ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち
“ハンサム”なMSXとして市場にデビューした「キヤノン V-20」
2019年12月3日 06:05
想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、キヤノンが1984年に発売したMSX「V-20」です。
オリジナルパソコンのX-07で1983年にパソコン市場へと参戦したキヤノンでしたが、その後1984年にMSX規格のパソコンであるV-10で復帰します。V-10は、メモリ16KBを搭載してカートリッジスロットを2つ備え、本体カラーが白で標準小売価格が54,800円となる、この時期としては標準的なMSXパソコンでした。その後継機という立場で1984年7月1日より発売されたのが、このV-20となります。
搭載していたメモリは、V-10の4倍となる64KB。本体カラーはV-10の白から変更され、渋くて汚れの目立ちづらいブラックを採用しています。左側面に蓋で隠された2つ目のスロットや、他のキーと比べても一際大きいファンクションキーとカーソルキーといったV-10の特徴は受け継ぎつつ、コストパフォーマンスをアップさせてきました。
価格は、V-10より1万円上乗せとなる64,800円でしたが、時期を考えれば悪くない値段だったと言えるでしょう。キーボードはクリック式を採用したことで、“電動タイプライタ感覚(MSXMagazine 1984年8月号より)”に進化しています。特に、カーソルキーは大きかったため、上下左右に親指人差し指中指薬指を配置しての操作も、まったく問題ありませんでした。大きさで言えば、STOPキーとINSキー、DELキー、そしてHOMECLRキーも大きくされていたものの、使用頻度や間違えて押してしまう可能性を考慮すると、それらは小さくても良かったのでは? と今更ながら思えます。
特筆すべきは、カメラメーカーらしく、別売りのアダプタを用意すればキヤノンのカメラと接続することもできたことです。とはいえ、どれだけの人がこれを実践したのかは不明ですが……。カメラマンさんの知り合いなどにも聞いてみましたが、フィルム時代から仕事をしている人でも、この事実を知っている人は当方の周囲には残念ながらいませんでした。
本機が発売されたタイミングでは、まだまだカセットテープのゲームも数多く流通していましたので、それらを遊ぶ場合は最低でもメモリ32KBを要求されることが多かったため、そういう意味でもメモリを64KB積んだV-20は良いハードだったといえるでしょう。また、MSX-DOSを起動させて高級言語を使うことも可能でした。ただし、V-10&V-20につけていた「ハンサムMSX」というキャッチコピーが、ユーザーに浸透したかどうかは不明です(笑)。
ちなみに、キヤノンはこの後、V-8というモデルを39,800円で投入しています。こちらは、メモリは16KBでカートリッジスロットは1つ、電源はACアダプタに変更されていましたが、何よりもカーソルキーが右上に配置されてしまったため、キーボードでゲームが遊びにくくなったという困った点がありました。もちろん、ジョイパッドを繋げば問題はありませんが……。