ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

メモリノーウェイト機能を搭載した「NEC PC-8801FE2」、2Dドライブ搭載PC-8800シリーズとしては最後のモデル

PC-8801FEの後継機種ですが、デザインが微妙に変わっているのが分かるかと思います。もちろん、テレビに出力することもできました。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は、NECが発売した2Dドライブ搭載のPC-8800シリーズ最終モデル、PC-8801FE2を取り上げました。

 1988年に発売されたPC-8801FEは拡張スロットが減らされるなどのコストカットが行われた反面、テレビ出力が可能になるなど、PC-88シリーズを一層身近にするための工夫が施されていました。その後継機種として誕生したのが、1989年末に登場したPC-8801FE2です。価格は119,800円で、PC-8801FEの129,800円から1万円下がり、値段の面からも消費者へアプローチしていました。同時に、CD-ROM搭載のPC-8801MCも登場していますが、こちらは別の機会に紹介したいと思います。

正面から見ると、PC-8801FEよりもさらにスッキリしていることがわかります。用意されているインターフェイスは、右端に電源、その下がスピーカー、左に行くとボリュームつまみ、マウスコネクタ、リセットスイッチ、キーボードコネクタとなっています。
PC-8801FE2の広告は手元の資料を探してみたところ、単体で掲載されているパターンは発見できませんでした。そのため、PC-8801MCの広告に載っていた一部分を切り出して引用しています。

 PC-8801FE2の基本スペックはPC-8801FEとほぼ同じですが、メモリアクセスがノーウェイトとなる8MHzモードが追加されています。PCキーを押しながら起動することで表示されるセットアップメニューにある、“8MHzH”がそれです。一部ソフトでは体感できるほどスピードアップしているのですが、残念ながら対応していないソフトもあるため、一律で恩恵が受けられるというモードではありませんでした。とはいえ、そんな場合は“8MHzS”や“4MHz”を選択することで、問題無くプレイすることが出来ます。

 また、PC-8001用のプログラムを動かす際にN-BASICで起動したい時には、“N”“8”“0”(数字もフルキー側)のキーを押しながらリセットすれば、懐かしいN-BASICでの起動画面が立ち上がるので問題ありません。なお、ディスクから起動を選択している場合、ドライブに正しいFDが入っていないと“タダシイディスクヲソウニュウシテクダサイ”と表示されますが、セットアップメニューで起動項目を“ROM”にしておくことで、一応はN88-BASICを使用することができます。PC-8801FEでは正面についていたクロック切り替えスイッチも、セットアップメニューに取り込まれました。

こちらが、セットアップメニューの構成です。4画面に別れていますが、主に使用したのはモードとクロック周波数を変更するページでしょう。

 背面に拡張スロットは備えていませんが、PC-8801FEと同じく専用サウンドボードIIを増設するための専用スロットは本体内に用意されているので、これに関しては困ることはありませんでした。とはいえ、実際に当時増設した人はそう多くないようで、現在見かけることはまれです。

背面は右から、プリンタポート、RS-232Cコネクタ、アナログRGB端子、ビデオ出力、オーディオ出力、オーディオ入力と並んでいます。電源部分には、連動式のサービスコンセントも1つ備わっています。

 こうして全体的にチェックしていくと、PC-8801FE2はPC-8801FEから1万円値下げして、前面にあったクロック切り替えスイッチをセットアップメニューに取り込み、メモリノーウェイトを追加した機種というのがわかります。1989年末と言えば、PC-98シリーズはRAやRXといったシリーズが登場していた時期で、さらにはPC-9801Nも11月に誕生しています。もはやゲームを遊ぶにも、PC-88シリーズではなくPC-98シリーズというタイミングだったことを考えると、PC-8801FEからPC-8801FE2への代替わりがマイナーチェンジで終わっていることに関しては、仕方のないことだったのかもしれません。

 内蔵されているFDDは、機種名に“F”がついていることからも分かるように2D専用ドライブで、PC-8801mkIIFR/MRから別れた2D/2HDモデルのうち2D専用ドライブ搭載モデルは、本機をもってシリーズ終了となります。