【 2010年8月14日号 】
液体窒素+PC Maticで世界ランキングを狙ってみた
Let's Extreme Cooling?
                Text by duck

duck氏

 日本が世界に誇るOverClocker。

 2004年にOCのWRを塗り替えて以来、P4の8.2GHz駆動など数え切れない程の世界記録を樹立し、今もなおトップランカーとして走り続ける。この地球上で最高のレコードを出す事をライフワークとしており、日々液体窒素をぶちまけている。オーバークロッカー向けオンラインショップ「Japan Cooling Artist」もプロデュース中。

ブログ:PCracer duck Official Blog
関連記事:[1][2][3][4]

 PC Maticというソフトをご存知であろうか?
 私も正直、最近まで知らなかった。

 しかし、このソフトについて、 知人からの情報で気になるキーワードが含まれていたので、興味を持ってしまった。

 そのキーワードとは……『世界ランキング』という言葉である。

 PC Maticは簡単に言うと、総合的なPC管理ツールである。

 レジストリやシステム最適化だとか……よく見かけるアレである。コチラを見ていただければ、更に詳しく理解していただけるでしょう。

 しかし、このソフトの面白い点は、『その後』にある。ベンチマーク機能が付属していて、どれくらい?性能が上がったか?インターネットを介して、世界中のPCと自分のPCを比較しろ! ということらしい。

 これは有りそうで?無かったというか………面白い

 世界が相手となると、必然的にExtreme Coolingが必要だろう。「そこまでして意味があるのか………?」という話は置いといて、現状の最強システムで試してみよう。

□関連記事
【5月21日】Windows環境のボトルネックを無料でアドバイスしてくれるPC Matic(PC Watch)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/nishikawa/20100521_367777.html



●Extreme Coolingとは?


液体窒素で冷却中のduck氏のマシン
 あまり耳慣れない言葉に感じる方も多いだろうが、これは、CPUや主要パーツを液体窒素(LN2)などを用いて、マイナス200℃近い超低温で動作させるもの。

 超低温での動作になるため、動作クロックも倍くらい向上。性能を引き出す究極冷却によるベンチマークスタイルを指す。

 具体的には以下の記事などでレポートされているので、参考にしてほしい。

□関連記事
【2010年4月12日】「NGF 2010」オーバークロックイベントレポート(GAME Watch)
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20100412_360792.html
【2010年6月19日】「Intel in Akiba 2010 Summer」開催、7GHzのOC世界記録も
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20100619/etc_intelev0.html


●世界最強OCマシン vs PC Matic

 さて、今回用意したシステムは以下の通り。

 世界相手に恥じないよう、

CPU :Intel Xeon X5680 x 2 
M/B :EVGA classified SR-2
Mem :Kingston KHX2133C8D3T1K2 2GB x 6
VGA :EVGA GTX480 x4 (4 Way SLI)

……という現状で考えられる最強システムを、更に液体窒素でオーバークロックさせて迎え撃つことにした。

『何もソコまでして………つうか?馬鹿じゃないの?』

 という声が既にこの時点でいっぱい聞こえるのは想定内だ。

 さぁ、いよいよ開始〜!ということで CPUだけLN2でCoolingしてみよう。

 そして………結果は6%(上位6%圏内ということらしい)

 詳細な結果を見てみると、CPUは「上位0%」とほぼ計測不能?レベル。これまでのベンチマークでも、上位0〜2%の範囲に収まっていたので、予想していたというか?こんなもんなのでしょう。

 落とし穴だったのは、ネットの速度結果で38%と大きく足を引ったことと、最後の『その他の項目』(30%)。この2つは完全にやられてしまった感じだ。

 つうか、なんだ『その他の項目』って?
 多分、推測するにOSやドライバとか含めたシステムの 状態に関することとは思うのだが。


CPUは「上位0%」で計測不能?


Xeonデュアル、Quad SLI のモンスターマシン

今回は5.317GHzでテスト

測定時の環境


●普通のPCでも意外な結果が………

 ………というところで、なんだか急に冷めてしまった(笑)

 冷静になったきたところで、では常用機に近い環境でやったらどうなるか?試してみよう。


ASUS P7H55D-M EVO

測定時の環境
 システム構成は、

CPU :Intel Core i5-670
M/B :ASUS P7H55D-M EVO
Mem :Kingston KHX1600C9D3B1K2/4GX 2GB x2

 GPUはCPU内蔵の非力なものなのでで、3D項目などはアテに出来ないだろうし、メモリもデュアルで非力な設定。もちろん、オーバークロックはしていない。

 そして結果は14%………

 予想外の数値が………

 おーい! あんま変わらんじゃないか〜(笑)

 どういうスコア算出法をとってるのかは不明だが、 トリプルチャネル×2 の強力なメモリ構成と、デュアルチャネル×1構成との差が殆ど無かったりする。あとはまだ参加者が少ないんだろうな。


あれ?14%もいっちゃった



●ベンチマークソフトとしてのPC Matic

【自動チューニングの効果は?】

 このPC Maticには、有料サービスとして『自動チューニング機能』なるものがついていて、アドバイス項目中、赤丸表示されてる箇所は自動で治療してくれる(というかそれがメインの機能だ)。

 さっそく試してみると、ベンチの結果は14%→12%にアップ。全体の数字は大きく変わらなかったものの、詳細では先ほど足を引っ張っていた『その他の項目』が20% →10%へ大きく向上した。本命のベンチマークを走らせる直前にPC Maticで一度お掃除する……という使い方もできそうだ。

 ということで、更に冷静になってベンチマーク機能を振り返ってみると、昔からあるベンチマークソフトの代表格であるHDBENCHに雰囲気がよく似ている感じで、個人的には凄く懐かしかった。

 また、このソフトの目的が常用環境での『体感速度の向上』なのもまた明確だ。あくまで、『このソフトのおかげで、OSを中心としたシステムが、どれくらい高速化されたか?』ということに重点を置いたベンチマークなのである。ただ強力なパーツを集めて、凄い速度で動かせばよい………ということではないのだろう。

 つまり、今回大きく足を引っ張った、『ネット速度』や『その他の項目』の方が重要ということになる。ただそれなら、もっと数値として細かく表示してほしかった。

 なぜなら、「そこまでやっても意味ないだろう?」というレベルまでやるのが一流のベンチマーカー達だから。使用前、使用後の数値をハッキリさせ、なおかつ細かくカテゴリ分けして示せば、ベンチマークという言葉に敏感な、幅広い層にも没頭してもらえると感じたからだ。

 だが……ベンチマークに意味などない。

 私も最初はそれなりの目的があって、ベンチマークソフトを利用していた。

 しかし、数値をつきつけられることによる達成感や屈辱感により、最終的には、ただの『負けず嫌いコンテスト』と化すのだ。

 まぁ、何はともあれ、今回かなりやり込んだおかげで、ランキング自体のレベルは上がったと思う。上位は私の記録でいっぱいな筈だ。

 おかげで上位に食い込むのは難しくなったとは思うが、私に挑戦する意味もあるし、是非、一度試して欲しい。皆さんが参加することにより、ソフトのクオリィティも上がるだろうし、過去のベンチマークソフトもそうやって世界的に有名になって成長していった経緯がある。今後も私は色んな意味もこめて、PC Maticを応援して遊んでいきたいと思っている。


□PC Matic
http://pcmatic.jp/

□関連記事
【2010年8月12日】 チューニング+セキュリティソフト「PC Matic」の日本市場戦略を聞く(PC Watch)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/gyokai/20100812_386912.html

PC Matic

※特記無き価格データは税込み価格(税率=5%)です。