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GTX 980 TiのSLIで最新ゲームも4K/60fpsが現実に、夢のゲームPCを構築

MSI GTX 980TI GAMING 6Gを4K/フルHD環境で検証 text by 坂本はじめ

MSI GTX 980TI GAMING 6G

 PCでゲームを楽しみたいユーザーは、家庭用ゲーム機以上の画質、高フレームレートといった快適な環境を求めていると思うが、そうしたユーザーが理想とする環境の一つが4K/60fpsではないだろうか。

 一般的には、4K解像度のゲームがまともに遊べるのはまだ先というイメージだと思うが、ウルトラハイエンドカードを複数枚使えば、60fpsで滑らかに動くかもしれないし、高画質で遊べるかもしれない。

 そこで、現行GPUの最高峰に近いGeForce GTX 980 Tiを搭載するMSIの「GTX 980TI GAMING 6G」を2枚使用し、4K解像度の最新ゲームに挑んでみた。

こちらは下位にあたる「GTX 980 GAMING 4G」。セミファンレス機能に対応したTWIN FROZR Vを採用するGeForce GTX 980搭載ビデオカード。

 また、単体で「GTX 980TI GAMING 6G」がどの程度の性能なのかも検証。

 比較には同社のGeForce GTX 980搭載カード「GTX 980 GAMING 4G」を用い、GeForce GTX 980から買い換えるほどの性能差があるのか、フルHD環境で遊ぶならどちらが適しているのかといった点などもテストしてみた。

今回プレイしたゲーム
メタルギアソリッド V グラウンド・ゼロズ
The Witcher 3: Wild Hunt
Grand Theft Auto V

セミファンレス動作のGPUクーラーを備えた「GTX 980TI GAMING 6G」

搭載クーラーは2スロット占有の「TWIN FROZR V」。セミファンレス機能をサポート。
基板背面には、ドラゴンの意匠をあしらった金属製バックプレートを装備。

 今回ゲームでのパフォーマンスをチェックする「GTX 980TI GAMING 6G」は、MSIオリジナル設計基板にオリジナルGPUクーラー「TWIN FROZR V」を搭載したGeForce GTX 980 Ti搭載ビデオカード。

 セミファンレスクーラー搭載かつ、OC/静音といった動作モードを切り替える機能を備えたMSI独自のモデルなので、SLIの重装備でもアイドル時はとことん静音、より性能が必要になった際はブーストをかけるといったような、このモデルならではの使い方が可能だ。

 GPUクーラーの「TWIN FROZR V」は、GPUの動作温度に応じてファンを停止するセミファンレス機能「ZERO FROZR」をサポート。メーカーによると、低負荷時であれば動作温度が60℃になるまでファンは動作しないという。

MSI Gaming App。モード名の書かれたボタンをクリックすると動作モードが切り替わる。
OCモード。このモードのみ、メモリクロックが7,096MHzにオーバークロックされている。
ゲーミングモード
サイレントモード

 動作モードの切り替えは、専用ユーティリティの「MSI Gaming App」から行う。OC、ゲーミング、サイレント、3つの動作モードが用意されており、手軽に切り替えが可能。SLI構成時は複数カードが連動して動作する仕組みになっている。

 なお、デフォルトは「OCモード」で、このモードではGPUが1,178MHz(ブーストクロック1,279MHz)で動作する。GeForce GTX 980 Tiのリファレンスクロックが1,000MHz(ブーストクロック1,075MHz)なので、2割弱ほどオーバークロックされていることになる。

ディスプレイ出力端子。DisplayPort 1.2×3基、HDMI 2.0×1基、DVI-I×1基。
補助電源コネクタは8ピン2系統。
カード側面。
MSI Afterburner。GPUの動作をチューニングできるユーティリティ。
MSI Afterburnerでは、ファンの動作を手動で設定することも可能。低負荷時でもファンを止めないといったこともできる。

 VRAMには6GBのGDDR5メモリを搭載。メモリクロックはOCモード時に7,096MHz、それ以外のモードでは7,008MHzで動作する。ディスプレイ出力端子はDisplayPort 1.2×3基と、HDMI 2.0、DVI-Iを各1系統ずつ搭載しており、最大4画面の同時出力が可能。動作に必要な補助電源用のコネクタは8ピン2系統。

4Kで最高画質、夢のゲーム環境が手に入るGeForce GTX 980 Tiの2-way SLI

 さて、まずは2枚の「GTX 980TI GAMING 6G」を使って、4K解像度でのゲームがどこまで快適なるのかを紹介しよう。

 GeForce GTX 980 TiのSLI構成は、現行のシステムでは最高峰に近い性能といえるので、60fpsをターゲットに画質設定を選ぶのではなく、最高画質設定でどこまで遊べるのかといった方向でテストを行っている。解像度があがっても画質はなるべく犠牲にしたくないものだ。

 今回2-way SLIを構築したシステムは、MSI製のIntel X99チップセット搭載マザーボード「X99S SLI PLUS」に、Intelのコンシューマ向け最上位CPUであるCore i7-5960X Extreme Editionを組み合わせてテストしている。

GTX 980TI GAMING 6GのSLIでまずはチェック。

ビデオカード以外のテスト環境機材
 CPU IntelCore i7-5960X Extreme Edition
 メモリ DDR4-2133 4GB×4
 マザーボード MSIX99S SLI PLUS
 電源 Antec HCP-1200(1,200W)
 OS 日本マイクロソフトWindows 8.1 Pro Update(64bit)
 グラフィックスドライバGeForce Driver 353.30

メタルギアソリッド V グラウンド・ゼロズ

 まずチェックしたのは、今秋に発売が予定されている「メタルギアソリッド V ファントムペイン」の前日譚「メタルギアソリッド V グラウンド・ゼロズ」。

 テスト時の描画品質は、全ての項目にPC版専用の最高設定「Extra High」を選択した。

プレイしてみた限り、フレームレートの低下が気になるようなシーンは無く、動作は快適そのもの。
描画設定画面。各項目は最高品質のExtra High、画面解像度は3,840×2,160ドットにセットした。
激しく動き回ってもフレームレートは張り付いたまま。実にヌルヌルと動く。
GeForce Experienceでも、3,840×2,160ドットで全設定Extra Highが推奨とされた。

 プレイ中、フレームレートは60fpsに張り付いた。4K/常時60fps動いているというのはなかなか凄いもので、思わず声が出てしまうようなパワーを感じる。細部の精細さなどがフルHDとは異なり、アンチエイリアスの必要性を感じないのが特徴だ。

 ちなみに、メタルギアソリッド Vは最高フレームレートが60fpsなので、これ以上に快適な設定は存在しない。つまり、2枚のGTX 980TI GAMING 6Gで構築した2-way SLI環境なら、最高の状態のメタルギアソリッド V グラウンド・ゼロズを楽しめるというわけだ。

 ドット感の無い4Kディスプレイ環境で常に60fpsが出るというのはかなり気持ちが良く、次世代の画質を一足先に楽しめているような満足感もある。どっぷりゲームに浸かるならやはり4K環境がお勧めだ。

The Witcher 3: Wild Hunt

 続いてプレイしてみたのはThe Witcher 3: Wild Hunt。

 モンスタースレイヤー「ウィッチャー」である主人公のゲラルトを操作し、ファンタジー世界を冒険するオープンワールドRPGである本作は、最低動作要件としてGeForce GTX 660またはRadeon HD 7870が要求される比較的「重たい」ゲーム。

夕暮れ時。描画品質は最も高いプリセットを設定。こうした遠景を見渡せるシーンは高精細な4Kに向いている。

 まずは描画品質を最も高いプリセットにして動作させてみたが、この設定でのフレームレートは概ね50~60fps。常時60fpsを維持とはいかないが、フレームレートの低下はそれほど気にならず、なかなか快適。こうした重いゲームが4K環境で普通に遊べ、フレームレートや画質にもこだわれるというのは驚かされる。

「グラフィック:最高、後処理:高」設定。フレームレートは概ね50~60fps前後となる。
「グラフィック:高、後処理:高」設定。概ね60fps以上を維持できるようになるが、画面奥の木々のボリュームが減少するなど、一部の描画が簡略化されている。
The Witcher 3: Wild Huntには、「グラフィック」と「後処理」の設定にプリセットが用意されている。
GeForce Experienceでは、最高品質よりも2段低い設定が推奨された。

 なお、60fpsを維持したいのであれば、「グラフィック」のプリセットを「最高」から「高」に引き下げれば、極端に重たいシーン(仔細に描写される主人公の頭髪にズームした視点など)を除いておおむね60fps維持が可能になる。

 The Witcher 3は、画質設定によって木々などのオブジェクトが簡略化されたりするので、筆者としてはフレームレートを若干妥協できるなら画質優先の設定をお勧めしたい。特に4K環境の場合、遠景までしっかりオブジェクトが描画されるのはそれだけで気持ちよかったりもするものだ。

Grand Theft Auto V

 Grand Theft Auto Vは場所によって負荷が大きく変わるため、市街地と植物などが多い郊外でテストしてみた。

 描画品質については、DirectX 11モードに設定し、MSAAを無効、FXAAを有効とした以外、すべての項目を最高品質に設定している。

市街地であれば、今回の設定でも概ね60fps以上でプレイ可能。
植物の多い郊外に移動すると、フレームレートは50fps前後まで落ち込んだ。草の精密度など、植物関連の項目を調性すれば、フレームレートの低下は軽減できそうだ。
非常に細かく描画設定を調整可能なGrand Theft Auto V。MSAA意外の設定を全て最高に設定した3,840×2,160ドット時のビデオメモリ目安は「9,314MB/12,286MB」と表示された。
ちなみに、GTX 980TI GAMING 6Gで同じ設定を適用した場合のビデオメモリの目安は「4,665MB/6,143MB」。2-way SLIによりメモリの総容量は12GBになっているが、2枚のビデオカードにそれぞれ同じデータを読み込むため、VRAM使用量も倍になっている。

 MSAA以外を最高に設定した今回の条件では、プレイ中のフレームレートは50~70fps程度だった。Grand Theft Auto Vは場所や環境によってフレームレートの変動が大きく、市街地であれば概ね60fps以上を記録できるのに対し、植物の増えてくる郊外を車などで移動すると、50fpsを割り込むシーンも見られた。

 常時60fpsを維持できるという訳にはいかなかったが、かなり高い描画品質で楽しめることは間違いない。Grand Theft Auto Vの描画設定は豊富なので、植物関連の描画設定を調整してフレームレートの低下を抑えることもできる。

 以上、3つのゲームを4K解像度でプレイしてみた。どのゲームも「解像度と引き換えに描画設定を落としてちゃいかんでしょ」という筆者の信条に基づき、描画設定をかなり高めにセットしたのだが、思っていた以上に快適にプレイが可能だったことには驚いた。

 4Kディスプレイの高精細な画面いっぱいにドットバイドットで描画されたゲームを楽しむ。そんな夢のようなプレイ環境が、GTX 980TI GAMING 6Gの2-way SLI構成でほぼ現実のものにできる。ビデオカード2枚で約21万円とコストはかかるものの、投資分相応の価値はあると言えそうだ。

~SLIの注意点、マザーボードのスロット構成に気をつけよう~

 今回、マザーボードにMSI X99S SLI PLUSを使用しているが、最上段と中段のx16レーンにGTX 980TI GAMING 6Gを接続したところ、上に位置するカードが吸気できないという問題が発生した。このため、やむなく最上段のx16レーン + 下段側のx8レーン(x16レーン形状)スロットにカードを接続して今回はテストを行っている。

 GTX 980TI GAMING 6Gのような、大型GPUクーラー+バックプレートを備えるビデオカードでSLIを構築する場合、ビデオカードの間に拡張スロット1つ分のスペースは確保したい。ちなみに、MSI製であれば、X99S GAMING 9 ACKやX99S XPOWER ACなどは1スロット分カード間が空くレイアウトになっている。

上段側のPCI Express x16レーンスロットにビデオカードを搭載したところ。両ビデオカードの間にスペースは無いため、上段寄りのカードが窒息してしまう。
ビデオカードが密着した状態でしばらくゲームをプレイしてみた結果。正常に冷却できずクロックがダウンしてしまった。
今回はx16スロット + x8スロットという構成でテストを行った。この配置であれば吸気に関しては問題ないが、ロングタイプのSLIブリッジが必要になる点には注意。

シングルでも4Kゲームが遊べるGTX 980 Ti、フルHDならGTX 980がコスパで有利?

 さて、続いてはGTX 980TI GAMING 6G単体のパフォーマンスについてチェックしてみよう。

 冒頭でも紹介した通り、今回は1つ下位のGPUであるGeForce GTX 980を搭載した「GTX 980 GAMING 4G」も使用し、同じ描画設定でGeForce GTX 980がGeForce GTX 980 Tiに対しどの程度のパフォーマンスなのかもチェックしていく。

 「ハイエンド」と「ウルトラハイエンド」の境界に接する両GPUの実力差を測るという意味で、個人的にも興味深い比較だ。なお、両カードの性能差を見るため、あえて負荷の高いセッティングでテストしている。

メタルギアソリッド V グラウンド・ゼロズ

 まずチェックしたのは、今秋に発売が予定されている「メタルギアソリッド V ファントムペイン」の前日譚「メタルギアソリッド V グラウンド・ゼロズ」。テスト時の描画品質は、全ての項目にPC版専用の最高設定「Extra High」を選択した。

フレームレートの測定ポイントは、ミッション「GROUND ZEROES」のスタート地点。
フルHDテストにおけるGeForce GTX 980 Tiの最大VRAM使用量は2,021MB。
4Kテストでの最大VRAM使用量は2,711MB。

 フレームレートの上限が60fpsで固定されているメタルギアソリッド Vでは、1,920×1,080ドットのフルHD解像度において、両カードともフレームレート上限に張り付いた。実際にプレイしてみても、フレームレートが低下するシーンは見られないことから、メタルギアソリッド VをフルHD解像度で遊ぶのであれば差はない。コストを意識するならGeForce GTX 980を搭載する「GTX 980 GAMING 4G」が適していると言える。

 一方、3,840×2,160ドットでは、両GPUともフレームレートが60fpsを割り込んでおり、GTX 980 GAMING 4G(GTX 980)が33fps、GTX 980TI GAMING 6G(GTX 980 Ti)が45fpsを記録した。プレイ中、40fps前後を維持できるGTX 980TI GAMING 6Gなら、垂直同期を30fps固定にセットすることでフレームレートの変動を抑えてプレイすることもできる。

The Witcher 3: Wild Hunt

 さて、続いてプレイしてみたのはThe Witcher 3: Wild Hunt 。ファンタジー世界を冒険するオープンワールドRPGである本作は、最低動作要件としてGeForce GTX 660またはRadeon HD 7870が要求される、比較的「重たい」ゲームだ。

 比較的重たいゲームとは言え、テストするのは最新鋭のハイエンドGPU。テスト時の描画品質は、グラフィック設定プリセットを「最高」、後処理プリセットも「高」にセット。プリセットで選択可能な最高の品質に設定した。

フレームレートの測定ポイントは、スタート直後のチュートリアルで訪れる「ケィア・モルヘン」。
フルHDテストでの最大VRAM使用量は1,572MB。
4Kテストでの最大VRAM使用量は3,085MB。

 フルHD解像度では、GTX 980TI GAMING 6G(GTX 980 Ti)が76fpsを記録したのに対し、GTX 980 GAMING 4G(GTX 980)は57fpsと60fpsを割り込んだ。60fps前後でていればプレイに支障は無いが、まったく差がつかなかったメタルギアソリッド Vとは違い、GTX 980TI GAMING 6G(GTX 980 Ti)の優位性が確認できる。

 4K解像度の描画負荷はかなり厳しく、GTX 980TI GAMING 6G(GTX 980 Ti)が33fps、GTX 980 GAMING 4G(GTX 980)は24fpsという結果となった。30fpsを大きく割り込んだGTX 980 GAMING 4Gでのプレイはさすがに厳しく、GTX 980TI GAMING 6Gについても30fps前後というフレームレートでは快適というラインまでは少し遠い。

 4K解像度で遊ぶのであれば、GTX 980TI GAMING 6G(GTX 980 Ti)を使用し、画質設定を下げるのが現実的な解になるだろう。

Grand Theft Auto V

 Grand Theft Auto Vでは、標準で用意されているベンチマークモードを利用して、各GPUの平均フレームレートを比較した。

標準で用意されたベンチマークモード。5つの場面を切り替えながらfpsを測定していく。
フルHD解像度でテスト用の設定を適用した場合、ビデオメモリの目安は3,451MB。
4K解像度でテスト設定を適用すると、GeForce GTX 980のVRAMを超える4665MBというメモリ量が表示される。「推奨上限を無視」をオンにしているため、この設定でもテストの実行が可能。
フルHDテストでの最大VRAM使用量は3,938MBだった。

 フルHD解像度の結果では、ベンチマークテストで描画される5つの場面のうち、Pass 1で両カードとも60fpsを割り込んでしまっているが、他の場面ではしっかり60fpsを超えている。

 注意して見た場合、GTX 980TI GAMING 6G(GTX 980 Ti)に比べ、GTX 980 GAMING 4G(GTX 980)が60fpsを割る場面が多いものの、実際のプレイ中にフレームレートが気になることはあまり無かった。

4Kテストでの最大VRAM使用量は5,196MBだった。

 4K解像度では、両GPUの差が一気に開いており、GTX 980TI GAMING 6G(GTX 980 Ti)が全てのテストで30fps以上、概ね40fps前後の動作を実現できるのに対し、GTX 980 GAMING 4G(GTX 980)は30fpsを超えたのがPass 0と3のみに留まった。
 一応支障なく遊べるGTX 980TI GAMING 6G(GTX 980 Ti)に対し、GTX 980 GAMING 4G(GTX 980)はVRAMが足りていないこともあってか、カクツキが気になる。

 3つのゲームである程度差はあるものの、GTX 980 GAMING 4G(GTX 980)は、フルHDまでの解像度であればかなり高い描画設定でゲームを楽しむことができる。フルHD/最高画質で50~60fpsあたりを狙うならコストパフォーマンスは高い。フルHD/最高画質で常時60fpsを狙う場合など、こだわりがある場合はGTX 980TI GAMING 6G(GTX 980 Ti)を選ぶのが良いだろう。

 4K解像度の場合は性能差が明確になり、GTX 980TI GAMING 6G(GTX 980 Ti)のパフォーマンスの高さが発揮される結果となった。4K解像度で高画質なゲームを遊びたいのであれば、このクラスの性能が欲しいところだろう。

 描画負荷の高い状態でのテストのため、GTX 980 GAMING 4G(GTX 980)の数値は4K環境では若干振るわないものとなっているが、高画質設定でも30fps近くまでは出ているので、画質の設定を落としてフレームレートを優先すれのであればゲームは遊べるはずだ。

「TWIN FROZR V」の冷却能力をチェック、消費電力は性能相応

 GTX 980TI GAMING 6Gが備えるGPUクーラー「TWIN FROZR V」の実力をチェックしてみよう。GPU-Zを使って、グランド・セフト・オート Vのベンチマーク実行中のGPU温度とファン回転数を測定してみた結果が以下のグラフだ。なお、測定は室温26℃の環境下で、バラック組みで行っている。

 テスト開始時点でファンの回転数が0になっているのは、TWIN FROZR Vがサポートするセミファンレス機能によるもの。GPUに負荷を掛けていない状況では、GPU温度を50℃前後に維持できるようならファンを停止しているようだ。

 ベンチマークテストが開始してからはGPU温度の上昇が始まるが、72℃前後でGPU温度は頭打ちになっている。どうやら70℃前後を維持するようにファン制御を行っているようだ。ファンの最大回転数は約1360rpmで、ファンの口径が大きいだけあって動作音はかなり控えめ。TWIN FROZR Vは、高発熱GPUであるGeForce GTX 980 Tiをきちんと冷却できる実力を備えていると言って良いだろう。

 各ゲームを実行中の最大消費電力をまとめたものが以下のグラフ。GeForce GTX 980 Tiの消費電力は最大値で361Wで、GeForce GTX 980の最大値よりも80W程度高い結果となっている。

 2-way SLI構成のGeForce GTX 980 Tiの消費電力は測定された最大値で589W。今回は、総出力1,200Wの80PLUS GOLD認証電源を使用しているが、12V出力がしっかりしている電源ユニットなら、総出力850Wクラスの製品でも余裕をもってGeForce GTX 980 TiのSLIを運用できそうだ。

高解像度かつリッチな設定でゲームを楽しめるGTX 980TI GAMING 6G

 2-way SLIで4K解像度でのゲームプレイを実現できるGTX 980TI GAMING 6G(GTX 980 Ti)は、シングルカードでもフルHD以上の解像度でゲームをプレイ可能な実力を持っている。

 流石に描画設定かフレームレートを妥協する必要はあるが、4K解像度でもそこそこ高画質な状態でゲームをプレイすることができる。メモリの容量や転送帯域で劣るGTX 980 GAMING 4G(GTX 980)に対して、より高解像度/高画質設定でのゲームプレイが可能なのがGTX 980TI GAMING 6G(GTX 980 Ti)のアドバンテージだ。

 GTX 980TI GAMING 6G(GTX 980 Ti)の販売価格は税込10万円半ば。GTX 980 GAMING 4G(GTX 980)の販売価格は税込7~7.5万円前後と3.5~4万円ほどの差がある。4KやWQHDといったフルHDを超える解像度でゲームをしたり、より高画質設定で遊びたいといった状況であれば、価格差以上のリターンをGTX 980TI GAMING 6Gに感じることができるだろう。

 GTX 980 GAMING 4G(GTX 980)は性能的にはGTX 980TI GAMING 6G(GTX 980 Ti)にかなわないが、画質を中~低にすれば4K解像度でも十分に遊べるパフォーマンスは持っており、4K環境用のエントリーモデルとしてみると悪くはない。また、フルHD環境で使うのであれば、最高画質で遊べるカードとして魅力ある製品だ。

 今回レビューに使用した「GTX 980TI GAMING 6G」と「GTX 980 GAMING 4G」は、セミファンレス機能対応のGPUクーラーや、独自の品質規格「MILITARY CLASS 4」に準拠した耐久性の高いオリジナル基板を採用するなど、品質面での完成度も高い。

 ハイエンドGPUの購入を検討しているなら、ぜひ選択肢に加えることをおすすめしたいモデルだ。

[制作協力:MSI]

坂本はじめ