ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

MSX2大ヒットの立役者、あのMSX2マシンが一気に身近な価格に! 「パナソニック FS-A1」

黒いボディに、キーボードに描かれたオレンジの文字が特徴です。大きさは小ぶりで、持ち歩くにも苦になりません。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は、MSX2マシン大ヒットの立役者の1機種となったパナソニックの「FS-A1」を取り上げました。

 1983年に最初のMSX規格が登場しましたが、その2年後となる1985年に発表され、同年半ばから発売され始めたのがMSX2規格に則ったパソコンです。

 1985年に登場したハードは比較的高価なモデルが多かったですが、1986年に市場デビューしたパナソニックのFS-A1は、標準小売価格29,800円という驚くべき安さでした。同機種と、34,800円で同年に発売されたソニーのMSX2機種HB-F1が、MSX2市場を拡大化させることとなります。そのFS-A1は、パナソニックブランドで発売された最初のパソコンでした。

当時の広告

 メインメモリは64KBを内蔵し、VRAMも128KBを搭載。それでいてカートリッジスロットは2つ備え、問題無くMSX2のソフトを楽しめる構成になっています。電源は別途、同梱されているACアダプタが必要ですが、それを本体に内蔵していない分、重量は約1.6kgと軽量になっていました。

 ただし、ACアダプタの形状が特殊なため、簡単に汎用品で代用できないのが痛いところかもしれません。ちなみにこのACアダプタは、なぜかソニーのMSX2・HB-F1などと同じ形状をしているため、使い回しができるのが現代では重宝します。

正面から見た写真です。キータッチはフワフワしていますが返しの力が強く、悪くないタイピング感です。右SHIFTキーの下にあるPAUSEキーは、押すとシステム全体の挙動が強制的にストップされます。ソフト的に中断できないゲームでも止められる、便利なキーです。ACアダプタは本体とほぼ同じ厚みがあり、重量が約600g弱で持つとずっしり感じます。
背面は左から、背面カートリッジスロット、プリンタ端子、CMT端子、音声出力端子、映像出力端子、RGB出力端子、チャンネル切換スイッチ、RF出力端子、ACアダプタ入力端子となっています。

 この時代、広告には各社共にイメージキャラクターは女優さんなどを起用していたのに対し、パナソニックはアシュギーネという架空のキャラクターを使っていたのも珍しい部分でしょう。アシュギーネは後に冠となるゲームが登場したこともあり、FS-A1ユーザーではなくても知っていた人も多いのではないでしょうか。

 また、おにぎり型のジョイパッドやワープロ・プリンタのFS-PW1も同時発売されたほか、29,800円の通信モデムカートリッジを挿せばパソコン通信も楽しめました。

イメージキャラクターのアシュギーネが、FS-A1を持っている姿が広告に使われました。本体が収納されているケースにも、似たような感じのイラストが描かれています。

 用意された本体カラーはブラックとレッドの2種類で、レッドのほうが出回っている数が少ないレアモデルです。レッドバージョンは、X1のローズレッドやPC-8201のワインレッドなどとは違い原色系の赤い色をしているため、非常に目立つカラーリングとなっていました。

右側面には、ジョイスティックポートが2つ用意されています。左側面には、電源スイッチがあります。

 FS-A1はその後、フロッピーディスクドライブを1基内蔵したFS-A1Fと、カーソルキーの上部にテンキーを追加したFS-A1mkIIというバリエーションを発売することになります。

起動すると、デスクパックという起動画面が表示されます。BASICを使用する場合は、ここでSHIFT+F3を押します。カートリッジにソフトを挿し込んである場合は、この画面は表示されません。