ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち
ビジネスマシンのソードが発売したゲームパソコン「m5」
2019年5月28日 08:05
想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、ソード電算機システム社が1982年にリリースしたパソコン「m5」です。
ソード電算機システム社(ソード社)といえば、それまではビジネス向けPCを中心としてパソコン業界で名を馳せていた会社でした。1980年前後のパソコン雑誌を見ると、あちこちで同社の名前を目にすることができるかと思います。
そんなソード社がリリースしたビジネス向けではないパソコン、それがm5でした。広告でのキャッチコピーは「B5サイズ 手に乗る未来」で、本体が本当に小さく、B5サイズにも関わらずさまざまなゲームが動く、確かに未来を感じさせる部分もあるパソコンです。
ソフトは、カセットテープだけでなくカートリッジでも提供されていました。そのため、それを本体に挿し込むだけで即遊ぶことができます。1982年には、似たようなコンセプトのパソコンとしてトミー(当時)のぴゅう太、バンダイ(当時)のRX-78がありました。
その中でm5は、当時ゲームセンターにてヒット作を次々と送り出していたナムコ(当時)、コナミ(当時)、アイレムなどがソフトを供給していた強みを活かし、売上台数を伸ばしていました。ちなみに、用意されたタイトルはナムコから『ディグダグ』『パワーパック』『ワープ&ワープ』『タンクバタリアン』『ボスコニアン』『ギャラックス』などで、コナミが『プーヤン』『スーパーコブラ』『ガッタンゴットン』など、アイレムが『ムーンパトロール』と、時代を考えればそうそうたるラインアップだったと言えるでしょう。
最初に掲載された広告には細かなスペックが書かれていて、それによるとCPUはZ80A、ビデオコントローラにTMS9918A、サウンドジェネレータはSN76489Aを採用していたことが分かります。重量はたったの800gで、この当時としては最軽量の部類に入るでしょう。RF出力だけでなくビデオ出力も備えているため、今でも簡単にテレビと接続できるのは有難い部分です。
ユーザーRAMは4kbytesですが、標準付属品であるカートリッジのBASIC-Iを挿すことで8kbytesになりました。キーボードは、個々のキーが五角形になっているという従来にないデザインが斬新ですが、ゴム製なので若干使いづらいのが惜しいところです。右シフトキーの上にスペースキーが配置されているのも、本機だけの特長でした。なお、ゲームメインで使用するなら必須とも言えるジョイパッドは、別売り10,000円となっていました。
m5はヒットしたのでそれなりの台数が出荷されていますが、後継となるm5Proとm5Jr.はほとんど見かけないので、もし手元にある人がいれば大事にしてほしいと思います。