ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち
16ビットパソコンに進化したPC-88シリーズの最終形態「NEC PC-88VA2/3」
2021年4月27日 00:00
想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのはPC-8801シリーズを進化させたPC-88VAシリーズ、その最終モデルとなった「PC-88VA2/3」です。発売は1988年。
1987年に、NEC独自のCPUを搭載して登場したPC-88VAは、従来のPC-8800シリーズ対応ソフト(V1/V2モード)もある程度動かせたうえ独自のV3モードを搭載していました。しかし1988年といえば、俗に言うサウンドボードIIを搭載したモデル、PC-8801FA/MAがデビューし、それを活かした作品も徐々に発売されていた時期です。
それらの事情を踏まえて1988年3月1日に発表され、PC-88VAの後継機としてデビューしたのがPC-88VA2/3でした。PC-88VA2は5インチ2ドライブモデルで価格298,000円、PC-88VA3は5インチ2ドライブ+大容量の3.5インチ1ドライブを搭載して価格398,000円となります。ちなみに同日には、PC-9801LV21やPC-9801UV11、PC-9801CV21も登場していました。
今回のモデルの目玉は、アンフォーマット時12.5MB、フォーマット時9.3MBもの容量を誇る2TDです。発表当時のOh!PCでは「88VAはグラフィックRAMが256Kバイトもある。また、音声サンプリングのRAMも256Kバイトあり、これらのデータを有効に保存する方法がひとつの問題になっていたが、9.3Mバイトもあれば十分である。もう、ハードディスクはいらない。」とまで言い切っていたほど。登場時点でのインパクトは、かなり大きかったと思われます。
くわえて、従来の3.5インチ2DD/2HDの読み込みもサポートしていましたが、PC-8800シリーズは伝統的に5インチドライブを採用してきたため、古くからの88ユーザーはあまりお世話にならなかったかもしれません。
音源は、VAからパワーアップしてYM2608を搭載しました。PC-8801FA/MAなどでも採用されたものと同じで、FM音源6音、SSG音源3音、PCMサンプリングによるリズム音6音、ADPCMによる音声サンプリングと再生機能を備えています。この機能を活かした『ソーサリアン』や『神羅万象』などのゲームも登場し、それを羨むユーザーも数多かったという話も、当時はよく聞いたものでした。
グラフィック面では、640×400ドットで256色1画面が表示できるほか、640×200ドットなら65535色1画面または256色2画面を使用することができ、さらにカラー・モノクロスプライトも装備しています。そのおかげで『R-TYPE』のような、従来のPC-8800シリーズでは難しかったタイトルも、かなりオリジナルに近い動きで移植されていました。
ほかにも、PC-EngineとBIOS、V3-BASICなども大幅に強化されたため、メインROMの容量はVAの480Kバイトから768Kバイトへと、1.5倍ちょっとほど増量となっています。数値演算プロセッサを搭載できるスペースも設けられましたが、こちらはどれだけの人が載せたのかは不明です(笑)。
この後、NECのパソコンは主役がPC-98シリーズとなり、シャープのX68000シリーズや富士通のFM TOWNSシリーズ、そしてMSXシリーズなどと市場で戦いを繰り広げることになります。