ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

“総、天、然、ショック。”が進化を遂げた! FM77AVシリーズ2代目「FM77AV20/40」

下がFM77AV20で、上がFM77AV40です。キーボード左上に配置されているBREAKキーが、従来機種のグレーから朱色へと変更されているのが特に目立ちます

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は、富士通がFM77AVの後継機種としてリリースしたパソコン「FM77AV20/40」を取り上げました。

 1985年に登場したF77AVは、4,096色同時表示というビッグインパクトを備え、華々しく市場へとデビューしました。この当時、人気のあったPC-8801mkIISRシリーズは未だ512色中8色表示だったため、この色数は大きなアドバンテージとなり、一部ソフトハウスはFM77AV専用ソフトも発売。中でも日本テレネットの『ルクソール』やゲームアーツの『シルフィード』は、大きな話題を呼びました。そして1年後となる1986年、ユーザーの期待に応えるべく富士通が世に送り出した新機種が、FM77AV20とFM77AV40です。

正面から見ると、FM77AVよりもスッキリとした印象を受けます。電源・CAP・かな・INSといったインジケータが、FM77AVでは縦配置だったものが横に並んでいるのも、その一因かもしれません。なお、見た目はFM77AV20も40も同じなので、写真はFM77AV40のものを使用しています。左から順にキーボードコネクタ、ボリュームコントローラ、低速/高速モード切替スイッチ、BASIC/DOSモード切り替えスイッチ、ジョイスティック端子となっています

 どちらも、内蔵されている3.5インチFDDが2Dタイプから2DDタイプのものへとパワーアップし、待ち望まれていたRS-232Cの標準搭載も行われ、より完成度が高まっています。FM77AV20はFDD1基搭載のFM77AV20-1と、2基搭載のFM77AV20-2という2モデルが用意され、FM77AV20-1が138,000円、FM77AV20-2は168,000円という値付けでそれぞれ市場へとデビューしました。

 ワンランク上となるFM77AV40は、FM77AVの320×200ドット4,096色を越える、320×200ドットで262,144色を実装し、640×400ドット8色1画面もサポート。漢字も、第一水準だけでなく第二水準まで使用可能になり、グラフィック画面に40文字×20行を表示することができました。メインメモリは、FM77AV20はFM77AVと同じ128KBでしたが、FM77AV40は192KBを搭載しています。値段はFM77AV20より高めに設定され、標準価格228,000円でリリースされました。

FM77AV40の背面は左上から、拡張FDD、オプションI/O、ディジタイズ、RS-232C端子、音声出力・入力端子、RGBマルチ端子、カセット端子、I/O拡張バスコネクタ、プリンタポートとなっています。右端には、サービスコンセントも見えます
キーボードはFM77AVのものと見た目はそれほど変わりありませんが、nキーロールオーバーだったものが2キーロールオーバーとなっています。また、コードも若干変更されているので流用は効きません。本体とは赤外線でも接続可能で、無線であればFM77AVのキーボードを使ったり、その逆も可能です

 御三家であるNEC、シャープ、富士通はちょうどこの時期、主力ラインの新製品を発売しています。NECはPC-8801FH/MH、シャープがX1turboZ、そして富士通がFM77AV20/40でした。価格は、PC-8801FHのmodel30が168,000円、PC-8801MHは208,000円、X1turboZが218,000円であり、FM77AV20はPC-8801FHと、FM77AV40はPC-8801MH、X1turboZとほぼ同じ価格帯となっています。こうなると、消費者にとっては値段ではなく別の面での価値が購入動機になるわけで、FM77AVシリーズは色数というビジュアル面での性能を訴求し続けていくことになります。広告も、扱える色数が増加したことを受けて、新たなキャッチコピー“ひょーげん族。”が使用されました。

広告では、キャッチコピーの“ひょーげん族。”にあわせ、“Audio族へ”“Visual族へ”“Communication族へ”“Personal Computer族へ”というトピックを設け、特徴を紹介していました。ただし、書かれていることは基本的にFM77AV40のことで、FM77AV20とFM77AVは小さく掲載されているだけでした