ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

PC-9801シリーズ初となる2HDドライブを内蔵した「PC-9801M2」

PC-9801Fと似たような筐体ですが、機種名に大きく“m”と書かれているのが見た目の部分では大きな違いです。キーボードはPC-9801Fと同じく、右上にPC-9801とだけ書かれているタイプです。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、NECが1984年末に市場へと送り込んだ機種「PC-9801M2」となります。

 1982年に初代PC-9801を発売後、購入しやすい値段で登場させたPC-9801Eや、PC-98シリーズとしては初のフロッピーディスクドライブを内蔵させたPC-9801FをリリースしてきたNECですが、1984年の11月1日に発表された新機種がPC-9801M2でした。

当時の広告では、“M2”という大きな文字が強調されていました。PC-9801Fの“F”はFDD内蔵を強調したと言われていますが、“M”は1MBのFDDを内蔵したことを強調していると言われています。

 PC-9801Fは5インチ2DDのドライブを1基または2基内蔵していましたが、PC-9801M2は5インチ“2HD”ドライブを2基、内蔵するモデルとして登場させています。広告では、機種名は“PC-9801m2”と小文字表記なのですが、他の部分はすべて“PC-9801M2”となっていて、なぜか統一されていないのが不思議でした。

 キャッチコピーは「ニュービジネスの象徴(ステイタス)」で、本体標準価格は415,000円となかなかよいお値段です。CPUなどはPC-9801Fと同じですが、メモリが128KBから256KBへと増加しているのにくわえ、これまでのPC-9801シリーズには内蔵されていなかったマウスインタフェースも追加されました。

 最大の違いは、内蔵ドライブがこれまでの5インチ2DD(容量約640KB)から5インチ2HD(容量約1.2MB。広告では1MBと表記)へと増加したことでしょう。なお、2DDや2Dの読み書きは出来ないため、それらのディスクを使いたいときは外付けFDDが必要になりました。

正面から見ると、右側に電源が、左下にはリセットボタンと5MHz/8MHzのクロック切り替えスイッチがあります。
背面は、左上に電源、右隣にサービスコンセント、その右側に1MBのFDDコネクタ、空冷ファンを挟んでマウス端子、隣に4基の拡張スロットがあります。下段は左からキーボード端子、デジタルRGB端子、モノクロモニタ端子、5インチ2DFDDコネクタ、ディップスイッチ、RS-232Cポート、プリンタポートとなっています。

 意外なのは、PC-9801M2が発表・発売された当時、NEC専門の雑誌「Oh!PC」ですら、特集を組んでいなかったことです。一応、1985年2月号にて“徹底解剖”と題した1ページ記事で内部写真を掲載しているのですが、それ以外に目立った記事は見つかりませんでした。さらに、広告でも既発売のPC-9801E、PC-9801Fシリーズと並んで宣伝するという、“モデル追加”という形を取っていました。おそらくは、前機種であるPC-9801Fシリーズとあまりにも差が無かったからではないかと思われます。変更点はごくわずかでも、後々主流となる2HDドライブを搭載していたということで、PC-9801Fシリーズよりも長く活躍出来たと思われます。

内部を覗くと、FDD用ケーブルが横断しているのが分かります。幅が広いのがFDD用で、細い方はマウスのケーブルです。

 PC-9801M2デビューの翌年となる85年春前には、内蔵FDDを1基にして20MBのSASI HDDを搭載したPC-9801M3(標準価格838,000円)が誕生しますが、より大きなうねりとなるのは夏に登場することとなるPC-9801VF/VMシリーズでした。