ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち
起動時に“ピポ音”が鳴るようになった「PC-9801VM21」、640KBのメインメモリを搭載
2021年8月17日 00:00
想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、後々までPC-9801シリーズの標準スペックマシンとして残る名機「PC-9801VM21」です。発売は1986年。
1985年に発売されたPC-9801VM2は、メインメモリが384KBで画面表示が640×400ドット・4096色中8色2画面というスペックでした( ※ )。当時のソフトを稼働させるにはほぼ問題の無い仕様ではありましたが、PC-98シリーズ対応ソフトは以前紹介した「一太郎」シリーズのように640KBのメモリを必要としたり、4096色中8色ではなく16色を要求するタイトルも出現してきます。
すると、本体に追加で128Kbytesのメモリを載せたり、オプションだった16色ボードを増設するという話も出てくるようになるわけですが、PC-9801VM2発売から1年後にNEC自らがそれを行い、1986年11月に発表し市場へとデビューさせたのがPC-9801VM21でした。1つ前のモデルだったPC-9801VM2の時は、内蔵ドライブが5インチ2DD専用のPC-9801VF2もリリースされましたが、PC-9801VM21はいわば、それらすべての後継機種と言えるかもしれません。価格は390,000円で、バリエーションは無く5インチドライブ2基搭載モデルのみとなっていました。
スペックとしては、CPUにはV30(8MHz/10MHz切り替え可能)を搭載し、メインメモリは増設することなく最初から640KBを内蔵。グラフィックスは640×400ドット・4096色中16色で2画面を表示できました。これ以外の部分での大きな変更点は、PC-9801VM2では本体背面に設けられていたキーボード接続端子が、前面右側に移動してきたことでしょう。筐体のデザインも、同時期に登場したPC-9801VXシリーズなどと同じものになっています。残念ながら音源に関しては、PC-9801Uシリーズに搭載されたようなFM音源ボードなどが内蔵されることはありませんでした。
PC-9801VM21の登場により、PC-98シリーズ向けソフトはそのほとんどが「PC-9801VM/UVシリーズ以降対応/要メモリ640KB/PC-9801VM2では16色グラフィックボードPC-9801-24が必要/PC-9801VF2では要外付け5インチ2HDドライブ」などと記されるようになります。逆に、このラインのスペックが達成できれば、かなりの期間を現役マシンとして過ごさせることが可能だったということでした。
ちなみに、キュウハチといえば起動時の“ピポ”音やメモリのカウントアップが特徴ですが、“PC-9801”シリーズで導入されたのはPC-9801VM21をはじめとした、この時期に登場した機種からです。それを確認するために、今回はPC-9801VM2とPC-9801VM21の起動時の動画を掲載しました。
これを見てもらえればわかるように、PC-9801VM2では起動音は鳴っていません。当時の記事などでは、PC-9801VM2とPC-9801VM21をまとめてPC-9801VMと表記していたものもあったので、「ピポ音が鳴るのはPC-9801VMから」と書かれたりしたことで、PC-9801VM2もピポ音が鳴ると思っていた人もいたのではないでしょうか。とはいえ「ピポ音が鳴るようになったのはPC-9801VM21からで、PC-9801VM2では鳴らない」という知識があっても、披露するシーンはほとんどないと思われますので、忘れても問題無いかと思われます(笑)。
本機と、同時期にリリースされたPC-9801VXシリーズは、その後も長らくPC-98シリーズのデファクトスタンダートとして活躍し、同シリーズが更に飛躍する大きな力となります。