ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

ヤマハが目指した音楽PCのMSX「YIS503」、色ずれのない鮮明高画質を実現

シルバーをベースにしたボディに、白いキーが映えるデザインです。なお、外観は以前に紹介したCX5Fとまったく同じで、カラーリングのみ異なります。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、ヤマハのMSXパソコン、YISシリーズから「YIS503」です。発売は1983年。

 ヤマハと言えば、1980年代前半には「YIS(Yamaha Integrated System)」と名付けたコンピュータをリリースしています。搭載していたCPUは16ビットのZ8001で、512×384ドットで256色から8色を各ドットごとに色指定できるスペックを持つパワフルなマシンでした。

 しかし、YISセントラルコンピュータ PU-I-20 + フレックスメモリードライブ + ディスプレイ + キーボード + プリンタ + ディスプレイ台枠を合わせた合計が1,287,000円と、なかなかな価格ということで、残念ながら普及はしていません。

 そんなヤマハが1983年末にリリースしたMSX規格のパソコンが、YIS303(49,800円)とYIS503(64,800円)でした。今回取り上げたのはYIS503で、外見デザインやスペックは、以前に紹介したCX5Fと同じとなります。

CX5Fよりもカジュアルな感じで音楽を前面に押し出していた広告が目立ちます。あわせて、漢字が扱えることも大きく取り上げていました。

 CX5Fと違い、ボディカラーはシルバーを採用していて、キーボードのメイン部分はホワイト、それ以外のファンクションならびに特殊キーなどは濃いシルバーで色分けされ、シックな感じを漂わせていました。

 CX5Fは“ミュージックパソコン”を謳い楽器店などで販売されましたが、こちらは家電量販店で見かけるモデルのため、当時触った人も多かったのではないでしょうか。

本体右側面にはジョイスティック端子が2つ、左側面には電源と、SKW-01部分にプリンタポートが装備されているのが分かります。

 スペックとしては、メインメモリ32KBを搭載し、プリンタポートも装備。他のMSXとは違う上位バージョンのVDP(ビデオディスプレイプロセッサ)を採用することで、色ずれのない鮮明高画質画面が得られると広告で宣伝していました。

 YIS / CXシリーズ共通の特徴として、背面のリアスロットと、本体左側に設けられたサイドスロットがあります。リアスロットは、オプションのシングルカートリッジアダプタCA-01を装着することで2スロット目として使用できました。

 また、サイドスロットに挿すことができるヤマハ独自の拡張ユニットSFG-01とSKW-01は、別売りのユニットコネクタUCN-01(7,800円)を介することで、他のMSXのROMカートリッジスロットに接続することができます。ステップスカルプチャキーボードを採用していたことも、注目すべき点でしょう。

背面には左からリアスロット、プリンタポート、CMT端子、モニタ端子が並んでいます。モニタ端子は5ピンなので、PC-8001シリーズなどで使われている8ピン、X1シリーズで使用されている6ピンとも異なります。
ミュージックシステムやワープロシステム、グラフィックシステムといった3種類のセットでも販売されていました。

 YIS503は単体販売の他、ミュージックシステム503M(YIS503本体 + FMサウンドシンセサイザユニット SFG-01 + ミュージックキーボード YK-10 + ビデオケーブル VC-01)というセットでの販売と、ワープロシステム503W(YIS503本体 + 漢字ワープロユニット SKW-01 + 熱転写プリンタ PNー01 + プリンタケーブル CB-01 + ビデオケーブル VC-01)のセット販売、グラフィックシステム503G(YIS503本体 + グラフィックカードセット ZGA-01 + ビデオケーブル VC-01)セットという3種類のセットでも販売されていました。

 今回用意したYIS503は、サイドスロットにSKW-01が装着されていることから、もしかすると一番高い503Wセットだったのかもしれません。

後にメインメモリを倍増させ、コンポジット出力などを搭載した後継機種・YIS503IIをリリースしています。こちらの広告も最後に掲載しておきます。