ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

ビクターのイオ(io)ブランドで1985年にデビューした「HC-30」

ダイヤの形に配置されたカーソルキーが特徴的なMSXです。盤面に入れられた横のスリットと右上に描かれたPOWER/かな/CAPSが、スタイリッシュなデザインを演出しています。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、ビクターのイオブランドとして発売されたMSX「HC-30」です。発売は1985年。

 MSX1時代は数多くのメーカーがMSX機種を発売していたため、どこも独自性を打ち出すべく工夫を重ねていました。

 そんな中でビクターは、ブランド名をイオ(io)とし、イメージキャラクターに小泉今日子さんを立ててMSX市場へと参入します。

 なぜ小泉今日子さんだったかといえば、CBSソニー(当時)に所属していた松田聖子さんがHitBitのイメージキャラクターだったように、小泉今日子さんもビクター音楽産業株式会社(当時)所属していたからでした。

当時の雑誌を調べたのですが、手元の資料からはHC-30の広告は見つかりませんでした。どうやら雑誌には、HC-30は広告が出されていないようです。代わりに、同じイオブランドのHC-7を掲載しています。

 そのイオブランドの1台として85年にデビューしたHC-30は、メモリ32Kbytesを備えていましたが、カートリッジスロットは1つのみ。その代わりというわけではないでしょうが、RGB出力端子を内蔵するというユニークな特徴を持っていました。

 また、本体カラーとしては黒だけでなく、目に鮮やかな赤もラインアップとして準備されていました。

上から見ると、ダイヤ型のカーソルキーが目立ちます。“32K”以外の文字が、すべて白色で統一されているのも特徴でしょう。右下には、“AV PERSONAL COMPUTER io”とあります。最上段に、背面インタフェースの説明書きが刻印されているのも珍しい部分です。
背面は左から、電源スイッチ、CMT端子、プリンタポート、電源コネクタ、RF出力端子、チャンネル選択スイッチ、ビデオ出力端子、オーディオ出力端子、RGB出力端子となっています。

 当時の標準小売価格は36,800円で、同年に発売されたカシオのMSXマシン「PV-16」が29,800円だったものの、メモリ16kbytesでRGB端子は備えていなかったことを考えれば、悪くないお値段だったのかもしれません。

 ちなみに、電源は内蔵ではなくACアダプタで、本体に挿すピンの直径が他機種と比べて若干小さいということを、これから入手しようとしている人は頭の隅にとどめておくのが良いかもしれません。

正面右にはカートリッジスロットが1つ、正面左下にはジョイスティック端子が2つが、それぞれ備わっています。

 メモリ32Kbytesを搭載していたのでカセットテープのゲームも一通り動いたほか、キーボードは入力しやすく、BASICでのプログラミングやゲームプレイにも問題無く使えました。見た目のインパクトだけかと思われがちなカーソルキーは思った以上に使いやすく、シューティングゲームでも問題無く操作できます。

 もちろん、ジョイスティック端子も2つ付いているので、ジョイパッドなどを繋いで遊ぶこともOK。カートリッジスロットが1つという所を除けば、不満のないMSXだったと言えるのではないでしょうか。

 MSX1に限っては、ヤマハのOEM機種を販売していたビクターですが、MSX2では独自ハードを作り発売していくことになります。