【 2011年12月6日 】 | |
この冬、ゲーム三昧を目論む方に 〜話題の新作ゲームをGeForce4製品でベンチマーク〜 Text by 石川ひさよし |
この冬はPCゲームの新作ラッシュだ。
FPSでは11月2日に登場したバトルフィールド3を皮切りに、コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア3も日本語字幕版が登場、吹き替え版も12月22日(木)にリリースされる。ほか、RPGではThe Elder Scrolls V: Skyrimの日本語ダウンロード版が12月8日にリリース、さらにパッケージ版も1月26日(木)に発売予定となっている。.
こうした3Dゲームタイトルを楽しむには、もちろんCPUやメモリを含めたトータルでのシステムパフォーマンスが重要だが、なかでもビデオカード選びで快適度がダンゼン変わってくる。そこで、今回はエルザジャパンの協力を得、各種GPUを搭載したビデオカードでゲームを楽しむ際の目安となるベンチマークを計測してみた。
注目のゲームタイトル3本をピックアップ 今回テストするゲームタイトルは冒頭で紹介した3本。それぞれまずどのようなタイトルなのか簡単に説明しておこう。
広大なフィールドを、歩兵はもちろん、戦車や装甲車といった戦闘車両、戦闘機、武装ヘリコプターなどで駆け抜ける。DirectX 11やDirectComputeなど最新のグラフィック技術を用いたグラフィックはこのゲームの見どころのひとつ。ただしそれだけにハードウェアの要求スペックもかなり高く、そのグラフィック技術の全てを体感するには現時点でもハイエンドなPC環境が必要だ。
ゲームにはシングルプレイモード(キャンペーン)と協力プレイのCO-OP、そしてオンライン対戦が楽しめるマルチプレイヤーモードという3つのモードが用意されている。
今回は本タイトルの醍醐味であるマルチプレイヤーモードで現行液晶ディスプレイの標準解像度であるフルHD、そしてFPSタイトルにおいて快適なフレームレートといえる平均60fpsを満たすセッティングを各ビデオカードで調査してみた。
シングルプレイヤーモードのシナリオは、CoD MW2の続き、という流れになっている。バトルフィールド3は市街地だけでなく荒野などのフィールドもあるが、こちらはどちらかと言えば市街地での作戦が中心。また、ハードウェア要件はそこまで高くなく、そこそこのビデオカードで楽しめるのもうれしい仕様だ。
ゲームモードはこちらも3種類。ひとつ目はシングルプレイヤー(キャンペーン)、ふたつ目はスペシャルオプス、3つ目がマルチプレイヤー。
今回はスペシャルオプスにあるサバイバルモード(ソロプレイ)で、フレームレートを計測してみた。一定量の敵が波状攻撃のように出現し、そのなかで生き残ることがミッション。比較的負荷も高く、かつCoDの操作に慣れるのにも最適なモードだ。
The Elder ScrollsシリーズのいわゆるファンタジーRPGで、プレーヤーはドラゴンを倒す救世主という設定だ。とにかく世界が広く、クエストも豊富、家を持ったり結婚したりと自由度も高く、さらに有志によるパッチが豊富なことでカスタムして楽しむことも活発的だ。
計測地点はDragon Searchというマップの、階段の上から街を一望できるポジション。しばらく放置すると主人公を中心に視点がグルグルまわるので、この状態でのフレームレートを計測した。なお、検証は一足早く発売された英語版で実施しているが、12月8日には日本語ダウンロード版が公開、さらに1月26日(木)には日本語パッケージ版もリリース予定だ。
今回テストするELSAのカード5種類をチェック では、今回お借りしたビデオカード4枚を紹介していこう。
まずはNVIDIA GeForce GPUの現行最上位モデルであるGeForce GTX 590を搭載する「ELSA GLADIAC GTX 590」、そしてシングルGPUでは最上位となるGeForce GTX 580を搭載した「ELSA GLADIAC GTX 580」、そしてGeForce GTX 570を搭載する「ELSA GLADIAC GTX 570」、最後にGeForce GTX 560 Tiを搭載する「ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini」の2枚セットである「ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini SLI TWIN PACK」だ。
ELSA GLADIAC GTX 590は、2つのGPUを搭載するモンスター級のビデオカードだ。
GeForce GTX 590を搭載するELSA GLADIAC GTX 590。カード長は280mmとかなり長め
ディスプレイ出力は3つのDVIとmini DisplayPort。3D Visionサラウンドにも対応しているNVIDIAのGPUでは、同じGPUの2枚のカードを連携させることでパフォーマンスを向上させる「SLI」機能を持っているが、これを1枚のカード上で実現した格好の製品だ。
搭載するGPUはGeForce GTX 580と同クラスの製品。動作クロックは若干抑えられているが、ハイエンドGPU×2基によるパフォーマンスは強力だ。加えてGeForceとしては唯一、標準で3画面出力に対応しており、3画面による3D Visionサラウンドも楽しめる。一方で、そのぶんカード長が280mmもあり、これを搭載するケース側にも制約がつく。
ELSA GLADIAC GTX 580 3GBは、前述のとおりシングルGPUで再上位のGPU、GeForce GTX 580を搭載したカード。
GeForce GTX 580を搭載するELSA GLADIAC GTX 580 3GB。メモリ容量の多い3GB版だ
ディスプレイ出力は2つのDVIとmini HDMI。デザインはリファレンスと同じだシングルカードのメリットは、SLIに対応していないタイトルでのパフォーマンスが高い点である。ラインナップの最上位はGeForce GTX 590だが、動作クロックはGPUコア、メモリともにGeForce GTX 580よりも低く抑えられており、1GPUあたりのパフォーマンスではGeForce GTX 580が勝るのだ。最近ではSLI非対応タイトルというのも稀になってきているが、そうしたタイトルでは相対的にコストパフォーマンスが高くなる。
また、ELSA GLADIAC GTX 580は通常のGeForce GTX 580が1.5GBのメモリを搭載しているのに対し、2倍の3GBを搭載した強化モデルでもある。
ELSA GLADIAC GTX 570 V2の搭載するGeForce GTX 570は、GeForce GTX 580と同じ系統のGPUコアを搭載しながら、低価格で消費電力も抑えたGPUだ。
GeForce GTX 570を搭載するELSA GLADIAC GTX 570 V2。カード長がリファレンスと比べ38mm短い229mmとなっている
ディスプレイ出力もリファレンスと異なり、mini HDMIからHDMIに、そしてDisplayPortを増設している本来、カード長もGeForce GTX 580と同じ長さだが、本製品は38mmほど詰め、GeForce GTX 560 Ti相当の長さに抑えたコンパクトなカードに仕上がっている。
ほかにもオリジナルな点として、ディスプレイ出力端子をリファレンスのmini HDMIから標準のHDMIに変更、DisplayPortを追加しており、取り回しが良い。動作クロック等はGeForce GTX 580よりも低く、ほか、シェーダーの数やメモリバス幅、メモリ搭載量など、抑えられている部分は抑えつつも、ミドルレンジGPUよりもひとつ上のパフォーマンスが得られる。
●ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini/SLI TWIN PACK
ELSA GLADIAC GTX 560 Ti miniはカード長がかなり短く切り詰められたオリジナルデザインカードだ。そしてELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini SLI TWIN PACKはそれを2本セットにした製品。SLIによってミドルレンジからハイエンドの領域へとパフォーマンスを引き上げることができる。
GeForce GTX 560 TiのSLIセットとなるELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini SLI TWIN PACK。カード長が170mmまで詰められ、様々なケースに搭載可能となっている
ディスプレイ出力はGeForceの標準的な2つのDVIとmini HDMIという構成奥行き170mmというサイズは、ほとんどのマザーボードにおいてはみ出すことが無い。また、補助電源コネクタが上を向いており、この点でも搭載時における奥行き方向への干渉を減らしている。
性能面では、まずGPUコア自体がGeForce GTX 580とは異なり、シェーダー数やメモリバス、メモリ搭載量など大幅に減っており、GTXというハイエンド向け製品名ながらミドルレンジとの境に位置するポジションだ。
各ゲームでのパフォーマンスは? ではこれらのカードを用いてベンチマークをとった結果を紹介していこう。
ベンチマーク環境は、CPUがIntel Core i7-2600K、マザーボードがASUSTeKのMaximus IV Extreme-Z(Intel Z68)、メモリがG.Skill F3-14900CL9Q-16GBXL(DDR3-1333として使用、4GB×2)、SSDがIntel SSD 510 120GB(SC2MH120A2K5)で共通としている。
●ビデオカードの性能指標3DMark 11
まずはDirectX 11対応ベンチマークの3DMark 11で各GPUのポジションを確認しておこう。NVIDIAのGPUにおいては、GPU型番の番号が大きければ大きいほど高性能というのは知られるところだが、実際どの程度違うのか、という指標としてほしい。
Futuremarkの3DMark 11はタダで試せるBasic Editionが用意されている。Performance設定であれば自由に計測できるので、DirectX 11対応カードをお持ちの方はまずお手元のカードで試してみると良いだろう。今回のカードでは、GeForce GTX 590のP7669を筆頭に、型番とおりの順序でスコアが計測された。GeForce GTX 590からGTX 560まではスコアがおよそ1000刻みで下がっていくのが特徴的。
また、注目して欲しいのはELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini SLI TWIN PACK。1GPUではP4701程度のスコアのGeForce GTX 560 Tiだが、SLIによってGeForce GTX 590とGTX 580の間のポジションにまでスコアを伸ばす。では、この3DMark 11のスコアも参考にしながら、以降の実ゲームタイトルによるベンチマークのスコアを見て欲しい。
●バトルフィールド3はSLI効果が絶大バトルフィールド3は、前回のレビューでフルHD・60fps超を叩き出せる設定を探るという方法でテストしてみたが、今回もそれに倣い、フルHDで60fps以上になる設定をそれぞれ探ってみた。
【フルHDで60fpsを超える設定例(ビデオカード別)】 GLADIAC
GTX 590GLADIAC
GTX 580 3GBGLADIAC
GTX 570 V2GLADIAC
GTX 560 Ti mini SLIGLAIDAC
GTX 560 Ti miniテクスチャの品質 最高 最高 高 最高 中 影の品質 最高 最高 高 最高 中 エフェクトの品質 最高 最高 高 最高 中 メッシュの品質 最高 最高 高 最高 中 地形の品質 最高 最高 高 最高 中 地表の装飾の品質 最高 最高 高 最高 中 アンチエイリアス 4x オフ オフ 2x オフ AAポスト 高 高 高 高 中 モーションブラー オン オン オン オン オン 異方向性フィルタ 16X 16X 16x 16X 16x アンビエント HBAO HBAO HBAO HBAO SABO 平均フレームレート
(5回計測)83.7 67.1 62.7 107.7 68.7 まず、GeForce GTX 590はフルHDであればプリセットの最高を選んで問題無い。アンチエイリアスも4xのままで問題無く80fps以上をマークした。
GeForce GTX 580となると、同じプリセットの最高でも、アンチエイリアスを無効としなければ60fpsを上回れない。もっとも、1920×1080ドットの解像度であれば、それより低解像度で楽しむ際ほどアンチエイリアスの必要性は感じられず、十分にキレイと言えるグラフィックだ。GeForce GTX 570では、プリセットの高に下げ、アンチエイリアスも無効でなければならなかった。そしてGeForce GTX 560 Tiシングルではさらにプリセットの中まで下げなければならない。
なお、ELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini SLI TWIN PACK(GeForce GTX 560 TiのSLI)は、SLI効果でGeForce GTX 580をも上回る性能を見せた。
最高画質でアンチエイリアスも2xまでなら適用できたうえに100fpsを超えている。4xまで引き上げると60fpsには届かなかったため、やはりGeForce GTX 590とGTX 580の間のパフォーマンスであるようだ。ただしひとつ注意点があるとすれば冷却面。隣接スロットを専有するタイプのカードを2枚搭載するわけで、冷却はシングルカード時よりもシビアなものとなる。ケース前面、側面からのエアフローを強化しなければ、発熱によりパフォーマンスを落とすことにもなる。
●CoD MW3はGTX 560 Ti以上ならどのGPUでも十分なパフォーマンスで楽しめる
CoD MW3は、ハードウェア要件がそこまで高く無いため、画質オプションはアンチエイリアスも含め全て有効、全て最高という同一の条件のもとで、各ビデオカードで計測してみた。結果は、GeForce GTX 590からGeForce GTX 560 Tiシングルまで、全てのビデオカードが100fpsを軽くオーバーしている。60fpsの心配が必要になってくるのは、フルHDを超える解像度で楽しみたい場合くらいだろう。
なお、CoD MW3をSLIで楽しむ際には注意点がひとつある。それはドライバのバージョンで、まず執筆時点で最新のGeForce 285.62 Driverでは、ゲーム内でSLIが適用されず、SLIなのにシングルGPUよりも低いスコアとなってしまった。そこで、ベータ版ドライバの「GeForce 290.36 Driver」を用いたところでグラフのスコアが計測できた。このように、タイトルによっては、発売当初にSLI対応ドライバが間に合わないということもあるので注意しよう。
また、3DMark 11とCoD MW3は同一条件でGeForce GTX 560 TiシングルとSLIが比較できたわけだが、そのどちらもSLIによってシングルの約1.5倍のパフォーマンスが確認できた。そして同時にGeForce GTX 580単体のパフォーマンスを上回っている。既にGeForce GTX 560 Tiをお持ちで、今冬のゲームに合わせてパフォーマンスを強化したいと考えている方は、GeForce GTX 560 TiによるSLIを検討してみるのも良いだろう。
●SkyrimはクセがあるもののミドルレンジGPUで大丈夫
Skyrimもそこまでハードウェア要件が高くないため、画質設定はUltraにして計測してみた。なお、V-Syncは無効化している。Skyrimでのフレームレートは、CoD MW3ほど高くはなく、そして各ビデオカードの差も小さい。差は小さものの、フレームレートの傾向はこれまでのタイトルと同様だ。なお、GeForce GTX 560 Tiが60fpsを下回っているが、先に述べたとおりRPGでは30fps程度あれば十分に楽しめる印象。
また、Skyrimの場合は最小fpsにも注目して欲しい。このシーンにおける各ビデオカードの最小fpsはどれも40前後。解像度を変えてみても最小fpsは40前後に落ちている。異なるGPUや異なる解像度でも同じ40fpsとなると、どうもGPU性能には関係ないようだ。なお、最大fpsはどのGPUも60fpsを超えており、他のシーンで計測したデータも60fps前後を示している。
【フルHDでの設定例(ビデオカード別)】 GLADIAC
GTX 590GLADIAC
GTX 580 3GBGLADIAC
GTX 570 V2GLADIAC
GTX 560 Ti mini SLIGLAIDAC
GTX 560 Ti miniAntialiasing 8 8 8 8 8 Ansotoropic Filtering 16 16 16 16 16 Detail Ultra Ultra Ultra Ultra Ultra Advanced Texture Quality High High High High High Radial Blur Quality High High High High High Shadow Quality Ultra Ultra Ultra Ultra Ultra Decal Quality Ultra Ultra Ultra Ultra Ultra FXAA off off off off off Water -Refrect Land on on on on on Water -Refrect Objects on on on on on Water -Refrect Trees on on on on on Water -Refrect Sky on on on on on 平均フレームレート 72.5 70.6 67.9 71.9 56.6 最大値 110 103 88 109 67 最小値 40 39 40 39 39 省スペースPC派の狙い目はTWIN PACK?
このとおり、もちろんパフォーマンスに関してはGeForce GTX 590がダントツ。いずれもSLI対応タイトルだけに、突き抜けたパフォーマンスが得られる。一方、かなりお高いのも事実であり、各スコアを見ながらカードに合った設定をすることでゲームを楽しんでいただきたい。
コンパクトなカードであれば、省スペースなケース内で、より多くの空きスペースを確保できる。エアフローがスムーズに流れることで、冷却と静音双方にとってメリットをもたらすことになるただひとつ、今回のダークホース的存在がELSA GLADIAC GTX 560 Ti mini SLI TWIN PACKだ。今回のように、SLI対応タイトルではGeForce GTX 580をも上回る性能を見せているが、そのパフォーマンス面だけでなく、使い勝手の面でもかなり良好なので、少々書き足しておこう。
まず、小さいことはいい事だ。PCでゲームと言っても、皆が皆、ゲーマー向けの大型ATXケースを用意できるわけではない。普段使いを念頭におけば、通常のATXケースや、むしろ省スペースPCケースの方が最近では人気だろう。
この省スペースPCケースというのがゲームを楽しむにはやっかいな存在で、まずハイエンドビデオカードが物理的に入らないということも多い。そうした状況で有効なのが、ミドルレンジGPUと、そのSLIだ。
もちろんGeForce GTX 560 TiのSLIであればパフォーマンスも伸ばせるが、省スペースPCケースでは冷却も大型ケースよりも難しくなる。空冷では容積、空きスペースによって効率が変わってくるためだ。その点、ELSA GLADIAC GTX 560 Ti miniのようにパフォーマンスはそのままコンパクトなカードであれば、省スペースPCケースでもより広いスペースを確保できることになる。冷却はもちろん、静音にも注力しているユーザーはこちらでも効果的だ。そのほか、前方に大型のHDDベイがあったり、よりコンパクトなMicro ATXケースをお使いの方などで、ゲームパフォーマンスに悩んでいる方は、こうした小さなカードによるSLIを検討してみて欲しい。
□バトルフィールド 3
http://www.battlefield.com/jp/battlefield3
□コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア3
http://www.extremeedges.jp/callofduty/mw3/top.html
□The Elder Scrolls V: Skyrim
http://store.steampowered.com/app/72850/□エルザ ジャパン
http://www.elsa-jp.co.jp/□関連記事
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http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20111029/sp_bf3.htmlELSA製品 [機材協力:エルザジャパン]