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Sandy世代から買換えで快適に、最新 vs 旧型ガチンコ勝負 マザーボード編
新旧の性能差は最大2.5倍、ゲームなら流行りのゲーミングマザー text by 石川ひさよし
(2015/9/11 11:30)
去る8月初旬、Windows 10とIntelの最新CPU Skylakeが発売された。特にSkylakeはプラットフォームとしての強化点も多く、発売までPCのアップグレードを待っていたユーザーも多いだろう。
一方で、ソケットからメモリ、ストレージに至るまで、プラットフォームが大きく変わったことで尻込みしていたり、あるいは、今使用しているPCのパフォーマンスで満足しているという方もいるのではないだろうか。
そこで、旧世代のPCパーツから最新世代のPCパーツに買い替える価値があるのか、その違いをはっきりさせておこうというのがこの企画だ。新旧PCパーツ間の性能差や機能の違いなど、現在のトレンドと合わせて紹介していく。アップグレードを検討しているユーザーだけでなく、しばらく自作PCから離れていたユーザーも参考にしてもらえれば幸いだ。
今回、旧PCパーツとしてターゲットにしたのは2011年に発売されたSandy Bridge世代の製品。マザーボード編、SSD編、ビデオカード編と三編に渡り比較する予定だが、今回はプラットフォームの要、マザーボードの進化点を紹介しよう。
Skylake対応最新マザーボードの機能をチェック、トレンドはゲーミングマザー
「H170 PRO GAMING」は、パッケージイラストからも分かるとおり、ゲーミングマザーというカテゴリの製品だ。Intel H170チップセットがメインストリーム向けなので、想定されるのは、コストを抑えつつシングルGPUでゲーム環境を組むといったような用途ではないだろうか。
スマートフォンやタブレットの普及で、PCにはPCならではといった部分が求められており、そうした状況下でゲーム用途というのはPCを選ぶ大きな要因となっている。
「H170 PRO GAMING」は、LGA1151ソケットを採用し、Intel Z170やH170マザーボードと同時に販売開始されたSkylake世代のCore i7/i5/i3や、今後登場が予定される同Skylake世代のPentium/Celeronをサポートする。
ソケット形状が変わったことで、以前のLGA1150などのCPUはサポートされないが、これはメモリのサポート規格が変わったことが影響している。
Skylakeでは、DDR4とDDR3Lがサポートされている(独自にDDR3をサポートするマザーボードもある)。「H170 PRO GAMING」がサポートしているのはDDR4メモリだ。DDR4はDDR3メモリの後継規格であり、より高いクロックで動作し、より低い電圧で駆動する。
前世代のIntelチップセットでサポートされているDDR3メモリはDDR3-1600だが、Intel 100シリーズチップセットでは、DDR4-2133がサポートされている。4桁の数字が動作クロックを示しているので、これだけで速さをイメージできるのではないだろうか。
さて、メモリ規格の移行となると、コストも心配の種になる。ただし、DDR4はエンスージアスト向けのHaswell-Eプラットフォームで先行採用されており、Skylakeのリリースタイミングでは、既にDDR3メモリとの価格差は小さくなっている。従来の規格移行時と比べれば、コストの上昇は小さいので、深刻に考える必要はないだろう。
拡張スロットは、PCI Express x16×2本、x1×4本だ。さすがに、最近ではメインストリーム向けモデルでもPCIスロットを搭載するモデルが少なくなってきた。一方、注目すべきはx1スロットだ。Skylake+Intel 100シリーズチップセットの世代から、CPU直結だけでなく、チップセットに接続する側のPCI Expressも、Gen3接続になった。ここは従来と大きく異なる点だ。
チップセット側のPCI ExpressがGen3へ、そしてより広帯域となったことで、一番のメリットを受けるのがストレージだ。現在、Serial ATAからM.2へとストレージのインターフェースが高速化しているが、そのM.2も、第1世代のPCI Express Gen2 x2接続から、Skylake世代ではGen3 x4接続へと高速化された。
理論帯域で比較すると、10Gbps対32Gbpsとなる。より高速なSSDなどを接続でき、現時点でまだ帯域に余裕が出る計算だ。「H170 PRO GAMING」でも、Gen3 x4対応のM.2を1基備えている。ほか、Skylake世代では、M.2スロットにU.2カードというオプションのアダプタを介することで、NVMeをサポートするSSDが接続できたり、これもPCI Express接続が可能なSATA Expressも搭載されていたりする。
現在のPCパーツのなかでは、ストレージが最も進化の速度が速い。現在のPCで、CPU性能はもう十分と考える方も、このストレージの速度に関しては、要検討となるところではないだろうか。
インターフェースという点では、もうひとつUSB 3.1について言及しておこう。USB 3.1は、USB 3.0から進化したインターフェースだ。理論帯域では、5Gbps対10Gbpsとなる。Intel 100シリーズの段階ではまだチップセットに統合されておらず、別途チップを追加することで実現しているが、従来のUSBのバージョンアップ時と同様、今後、スタンダードとなるだろうインターフェースであるため、これに対応していることもマザーボード選びのポイントになるだろう。
Sandy Bridge世代のマザーボードの機能を振り返ってみよう
ではSandy Bridge世代のマザーボードも軽く振り返っておこう。
Sandy Bridge世代のマザーボードとして用意したのは同じASUSTeKの「P8Z68-V/GEN3」だ。チップセットはIntel 6シリーズのIntel Z68で、ソケットはLGA1155。メモリスロットもDDR3で、当時はDDR3-1333の時代だ。
先にも書いたとおり、一番進化が大きいところがストレージだ。Intel Z68の頃、ちょうどIntelチップセットでSerial ATA 3.0がサポートされた。ただし、当時は6ポートあるSerial ATAポートのうちの2ポートのみで、残りはSerial ATA 2.0だった。Intel 100シリーズチップセットなら、6ポート全てがSerial ATA 3.0だ。
拡張スロットを見ると、まだ2本のPCIスロットが確認できる。また、PCI Express x16スロットも、Sandy Bridge世代のCPUではGen2に制限される。例えばゲーミング用途の場合、最新ハイエンドビデオカードに交換しても、GPUの帯域をフルに活かすことができないことになる。こうしたあたりが移行を検討するきっかけになるだろう。
4世代分の性能差は1.3倍~2.5倍、CPUだけでなくメモリやGPUなど各所それぞれ大幅に向上
では、「H170 PRO GAMING」を用いてSkylake世代のPCを、「P8Z68-V/GEN3」を用いてSandy Bridge当時のPCを構築し、パフォーマンスの違いを確認していこう。今回用意したのは、以下の機材だ。OSに関しては、条件を揃える観点からともにWindows 10 64bit版としている。
Skylake環境 | Sandy Bridge環境 | |
---|---|---|
CPU | Core i7-6700K | Core i7-2700K |
マザーボード | ASUS H170 PRO GAMING | ASUS P8Z68-V/GEN3 |
メモリ | DDR4-2133 8GB×2 | DDR3-1333 2GB×2 |
ビデオカード | ZOTAC GeForce GTX 950 AMP! Edition | EVGA GeForce GTX 460 1GB |
SSD | Plextor M6V PX-256M6V 256GB | Plextor M2P PX-128M2P 128GB |
OS | Windows 10 64bit | Windows 10 64bit |
ここでは、CPUとメモリ性能、統合GPU性能という3つの点にスポットを当てたい。そこでベンチマークには、CPUの検証にCINEBENCH R15の「CPU」と「Single CPU」、Sandraの「プロセッサの性能」を、メモリの検証にSandraの「メモリーの帯域」を、統合GPU性能に3DMarkの「Ice Storm」を用いた。
まずはCINEBENCH R15。CPUで見ると、Skylake世代は923cb、Sandy Bridge世代は638cbとなった。演算性能では、以外なほど大きな開きがあることが分かるだろう。
そして、単純にCore i7-6700Kが4GHz、Core i7-2700Kが3.5GHzというクロック差だけではない開きが出ている。これは、1クロックあたりの命令発行数であるIPCが、世代を重ねる毎に進化しているためだ。結果、1.45倍程度のパフォーマンス差がついたわけだ。Single CPUでも、Turbo Boostの最大クロックでCore i7-6700Kが4.2GHz、Core i7-2700Kが3.9GHzであるのに対し、183 cb対138 cbと、1.3倍という開きが生じた。
Sandraの「プロセッサの性能」テストも、概ねCINEBENCH R15の結果と同様だ。スコアを見ていくと、およそ1.4倍から1.8倍となる。
Sandraの「メモリーの帯域」では、SkylakeのDDR4-2133は26.44GB/sec、Sandy BridgeのDDR3-1333は17.36GB/secとなった。ここも1.5倍の帯域増だ。
最後に3DMarkの「Ice Storm」。こちらはCore i7-6700KのIntel HD 530が94978ポイントで、Core i7-2700KのIntel HD 3000が37875ポイントとなった。統合GPUでは、もちろんメモリ帯域幅も影響するが、ここ数年、世代を重ねる毎に強化されてきたGPUコアも大きい。結果、2.5倍という大幅な伸びが確認できた。
ここまで見てきたように、Skylake世代の最新環境は、CPUやメモリ、GPUそれぞれでパフォーマンスを向上するとともに、マザーボード機能で紹介したとおり、最新のインターフェースが利用できる。ここが買い換えを検討する際のポイントだ。
今、PCを組む理由の大きな要因「ゲーム」には、最新世代ゲーミングマザーがオススメ
新旧世代間で大きな性能差があることは前節で紹介したが、「H170 PRO GAMING」のゲーミングマザーとしての機能も紹介しておこう。
最新ゲームをより楽しむための機能と言えば、オーディオとネットワークだ。リッチなオーディオは臨場感を増し、ネットワークはオンラインゲームが主流となってきたことと、そのレスポンスを高めてくれる。それぞれ見ていこう。
まずオンボードオーディオに関しては、とくにゲーミングマザーというジャンルが確立して以降、大幅に強化されたところだ。「H170 PRO GAMING」では、とくにノイズの混入を防ぐ仕組みが充実しており、オーディオチップにはシールドを、回路を見れば非オーディオ部分のデジタル回路と分離した設計がとられている。
また、オーディオ専用設計のコンデンサ、ヘッドホン用アンプといったところもSandy Bridge世代のマザーボードではあまり見られなかったポイントとなる。ひと昔前ならオンボードオーディオは鳴ればいいと思っていた方も多かったと思われるが、最新世代のゲーミングマザーでは、もちろん上を目指すなら外部のDACとなるにせよ、なかなか侮れない高音質化が実現しているのだ。
続くネットワーク機能では、昨今のゲーミングマザーのトレンドは「スループットの向上」にある。ソフトウェアにより、通信を行うアプリケーション毎に優先度が割り振られ、例えばオンラインゲームをプレイしている間はゲームの通信を優先し、そのほかのプログラムが要求する通信の優先度は下げられる。これによりゲームプレイ時のラグを削減するといった機能だ。
現在では、このようにスタンダードを求めるマザーボードと、ゲーミング用のマザーボードで、機能分けが付いている。ゲームを楽しむのであれば、ゲーミングマザーから選ぶのがオススメだ。そのうえで、ASUSでは、ゲーミングマザーの最上位にR.O.G.シリーズを、より低コストを求める方にはPRO GAMINGシリーズを、ZとHそれぞれのチップセットで展開している。
もちろん「もうPCのパフォーマンスは十分に高い」、といった意見も聞く。今現在の用途で今現在のパフォーマンスで満足している方であれば、壊れない限り、買い換える動機は薄いのではないかと思う。ただし、ここまで紹介してきたように、現在の最新PCでできること、古いPCでは対応できないところ、そしてパフォーマンス、そうした違いを把握しておくことは、今後の買い換えのヒントになるだろう。
[制作協力:ASUS]