ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

新しい音源を搭載してPC-88シリーズの魅力がより一層高まった『PC-8801FA/MA』

PC-8801FH/MHと比べても、あまり変わらない筐体デザインとなっています。ある意味、完成されたデザインに到達したのかもしれません。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、NECのPC-88シリーズのなかから「PC-8801FA/MA」です。発売は1987年。

 PC-8801mkIISRが登場して以降、PC-8801mkIIFRで値下げをし、PC-8801mkIIMRでは2HDディスクドライブを採用、PC-8801FH/MHでCPUのクロック速度をアップさせてきたNECですが、その次の一手は音源のパワーアップでした。1987年後半、NECがPC-88シリーズの最新機種として発売したのが、今回取り上げたPC-8801FA/MAです。

 従来のPC-88シリーズはFM3声PSG3声でしたが、PC-8801FA/MAは「FM6音、リズム6音(バスドラム、スネアドラム、リムショット、タム、シンバル、ハイハット)の迫力あるステレオ12音源とSSG3音。さらに、このクラスでは画期的ともいえるADPCMによるデジタルサンプリング機能を標準で搭載しました」と、広告にて大きく打ち出されていました。

当時の広告では、サウンド面でパワーアップしたことがメインで打ち出されています。

 対応ゲームとしては、タイトルには言及されていないもののゲームアーツの『ゼリアード』の画面写真が使われてたほか、新音源を活かせるソフトとして『インスタントミュージック』も紹介されています。ちなみに、強化されたサウンドに対応したタイトルは、有名どころではT&E SOFTの『ハイドライド3』やボーステックの『ザ・スキーム』、エニックスの『MISTY BLUE』、日本テレネットの『夢幻戦士ヴァリスII』などがありました。新機種登場に合わせて、音源面で同じスペックになるようPC-8801mkIISR/TR/FR/MR用に「PC-8801-23」を、PC-8801FH/MHには「PC-8801-24」を、それぞれリリースしています。

正面には左から、キーボードコネクタ、リセットボタン、クロック切り替えスイッチ、モード切り替えスイッチ、ヘッドフォン端子、ボリュームつまみ、電源スイッチが配置されています。

 ほかにも、PC-8801FAでは従来の“F”シリーズにて用意されていたmodelXXという区分けがなくなったほか、デジタルRGB端子とCMT端子が廃止されています。ただし、PC-8801MAにはデジタルRGB端子は残されました。内蔵ドライブは、FAは5インチ2D、MAは5インチ2HDをそれぞれ2基搭載しています。またPC-8801MAは辞書ROMを搭載し、長い文章の一括変換が可能な連文節変換機能を実現したり、学習機能などをもった日本語エディタも添付されるなど、日本語処理にも力が入っていました。

背面には左からサービスコンセント、音声出力・音声入力ポート、拡張スロット、マウス端子、RS-232C端子、モニタ表示切り替えスイッチ、アナログRGBコネクタ、プリンタポートとなっています。

 この時期の8ビットパソコンはNECの一人勝ち状態になっていたものの、PC-88シリーズも少しずつ限界が見えてきた頃合いでした。PC-98シリーズはこの年、PC-9801VX21やUV21が発売されただけでなく、EPSONからはPC-286シリーズも登場します。価格面でも徐々にこなれてきて、市場は少しずつPC-98シリーズへとシフトしていくことになります。