ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

モニタ一体型のイカすヤツ「シャープ MZ-80K」、パソコンを身近にしてくれた人気機種

モニタ一体型のフォルムは、今でもそのスタイリッシュさを失っていません。キーボードは、マトリクス配置を採用していました。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、1978年末にシャープから発売されたクリーンコンピュータ「MZ-80K」です。

 1978年といえば、日本初のパーソナルコンピュータ・ベーシックマスターが9月に発売されましたが、その年も押し迫った12月にシャープから登場したのが、本格的パーソナルコンピュータの「MZ-80K」です。

 広告のキャッチコピーは「Z-80搭載!多機能パーソナルコンピュータ」で、「世界の最先端をいく8ビットマイコンZ-80の機能を最大限にいかしたパーソナルコンピュータの傑作です。」と謳われていました。価格は198,000円。同時に「マイコン読本」という、“マイコンのハードの動きからソフトまで適切に説明した入門書”も発売されました。

真上から見ると、キーボードがマトリクス状に配置されているのが分かります。似たようなキー配置だった機種には、PET-2001などがありました。

 モニタ一体型の本体はセミキットとしてリリースされていて、画面は40×25の1,000文字が表示できる10インチサイズを採用し、カセットは2,100bit/秒の速度でやりとりができました。クリーンコンピュータなので、起動OSはベーシックだけでなく他の物も選択できます。

背面を見ると、左端には電源スイッチ、その右側には電源コネクタ、そして拡張用のI/Oポートがありました。

 今回は、発売前にパンフレットで使われた画像を用いた広告ページと、発売直後にシャープが出した広告、発売6ヶ月後の広告と3パターンを見つけたので、それぞれのモデルによって違いが分かるように掲載してみました。通常は、製品として流通するモデルが広告に掲載されるので、このようなパターンは珍しいかと思います。

 一番古いモデルが使われているのは、秋葉原にある水谷電機(ミズデン)の広告ページで使われている写真です。ここではMZ-80Kという型番よりも「シャープ マイコン博士 Z80(形名MZ-80K)が大きく書かれているのがわかります。また、カタログから流用したと思われるスペック一覧も掲載されていて、そこには「RAM 標準 24Kバイト実装」という文字や「Z-80アセッブラソフトサポート可能」といった表記がありました。

ミズデンの広告ページで使われていた、MZ-80Kの写真です。試作機のようで、キーボード部分右下に横長のスイッチが見えますが、これが電源でした。
試作段階での仕様が分かるよう、小さかったスペック部分も大きく掲載しています。

 次は、シャープが掲載した広告です。ここに掲載されたモデルでは、ミズデンの広告では右下にあった電源スイッチがなくなっていますが、データレコーダ正面には同じように「MZ-80K」の文字がまだ残っています。さらに、キーボード右側に製品版には入っているアルゴマークが見あたらないほか、「SHARP」ロゴの下に「HOBBY COMPUTER」と書かれているのが拡大すると見えました。製品版では「Personal Computer」に変更されているので、発売までにさまざまなことがあったものと想像できます。

こちらが、シャープの広告ページです。電源が右下から消えていますが、その他に関しての見た目はミズデン広告に掲載された試作機と同じに見えます。「SHARP」ロゴ部分を拡大して掲載しましたが、HOBBY COMPUTERと記されているのが見えるかと思います。この部分は、製品版ではPersonal Computerに変わりました。

 ちなみに、この2つの広告は「I/O」の1979年1月号に掲載されていました。この号の発売日が1978年12月25日なので、広告ページはその半月ほど前に作られたものと思われます。この時点でのキャッチコピーは「本格派のためのマイコン、Z-80搭載で新登場」「12K BASICのパーソナルコンピュータ MZ-80K」などで、MZシリーズの特徴であるクリーンコンピュータという文字も、同広告に記されていました。

 最後が、発売されてから数ヶ月後に掲載されたバージョンです。当たり前ですが、ここの写真は発売されたモデルと同じものが使われています。

発売後に使われていた広告です。見開きページ&カラーになりました。発売半年後のものですが、フロッピードライブなどは、まだ近日発売予定でした。

 本体価格が198,000円でしたが、この時期に先行して発売されていたベーシックマスター(L2)が228,000円で、49,800円の専用ディスプレイと組み合わせると280,000円弱、PET2001の4K RAMモデルが188,000円、Apple IIが328,000円、オートカセット内蔵のCOMPO80/BSが238,000円という値段だったことを考えると、いかにMZ-80Kの値付けがインパクトあったのかが分かるのではないでしょうか。

 本機はその後、MZ-80K2をはじめとしたさまざまなバリエーションで展開しつつ、長期間人気機種として存在していくことになります。

内部へは、車のボンネットのような感じでアクセスすることができます。左奥上には、ディスプレイの輝度などを調節するつまみも用意されていました。