ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

PC-98黄金期時代を作るきっかけとなった「NEC PC-9801VM2」

直方体のボディに、5インチ2HD/2DD兼用ドライブを搭載しています。ちなみに、VM2とVM21ではデザインが若干異なっています

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、NECのPC-98シリーズでも特に有名な「PC-9801VM2」です。発売は1985年。

 1983年にPC-9801シリーズをデビューさせたNECは、その後PC-9801E、PC-9801F、PC-9801Mとリリースしてきました。そして、1985年の7月1日にPC-9801VFシリーズと共に発表されたのが、PC-98シリーズを代表する名機となったPC-9801VMシリーズです。当初は、FDD非搭載のPC-9801VM0(295,000円)と、FDD2基を搭載したPC-9801VM2(415,000円)が発売されました。

1985年末近くの広告では、PC-9801U2やPC-98XAなどと共に“ラインナップ完成”と謳われていました

 PC-9801Mは2HD専用、PC-9801FとPC-9801VFは2DD専用でしたが、PC-9801VM2は5インチ2DDと2HDの両方を自動切り替えで扱うことができたほか、CPUは8MHzと10MHzの切り替え可能なV30を搭載。初期内蔵メモリもPC-9801VFの256KBから増え、当時としては大容量の384KBとなっていました。

正面から見ると、本体左側にリセットスイッチとクロック切り替えスイッチ、右側の蓋を開けると内部左にボリュームつまみ、右にディップスイッチが配置されているのが分かります

 筐体のデザイン面では、PC-9801FやPC-9801Mでは背面に存在したディップスイッチを正面へと移動し、スペースができた部分にアナログRGB出力を設けています。正面左にはリセットスイッチとCPUのクロック切り替えスイッチが、右には蓋で隠された中に3連のディップスイッチが設置されていました。

背面は左から、キーボード端子、デジタルRGB出力端子、モノクロモニター出力端子、アナログRGB出力端子、1MBのFDDインタフェースコネクタ、マウスコネクタ、RS-232C端子、プリンタポートとなっています

 なお、グラフィック表示は4096色中8色2画面となっていて、オプションの16色ボード(PC-9801-24)を挿すことで4,096色中16色表示が可能となります。後のゲームは、メモリ640KBと4,096色中16色表示、2HDが読み書きできるディスクドライブを要求するものがほとんどでしたが、PC-9801VM2は若干の増設を行うことでそれに対応できたため、息の長いマシンとなりました。

キーボードはPC-9801VFに同梱されたものと同じモデルです。従来機種用との違いは、スペースキーの右にNFERキーがあるかないかです。PC-9801E以降はキーボードコネクタが共通なので、ちょっとしたことであれば使い回しが効きます

 1985年9月号の月刊アスキー誌ではベンチマークテストも実行されていて、それによるとPC-9801Fと比べて最大で約2倍もの処理速度が計測されたということで、評判も上々だったようです。このときの結論としては、「ホビー・ホームユースはVF、ビジネスはVM、最先端はXA」となっていましたが、同年8月28日には日本語ワープロソフト『一太郎』が当時のジャストシステムから発売され、そのためにPC-9801VM2を導入したという話も聞きましたので、この評価も間違ってはいなかったということになるのではないでしょうか。

 9月には、20MBのSASI HDDを搭載したPC-9801VM4も発売され、PC-9801VF2とPC-9801VM0、PC-9801VM2、そしてPC-9801VM4というラインアップが完成します。