ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち
FM音源を搭載するなどPC-9801Uの難点を大幅に克服した「PC-9801UV2」
2020年7月28日 08:05
想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は、PC-9801VM2の3.5インチ版ともいえるであろうモデル、PC-9801UV2を取り上げました。発売は1986年。
1985年に発売されたPC-9801VM2は、後に20万台以上を出荷するベストセラーマシンになりますが、その搭載ドライブを3.5インチにしたモデルと言えるのが、このPC-9801UV2です。型番も、3.5インチモデルとして先に発売されていたPC-9801Uを踏襲し、PC-9801VM2から“V”をもらってきた形になっています。価格はPC-9801VM2の2ドライブ搭載モデルが415,000円でしたが、PC-9801UV2は310,000円と、かなり攻めた値段でした。
PC-9801シリーズ初の3.5インチ搭載モデルとなったPC-9801Uは、初代PC-9801に3.5インチ2DDドライブを内蔵したようなモデルで、メインメモリは前年に登場したPC-9801Mの半分となる128KB( ※ )。さらに、グラフィックVRAMはPC-9801と同じ1画面分しか持たないなどの弱点を抱えていました。代わりに、同時に発売されたプラズマディスプレイと組み合わせて使えば、机上の省スペース化を図れるというメリットがありました。
PC-9801UV2は、その難点を大幅に克服。メインメモリは384KBへと増加しただけでなく、PC-9801VM2には備わっていなかったFM音源を搭載し、オプションだった16色ボードも内蔵しています。FDDは2DDと2HDに両対応し、CPUもμPD70116-10(クロック8MHz/10MHz切換可)を採用。JIS第1水準にくわえて第2水準漢字ROMも標準装備しました。トータルコストパフォーマンスを考えると、PC-9801VM2よりも良かったと言えるでしょう。
PC-9801シリーズとしては初となる4096色中16色に対応したことで、メモリさえ増設すれば後に発売されることになるPC-9801VM21共々、数多くリリースされた「PC-9801VM/UV以降対応」のソフトを稼働させることができた、長く活躍した1台になりました。
ただし、1986年時点では3.5インチFDの価格は5インチFDと比べるとまだまだ高く、ここが若干の泣き所ではありました。この時期のFDD価格を調べてみたところ、秋葉原のショップ広告ではマクセルの5インチ2Dが1枚320円に対して、3.5インチ2Dが740円、3.5インチ2DDは820円となっています。5インチと3.5インチでは、最終的に3.5インチが普及するわけですが、この価格差を考えると悩ましい限りだったのかもしれません。
こうして、PC-9801VM21の機能を一部先取りしたスペックで登場したPC-9801UV2ですが、約1年後にはメインメモリを640KBにしたPC-9801UV21が、88年春には更なる省スペース化を実現させたPC-9801UV11へと進化を遂げていくのでした。そのあたりの機種については、追々紹介していきたいと思います。