特集、その他

GIGABYTEに聞く、
「最強&簡単」の3way水冷ビデオカードセット
「WATERFORCE」とは?

「水冷より冷える空冷」も新たに投入 text by 石川ひさよし

Rita Tsai氏(左)とEiten Tsai氏(右)
COMPUTEX会場でも一番目立つHall 1のエレベーターホールにもWATERFORCE!

 「今年の夏、ビデオカードは端境期。注目すべき新製品はとくにない……」そう思っていた人はいないだろうか? 新GPU登場という話はなく、各社の製品も発売されて久しいから、それも当然だ。

 しかし、COMPUTEX TAIPEI 2014のGIGABYTEブースに行ってみると、3way SLIのGeForce GTX 780 TiをOCで高速化、排熱や騒音も水冷で解決……というGIGABYTEのモンスタービデオカードシステム「WATERFORCE」が登場。さらに「並の水冷を超える」という強力な空冷クーラー「WINDFORCE 600W」を採用するビデオカードも今後、本格的に増えていくという。ビデオカードの選択ポイントが「冷却」になってきたことを考えると、思わぬ所でダークホースが登場してきたことになる。

 WATERFORCEやWINDFORCE 600Wについては、既にPC Watchでレポートが掲載されており、WINDFORCE 600Wに関しては既に製品もリリース(GeForce GTX TITAN Black搭載)されているが、こうした製品がどのようなコンセプトでどのように開発され、どのような使い勝手になるのか、そうした点にフォーカスして同社に詳細を聞いてみた。

 お話をお伺いしたのは、同社Graphics Card部門のRita Tsai氏とEiten Tsai氏だ。

WATERFORCEは最強、かつ組み込み簡単な3-way水冷「スーパーゲーマー」が最大のパフォーマンスを出すために

GIGABYTEプレイべートブースのWATERFORCEデモ機。ビデオカード部分はGeForce GTX 780 TiをOCした「GV-N78TX3WA-3GD」
WATERFORCEは、3way SLI構成のGeForce GTX 780 Tiと、ケース上部に置かれたラジエータボックスがセットとなった製品だ
WATERFORCEのビデオカード部分。メッシュパネルからうっすら水冷ヘッドユニットが見える
後付けの水冷と異なるのは専用のヒートシンク。これがVRMやメモリ部分も冷却するとのこと

――今回の展示では、「WATERFORCE」を大きくアピールしていますが、まず、これはどういった製品でしょうか?

[A] 今回の「WATERFORCE」は、3枚のGeForce GTX 780 Tiカードをオーバークロックし、その上で全てを水冷で冷却するという製品です。ビデオカードと冷却用の外部ラジエータユニットも接続済みで出荷しますので、面倒な組み立ての手間を大幅に軽減、誰でも3Way SLI+OCのパフォーマンスを手に入れることが可能です。

 動作クロックは、コアクロック928MHz、GPU Boost時1.15GHzで、もちろん3枚とも水冷仕様。トータルでGeForce GTX 780 Ti単体の2.5倍のパフォーマンスがあります。

 また、OSを介さずに、フロントパネルから各種の調節や現在の情報の確認が可能になっているのも特徴です。

――なかなか凄い製品ですが、どういった経緯で開発されたのでしょうか?

[A] この製品は、「スーパーゲーマー向けビデオカード」を想定し、3-wayを前提としました。

 通常の3-wayであれば弊社の空冷クーラー「WINDFORCE」でも十分冷却できますが、我々は「その上」を目指し、加えて静音性も検討し、空冷より水冷の方が適していると判断、結果として3-wayかつ、水冷というコンセプトで開発することになりました。開発は昨年のQ4からスタートしまして、実際の開発期間は4ヶ月ほどです。


WATERFORCEの制御はOSを介さずとも可能。フロントパネルに設けられたパネルに情報が表示され、下のボタンとダイヤルで調節ができる
ラジエータボックスは簡単に開けられる。内部にはよく見る簡易水冷用ラジエータが3基並んでいる

――外付けラジエータに制御&表示用パネルがついていますが、これは何に使えるのでしょうか?

[A] まず、モードスイッチを切り替えることで、3基それぞれのファン回転数、ポンプを調節することが可能です。実際にターゲットとなる回転数を指定するのは、右端にある大きなダイヤルになります。また、温度のターゲットを指定して自動的に冷却することも可能です。

――ラジエータボックスもなかなか巨大ですが、内部構造を詳しく説明いただけますか

[A] ラジエータボックスは内部にラジエータが3基並んだ構造で、38mmの厚いファンを3つ搭載しています。回転数は0〜2,800rpm。アイドル時はおよそ0〜1,100rpm程度で、静音性も考慮しています。逆に高負荷時はフルパワーで回転することになりますが、それでも温度は50℃くらいに保てます。3-way SLIでありながら、静かで、冷えるというのがWATERFORCEの強みです。

 また、メンテナンスにも配慮しており、ラジエータボックスのトップカバーを開けることでメンテナンスが行えます。ファンはトップカバー側に装着していますので、トップカバーを開けるだけで、ファンとラジエータ、両方のホコリ掃除が簡単にできます。

 さらに、細かいことですが、ラジエータボックスの開閉カバーにはショックアブソーバを取り付けています。開閉時に手を離してしまっても、パタンと閉まらず、ゆっくり閉まりますので、細かいことに気を使わず、メンテナンスに集中して頂けると思います。


電源が下置きのケースでの搭載例
電源が上置きのケースでの搭載例
デモ機の脚部にはゴムが採用されていた。これによりケース天板との間に若干のスペースが生まれる。多少の意匠があっても置けるよう、現在も調整が行われているとか

――「組み立て済みの外付けラジエータ」というと、(クーラントの処理などの)水冷ならではの苦労はなくなる反面、ケースへの組み込み方法が気になりますが、このあたりはいかがでしょうか?

[A] これについては色々検討しましたが、多くのゲーミングPCケースで装着できるような手法を採用しました。

 組み込み時の単位は「1枚のビデオカードと1個の12cm角ラジエータ」が基本で、PCケースの5インチベイを最低1つ取り外し、この取り付け単位を1つずつ、都合3回通していきます。

 全てのPCケースをサポートしているわけではありませんが、ゲーミングPCケースであれば5インチベイも豊富なため、問題ないだろうと考えています。

――外付けラジエータはケースの上に置くことが想定されているようですが、水冷チューブの長さはどれぐらいあるのでしょうか? また、PCケースの天面の構造によっては設置できない、といったこともありそうですが……

[A] 水冷チューブはおよそ120cmを予定しており、大型のゲーミングPCケースでも対応可能です、また、今回のデモ機のように、電源が下置きのレイアウトにも対応しています。

 また、ケースの天面構造についてですが、ある程度フラットであれば、調整可能なソフト脚によって対応できる予定です。細部に関しては現在も調整しており、できるだけ利用できないPCケースを少なくしたいと考えています。


ラジエータは着脱可能。ホコリ取りも簡単だ
ファンは12cm角で厚みが38mmのタイプ。低回転でも大風量を確保できる

――ラジエータ部の電源はどのように確保するのでしょうか

[A] 電源はPC本体内のATX電源から引き回す設計になっております。GeForce GTX 780 Tiが3枚に3つのラジエータという構成ですので、容量は750W以上が必要となります。


ウォーターチューブや電源ケーブルは5インチベイ1段分のケーブル引き込みユニットから取り回す

――販売について、現在検討されていることを教えて下さい

[A] まず、WATERFORCEはスーツケースに収める形での販売を考えています。価格は3,500米ドル前後になると思いますが、それだけのパフォーマンスと利便性のある製品だと自負しています。

 発売を予定しているのは3-wayのみですが、2-wayのバリエーション展開も検討中です。なお、1-wayではラジエータボックスを外置きする理由が無くなりますので、現在のデザインでは検討していません。また、GeForce GTX 780 Ti以外にも、Radeon搭載版も検討しています。


WATERFORCE用の3-way SLIブリッジも用意されている

――製品としての自信のほどはいかがでしょうか?簡易水冷が普及した現在でも、水冷という点に不安をいだく方もいると思いますが。

[A] WATERFORCEの完成度に不安はありません。今年、最高のパフォーマンスを求める方は是非ご検討ください(ただし、日本での発売は未定)。

 なお、WATERFORCEシリーズは初回モデル以降も継続し、ゲーマーに最高のパフォーマンスを提供し続けていきたい、と考えていますので、今後もご期待ください。

「普通の水冷」以上を空冷で実現するWINDFORCE 600W本格投入は下半期!?


ファンのブレードに溝が設けられた「3Dファン」。ケースファンでも昨今トレンドとなっているデザインだ
右は従来のWINDFORCE 450W。ファンブレードの形状が変更されている

――空冷クーラー「WINDFORCE」も新作「WINDFORCE 600W」が登場しましたが、これについて教えて下さい

[A] WINDFORCE 600Wは、従来の高性能モデル「WINDFORCE 450W」を強化、冷却能力を高めた製品で、「3Dファン」の採用と、ヒートシンクのデザイン変更が大きな違いになります。

 まず、「3Dファン」ですが、これはファンのブレードに溝を作ることでエアフローを向上したのがポイントです。ファンの軸も小型化しており、これもエアフロー向上に寄与しています。

 また、ヒートシンクのデザイン変更ですが、フィンの高さが1枚ごとに異なるような構造に変更しており。風がよりスムーズに吹き抜けるようになりました。つまり、より効率的にヒートシンクから放熱できることになります。


同じ高さのフィンを並べるのではなく、高さを互い違いに変化させることで、ヒートシンク内部に風を導く
よく見なければ気づかないところだが、高さの異なるフィンを1列ごと互い違いに配置している

 そのほか、Triangle Coolのような、従来のWINDFORCEからの設計も引き継いでいます。


Triangle Coolも継続採用。熱をより効率的にヒートシンクへと導く
WINDFORCE 600Wの構造

――WINDFORCE 600Wを搭載する第1弾製品はどのような製品でしょうか

[A] 第一弾製品は、4月に発売した「GV-NTITANBLKGHZ-6GD-B」で、これはGeForce GTX TITAN Black "GHz Edition"を搭載しています。

 GeForce GTX TITAN Blackは現在のところオリジナルクーラーを搭載することが許されていませんが、GeForce GTX TITAN Blackを求めるお客様はより高いパフォーマンスを目指される方が多く、OCモデルにもご興味あるかと思います。

 そこで、以前、GeForce GTX TITANの際にリリースした製品と同様、ユーザー様の手でクーラーを交換していただく形を採用しました。

 GIGABYTEでは、どのセグメントでも市場で最も高クロックな製品をリリースすることを目指しています。今回のGeForce GTX TITAN Black GHz Editionもそうした最速の製品でして、これをきっちり冷却するためには、WINDFORCE 600Wが最適だと考えています。

――WINDFORCE 600Wを搭載する第2弾、第3弾や、これがもう少し一般的なコンシューマ向けモデルに降りてくるのはどのくらいになりそうでしょうか

[A] 我々は新しいGPUに対して、その都度新しいヒートシンクを設計しています。GPU毎に特性が変わりますので、それにマッチしたヒートシンクを開発するのです。

 それがたとえ最近よくある「リネーム版GPU」であっても変わりません。GPUの特性をしっかりチェックし、市場のニーズにマッチする最適なクーラーを選択して製品化するようにしています。

 一般コンシューマ向け製品にWINDFORCE 600Wが採用されるのはおそらく次の新GPUがリリースされるタイミングでしょう。現時点ではここまでしかお教えできませんが、下半期中にリリースされることになると思いますよ。ご期待下さい。

――現在、3連ファンモデルのみですが、2連ファンのバリエーションも検討されているのでしょうか

[A] デュアルファンまでであれば可能だと思います。しかし静音性という点では3連ファンの方が効果的です。各モデルのニーズによって検討していきます。

――各クーラーの冷却性能の違いをまとめていただけますか

[A] 現在もっとも高性能なのはWATERFORCEです。これに続くのがWINDFORCE 600W。WINDFORCE 600Wは一般的な水冷クーラーよりも冷却性能では上に来るという位置づけです。そして最後が空冷クーラーになるでしょう。

 つまり、 「WATERFORCE>WINDFORCE 600W>水冷>空冷」 という順序が我々の考え方です。

――最後に、ビデオカード製品の設計ポリシーを教えて下さい

[A] 我々には様々なアイデアがあります。GPUのスケジュールに合わせるだけでなく、「冷却を含めた全体を設計する」というコンセプトで、じっくりと研究・開発し、どのGPUにも最適な冷却システムをお客様にお届けしてまいります。これからのGIGABYTE製品にも変わらずご期待ください。

【ゲーミングブランド「AORUS」が新登場、キーボードからノートPCまで】

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(石川 ひさよし)