ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

セガが発売した最初のパソコン「SC-3000」

シックなブラックのボディに、キーが整然と並んでいます。電源はACアダプタなので、本体は思った以上にコンパクトです

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、セガが1983年に発売したパソコン「SC-3000」となります。

 1983年は、さまざまなメーカーが独自規格のパソコンを発売していましたが、そのうちの1社であるセガが同年7月15日にリリースしたのがSC-3000です。

 本体価格29,800円という安さはインパクト大で、同じ年の後半に登場するMSXの約半額という値段設定でした。本体のカラーバリエーションは3種類用意されていましたが、一番見かけるのはブラックではないでしょうか。ちなみに、型番の「SC」は「SEGA COMPUTER」の略となります。

広告は発売直前、発売直後、周辺機器紹介などのバージョンがありました。こちらは、発売直前(上の画像)と発売直後(下の画像)の広告です

 当時の広告に書かれていたスペックとしては、CPUにZ-80A(4MHz)、グラフィック用V-RAM16KB、カラー15色+1色(カラーミキシング210色)、キャラクタ8×8ドットマトリックス、音響カプラ300ボー、DC9V・7.7Wなどとなっていました。なお、重量は1.1kgと非常に軽く、持ち運びも容易です。

こちらの広告は周辺機器紹介バージョンですが、1984年11月前後から12月31日までにSC-3000シリーズを購入した人全員に、『ロードランナー』がプレゼントされるという告知も掲載されていました。

 キーボードはゴム製でふにゃふにゃした感触となっていますが、この時期の安価なパソコンにはお馴染みのものでした。慣れてしまえば、ゴム製のキーボードでも問題無く入力できるようになります。

 珍しいのは、CR(キャリッジリターン)キーが横長ではなく縦長になっていることでしょう。同じCRキーを採用したMZ-80KやMZ-80Bなどは横長で、他機種もリターンキーが大きいものはあるものの横幅がSC-3000のCRキーより少し長いため、ここまで縦長なCRキーを採用しているのはSC-3000シリーズのみと考えられます。

 ゴム製キーボードに関しては、後にハードキーボードを採用したSC-3000Hが発売されることで解決されていますが、SC-3000Hの価格はSC-3000よりも4,000円高い33,800円でした。

ほとんどのキーには、FUNCキーとの同時押しで入力できるファンクションが割り当てられているのがわかります。RESETキーのみ、黄色で目立つようになってるのも特徴です。

 BASICは内蔵していないため、プログラムを入力するにはホームベーシックなどのBASICカートリッジを挿入してから電源を入れる必要があります。FUNCと書かれたキーを押しながらキーをクリックすると、キーボードの各キー上部に書かれているファンクションを直接入力することができ、タイピングの手間を減らすことができました。

 感心するのは、一部命令では“(”まで入力されることです。例えばBASICの構文で、“INT(RND(1)*7)+1”と記すと「1から7までの整数値をランダムに選べ」となりますが、このように“INT”や“RND”といったファンクションは、ほぼ“(”を伴って使われますので、“INT(”や“RND(”が入力されるのは非常に助かる機能でした。

本体右側面にはカートリッジスロットが、左側面にはジョイスティック端子が2つ用意されています。

 さまざまな周辺機器も発売されましたが、なかでも「多機能マルチ接続マシン。その名もスーパーコントロール・ステーション 」と銘打たれて登場したSF-7000は、X1Dと同じ3インチディスクドライブを採用していました。さらに、RS-232C端子と8ビットパラレル(セントロニクス準拠)端子を装備し、SC-3000シリーズだけでなくMSXパソコンにも使えるという特徴を持っています。メモリも64KBを内蔵していましたが、広告では(誤植と思われますが)「大容量640KB内蔵」という表記も見つかりました。

背面は左から、電源スイッチ、電源端子、CMT音声入力、CMT音声出力、プリンタポート、ビデオ出力端子、チャンネル切り替えスイッチ、RF出力端子となっています。プリンタポートがDIN7ピン、ビデオ出力端子がDIN5ピンとなっているので、どちらも汎用のケーブルでは繋がりません。

 大きな話題を振りまいたSC-3000シリーズですが、この後は1991年登場のテラドライブまで、セガのパソコンはなりをひそめることとなります。