ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

1984年のグッドデザインも受賞したセパレート型MSX「ナショナル CF-3000」

セパレート型の見た目が、他のMSXよりも高級感を醸し出していました。キーボードコネクタは、前面ではなく背面に設置されています。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、ナショナルが1984年に発売したセパレート型のMSX「CF-3000」です。

 MSX規格に則ったパソコンが多数のメーカーから発売されることになる1984年、各社は差別化に工夫を凝らしていました。キーボードを本体から分離したモデルを発売したり、逆に本体とキーボードとテレビを一体化したタイプの機種を出すなど、この時期にはさまざまなバリエーションが考案されています。

 ナショナルは、キングコングの愛称でCF-2000を市場へと投入していましたが、今回取り上げたCF-3000も同じキングコングシリーズとし、本体からキーボードを分離したセパレート型として登場させました。価格は、ちょっと高めの79,800円。広告掲載時期から考えると、発売されたのは1984年の10月から11月にかけてで、その翌月にはCF-2000とCF-3000の中間にあたるメモリ容量を搭載した、CF-2700もリリースしています。

 ちなみに、CF-3000はそのデザイン性が評価されて、1984年のグッドデザイン賞を受賞しています。

広告には、CF-2000に続いてキングコングがイメージキャラクターとして登場しています。キャッチコピーは「おっ、離れ業。」で、“普通の人には難しい芸当をやってのける”ことと、キーボードがセパレートになっていることをかけています。

 基本的なスペックは他のMSXとそれほど変わりませんが、搭載したメモリは64Kbytes。正面にはカートリッジスロットを2つ用意し、一般的な一体型MSXが“上から下へと挿し込み/抜く時は上へ引っ張る”としているところを、CF-3000は“押し込んで挿入/イジェクトボタンを押して抜く”となっていました。

 カートリッジスロットには“操作が簡単な新開発のソフトインサートコネクタを採用”(広告より)と、こだわりも見せています。なお、翌年に発売される上位モデルのCF-3300には、右側の空いている部分に3.5インチFDDが内蔵されました。

正面から見ると、カートリッジスロットが2つ、横に並んでいます。その隣が電源スイッチです。カートリッジをカートリッジスロットに軽く挿すと、イジェクトボタンが“ポコン”と出っ張ります。一般的なMSXのように思い切り押さなくても大丈夫で、抜く時もイジェクトボタンを押すだけで出てきます。

 分離したキーボードには、MSXとしては珍しいテンキーも用意されているので、マシン語の入力なども便利にできます。ただし、テンキーの手前にカーソルキーが配置されているため、テンキー使用時には手のひらを若干浮かして入力する必要がありました。

キーボードは、シンプルにツートンカラーで塗り分けられています。上部に記された、Nationalとナショナルのロゴマークが、時代を感じさせます。見た目よりもズッシリとした感があって、始めて持った時は驚きました。

 ユニークなのは、スーパーインポーズ端子を準備していたというところでしょう。CF-2601の型番がつけられたスーパーインポーズユニットを専用のコネクタへと接続すれば、スーパーインポーズ機能を利用することができました。他にもスーパーインポーズが使えるパソコンがあったり、その機能に何となく未来が感じ取れたということで、目玉の一つとして搭載したのかもしれません。ただし、CF-2601の価格は148,000円と、CF-3000を買ってもお釣りがもらえるほど。どれだけの人が実際に購入したのかは、推して知るべしといったところでしょう。

背面は左にサービスコンセントがあり、中央上から右へ向かってプリンタポート、キーボード接続端子、スーパーインポーズ機器接続端子。下段がRGB出力端子、音声出力端子、ビデオ出力端子、チャンネル切り替えスイッチ、RF出力端子となっています。
正面左側側面には、CMT端子とジョイスティック端子×2が設置されています。ジョイスティック端子が正面にあると、便利さが増したかもしれません。

 CFシリーズは初代のCF-2000を始め、CF-2700、CF-3000、CF-3300のほかCF-1200がありましたが、その後はFSシリーズが主流となります。

ガワを外してみました。基板の下はほぼ何も無い空間になっていて、背面にある映像出力類の端子を配置するために、この厚みをキープしているようです。