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新型OCマザーをテストしに台湾に行ってきた!未発表モデルを公開

ASRockのラボでワールドレコードを狙う、台湾の屋台グルメも満喫 text by 清水 貴裕

ASRockの本社にてNickShih氏と
台湾でPCといえば光華商場、ASRock本社からもアクセスしやすい位置にある

 昨年末の話になるが、ASRockの新型OCマザーボードのテストのため、台湾に1週間ほど滞在して来た。

 世界記録を狙うモデルのため、テストするのは極冷時の性能。日本でやってもよかったのだが、そこで壁になるのが液体窒素代の高さ。日本の液体窒素価格は1リットルで500〜600円辺りが相場となっており、世界的に見て高い部類に入る。ちなみに今回OCしに行って来た台湾はというと、1リットルで100円前後が相場と日本よりも大幅に安い。

 「渡航費込みでも台湾でテストした方がトータルで安くなるじゃん」というASRock専属オーバークロッカーであるNickShih氏の後押しもあり、新モデルのテストは台湾のASRock本社ラボで行う運びとなった。関係者以外がラボに入れる機会は稀で、筆者も今回が初めてだ。

 せっかくの機会なので、今回はミニレポートとして発売前の最新モデルとラボでの様子、おまけで台湾屋台メシを紹介したいと思う。

未発表のSkylake用新型OCマザーをスクープ!日本メディア初公開

Z170M OC Formula
OC性能を優先しメモリスロットは2本。CPUソケットとメモリスロットが近いレイアウトも特徴。

 今回の台湾OC紀行の目的は新型OCマザーのテスト。その新型マザーが世界記録を狙うために作られた“Z170M OC Formula”だ。

 10層基板を採用するハイエンドモデルにも関わらずメモリスロットの数は2本しかない。ローエンドモデルでコストカットのためにメモリスロットが削減されているモデルは存在するが、ハイエンドクラスなのにも関わらずメモリスロットが削減されている製品は珍しい。

 このモデルの設計に携わったNickShih氏によると、メモリのOC耐性を高めるために“敢えて”削減しているのだそうだ。

 1つのチャンネルに2本のメモリスロットを接続する一般的な配線方式よりも、メモリを高クロック/低レイテンシ動作させやすく、CPU-メモリ間の配線を短くできることもOC耐性や安定性の向上に寄与しているという。

 なお、写真は最初期のプロトタイプで、現在は更なるOC耐性の向上を図るべくリビジョンアップを試みている最中だとのことだ。スコアアップを目指すオーバークロッカーだけでなく、高性能なmicroATXマザーが欲しい人まで目が離せない製品になるかもしれない。

14フェーズ構成のVRM。コントローラはZ170 OC Formulaと同じIR35201を採用。
OC用のコントロールボタンや電圧測定ポイントを実装。24ピン下の透過部分を見ると10層基板が採用されている事が分かる。
バックパネルインターフェス部分。
SLIやCrossFireもサポート、M.2スロットも備えている。
Serial ATA 3.0ポートの数は合計8基。SATA Expressポートも備える。
詳細は不明だが、コンデンサなどからオーディオ品質にもこだわっていることが推測できる。

液体窒素価格は低いが湿度は高い!台湾での極冷は難易度ウルトラハイ

 先述したように、液体窒素が安くて極冷オーバークロッカーにとっては天国とも言える台湾だが、湿度が高いので結露が凄まじい。

 滞在中は湿度70%前後の日が多く30分もすれば至る所が結露してしまう程だった。防水加工を適切に行わないと、システムが不安定になるどころか、何かが壊れてしまう程のコンディションだ。

慣れた手つきで魔法瓶に液体窒素を写すNickShih氏。
ラボというといかにもな実験室を連想するが、OCのテストが行われているのは隣で事務の作業が行われているようなオフィスの一角だったりする。
湿度の影響で、液体窒素で冷却するとあっという間に辺り一面は真っ白に。

 湿度が70%を超えると、液体窒素を冷却升に投入すると白煙でモニタが見えなくなる。イベントなどで様々な場所で極冷OCの実演をしている筆者だが、ここまでの白煙は中々経験した事がない。滞在中は毎日こんな感じだったのですぐに慣れてしまったが…苦笑

【湿度の高い状態で極冷を行った際の様子(台湾ASRockのラボにて)】

 NickShih氏曰く、「台湾で上手くOCするためには結露対策をしっかりして、結露しないように素早くOCする必要がある」との事。そういった多湿環境でOCしていたからこそ、過去のモデルで採用されていた防水コーティングが考え出されたのだなと納得した筆者であった。

 ただし、今回テストしているZ170M OC FormulaはATXモデルと同様に防水コーティングが施されない予定だそうだ。採用しなかった理由を尋ねたところ、「あれはコストが掛かり過ぎるし修理が難しいんだよ」とのこと。

 コストの話がでたところで気になるのが価格だが、「高価な10層基板で開発しているものの、販売価格はATXモデルよりも少し安い価格帯になりそう」と話してくれた。

検証に適したCPUを探す作業も行った。
ATXモデルのZ170 OC Formulaもテストに使用。
テストにはKingstonがワールドレコードを狙うために開発した特別なメモリも持ち込んだ。
プロモ動画の撮影に使われるスタジオに液体窒素のタンクが鎮座。
パワフルな海外製ガストーチ。冷やし過ぎた際にPCが起動する温度まで上昇させるのに活躍するアイテムだが、日本ではガスの入手性が悪い。
筆者がイベントや大会の時に持ち込んでいる愛猫に似た猫のマスコット。

 さて、新型マザーボードの感触だが、驚いたのがそのメモリOC耐性の高さ。

 ATXモデルのZ170 OC Formulaよりもワンランク上のメモリクロックで容易に動作できる上に、アクセスタイミングもタイトに設定しやすい。メモリOCがベンチマークのスコアを底上げしてくれるので、CPUクロックが低くても高いスコアを得る事が可能となっている。

 滞在中は、主にメモリ周りのテストを集中的に行ったため、CPUを限界までOCしてアタックする時間が無かったが、CPUを限界まで回し切っていない状態でもかなりのハイスコアを達成(XTU 4xCPU Rankingで現在2位)できたのには驚いた。

 今回の滞在中、実際の開発現場でみっちりOCできたのはとても良い経験になった。台湾と日本のOCバカが2人が揃った事もあって、マザーのテストは連日夜遅くまで行われ……、正確に言うと“気付いたら夜になっていた”という状態が最終日まで続いた(笑)。台湾観光の時間がほぼとれなかったのは心残りだが……、OC面で得られたものは大きい。

台湾の屋台グルメや現地では定番の“エビ釣り”を体験

 前述の通り、OCラボに缶詰め状態だったためグルメを満喫出来なかった今回の滞在(泣)。わずかに空いた時間に夜市に行ってきたので、そこで食べて来た物をフォトレポート形式でお届けしよう。

台北101の近くにある臨港街の夜市。
夜市で食べた魯肉飯(ルーローハン)は肉に味がしみ込んでいて絶品だった。
TVに出演した有名なお店の猪肉の串焼き。写真から漂う自給自足感が凄い…
鳥と貝柱のフライを販売する露店。
有名餃子チェーン“八方雲集”の餃子。スティック型の餃子は日本では珍しい。飲み物は豆乳。
身体に良さそうな味の薬膳鍋。しゃぶしゃぶの様に豚肉をくぐらせて頂く感じで、赤い方は少し辛かった。
露店で調達したスイカジュースは程よい甘さでゴクゴクといける味だった。
イカとタコを焼いてスパイスを掛けた物。
臭豆腐。滞在中食べた物の中で最凶の臭いを放っていて試合中に棄権。
小籠包にあんかけソースをかけた物。アツアツで身体も温まる逸品。
夜市でボール投げに勤しむNickShih氏。元野球少年だったらしく、豪速球で見事に景品をゲットしていた。
夜市で見かけた謎の日本語。

 夜市のほかには台湾レジャーの定番“エビ釣り”も体験。

 NickShih氏は「おれはOCだけでなくエビ釣りのチャンプでもある」と言いながら一投目で簡単にエビを釣り上げていたが、やってみるとあたりを取るのが難しく、筆者は餌を盗られて針だけが帰ってくる始末だった。

 最終的に釣り上げる事に成功するも、実は筆者はエビが大の苦手……、釣り上げたエビは食べられず、チキンスープを飲みながら冷えた身体を温めた(苦笑)。

エビ釣り場の池。水質は濁り気味で、定期的にエビが投入されていた。
一投目で見事にエビを釣り上げたNickShih氏。
粘った末にエビを釣り上げて雄たけびを上げる筆者。
釣ったエビはその場で調理、多目に塩をまぶすまぶすのがコツらしい。
オーブンでエビを焼き上げる。
表面をしっかり焼くのがコツだとか。

 ラボに篭ったこともあり、OCの面では記録も出てかなり充実した滞在だったのだが、グルメの面では少しやり残した感じがするので、また今年中に台湾に行ってみたいと思う。次回は様々な場所の夜市を巡ってローカルフードに挑戦してみたい。

(清水 貴裕)