicの電源は豊富にラインナップされていますが、ユーザーはどのような点をポイントに選べば良いのでしょうか。

[国方氏]一番肝心なのは容量です。ユーザーニーズに合った容量を選ぶことが重要ですが、これはおよそ使用するであろう容量の倍を選んでいただくと、変換効率が最も良い出力帯でご利用いただけます。

 また、80PLUSのグレードも注目して欲しいポイントです。特に長く使いたいという方には80PLUS Platinum電源がオススメです。まず、高効率な電源はそれ自体の発熱が少ないため、環境温度を低く保て、それが自身の長寿命にも繋がります。また、高効率を達成するための部品、それ自体が高品質でもあります。こうした理由から、80PLUSのグレードの高い製品ほど、高効率で高品質、長寿命という公式が成り立つのです。

現在の一番のオススメは80PLUS Platinum製品(XP2シリーズおよびXPシリーズ)ですが、Haswellと組み合わせるとなると、特に80PLUS Goldや同Platinumが中心になってくると思われます。

製品保証は5年間、期間中は新品への交換保証

5年間の新品交換保証も大きなウリ。Seasonic製電源は比較的高価な製品が多いが、こうした保証ができる高い製品品質と相まって、「初期コストが若干高くなっても、トータルの運用コストは安くなる」とアピールする

--先ほどお話いただいた「5年間新品交換保証」について詳しく教えてください。

[浅賀氏]どこの電源でも残念ながらトラブルが出てしまう可能性があると思いますが、弊社では、同じ製品の新品への交換を原則としています。これができるのは、もちろん故障率が低いためですし、製品にそれだけ自信があるということでもあります。

 なお、さすがに5年たつと廃番になる製品もありますが、そうした場合は上のグレードの製品と交換しています。もちろん差額などはいただいていません。ちなみに、この「新品への交換保証」は業界でも弊社が先駆けて始めたもので、皆様に安心して使っていただける環境づくりに役立てたと自負しています。

[国方氏]また、電源というのは、どうしても部品が劣化していきますので、この「5年」という期間を目安に買い替えていただくと安心して使えるかと思います。

--製品保証について詳しく教えて下さい。

[浅賀氏]いくつか条件がありますが、まず正規代理店である、弊社オウルテックが取り扱った製品であることがひとつ、そしてレシートと保証書が必須になります。オークションで入手されたものや、並行輸入品では保証外となる場合がありますので、ご注意ください。次に、故障の原因が故意・過失によるものや、改造によって生じた場合はこちらも保証の対象外になります。

ユーザーに向けて一言

[国方氏]Seasonicは、37年という長年にわたる電源開発のノウハウと実績があります。お客さんに安心して使ってもらえる、環境にやさしい電源であることを念頭に製品を開発しています。また、今後もオウルテックとのパートナーを継続することで、5年間新品交換保証をはじめとする、充実したサポートを展開していきたいと考えております。どうぞSeasonicの電源をよろしくお願いいたします。

石川 ひさよし

Seasonic 電源