ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

さまざまなメーカーから数多くの機種が登場したデータレコーダたち ~平置きモデル編~

平置き型もさまざまなメーカーから数多く発売されていましたが、今回はその中から5機種をピックアップしてみました。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は少し趣向を変えて、当時の周辺機器を取り上げる番外編その3として、「データレコーダ・平置きモデル編」としました。

 1980年代前半、マイコン・パソコンでプログラムを入力したり、ソフトを稼働させるための必需品と言えたのが、データレコーダです。データレコーダを内蔵していなかったマイコン・パソコン向けに、各社がさまざまな機種を発売していました。

 今回は、以前に紹介したNECのDR-330のようなフロントローディング機構を備えたものではなく、手前から奥に向かってカセットテープを入れる平置き型を見ていきます。もしかすると、これを読んでいるアナタが当時使っていたモデルが取り上げられているかも?

日立 データレコーダ TRQ-1500

 調べたところ、TRQ型番は1974年(昭和49年)に発売された“ボイスコーダー・TRQ-10”が最初のようです。その後、TRQ型番は主にコンパクトカセットに付けられていきました(8トラカセットプレーヤなどにもTRQ型番はありますが)。

当時のS1の広告を見ると、右端にTRQ-1500(準備中)という表記が見えるかと思います。

 1984年の春頃にS1用周辺機器としてアナウンスされた後、夏に販売開始となったのが本機・TRQ-1500でした。それまでに発売されていた日立のマイコン・パソコンであるベーシックマスターシリーズで使用することはもちろん、後に数多く登場する日立のMSXパソコンや、他社のパソコンでも使うことができます。価格は、13,800円でした。

 特徴としては、MSX用1200ボーのプログラムテープであれば、ローディング時間を半分にすることができる倍速機構を搭載。スピーカモニタ音もつまみで調節出来るほか、位相切り替えスイッチも用意されています。縦256mm×横136mm×高さ58mmと、この手のデータレコーダとしては標準的な大きさで、重さは約1kgでした。珍しく、乾電池での駆動ができない仕組みを採用していますが、電源コードが直接出ているので問題にはならないと思います。

背面にはDATA IN、REM、DATA OUT端子が、左側面には押しボタン式の位相反転スイッチと、数字が書かれたダイアル式のボリュームつまみがあります。操作ボタンの下には、テープスピードを変更する押しボタンと、スピーカモニタ音のOFF-1-2を選択するスイッチがありました。

三洋電機 データレコーダ MR-11DR

 1983年に発売されたデータレコーダです。価格は12,800円と、当時としては標準的なお値段ではないでしょうか。同じモデルで型番違いのものとしては、富士通がMB27501を、ゼネラルがLMC-1001を発売していました。ロード成功確率が非常に高く、鉄板モデルとしてお世話になった人も多いと思われます。

 外見の特徴としては、操作ボタンの下に取っ手が付いているところが挙げられます。手前に引き出すと出てくるため、ここを掴んで持ち運ぶことができました。AC電源だけでなく乾電池での駆動も可能ですが、通常は単三乾電池を使用するモデルが多い中、本機は単二乾電池×4本を使います。また、ノーマルモードとデータモードの切り替えスイッチが用意されていたほか、データを読み込んでいる時にスピーカモニタ音のオンオフも選択できました。位相切り替えスイッチもあるため、ほぼどの機種でも安心して使えます。REC操作ボタンの上にはMICが設置されているので、声を録音する用途としても活用出来ました。

 AC電源用のコードですが、一般的なメガネコードが挿さりそうな形をしているものの、実際は互換性がありません。代用品としてはビクターから発売されているCN-320Bがありますので、“自己責任”となりますが、乾電池レスで稼働させたい人は調達してみてください。

左側面には左からAC入力、DC 6V入力端子、EAR、MIC、REM端子、MODE切り替えスイッチ、PH切り替えスイッチ、VOLコントロールと並んでいます。

東芝 データレコーダ PA7230

 型番が“PA”から始まっていることから分かるように、東芝のパソコン・PASOPIA7用の周辺機器として、1983年にPASOPIA7と同時期に発売されました。もちろん、他機種で使用することも可能です。“AUTOMATIC STOP・AUTOMATIC LEVEL CONTROL”と書かれているように、録音・再生時にテープが巻き終わると自動的に走行が止まって操作ボタンが解除され電源が切れる機能と、一部のデータレコーダでは手動で行うレベル調整機能を自動で行う機能を搭載していました。

左側面にはDC 6V入力端子、EAR、MIC、REMOTE端子、VOLUMEつまみとなっていました。

 付属の6V/200mAのACアダプタを接続するか、または単三乾電池×4本で駆動させることができるほか、一般用テープレコーダとして使用する際に使えるマイクも内蔵していました。全体的なサイズも、これまでに紹介してきた2機種よりも二回りほど小ぶりで、持ち運ぶのも苦にならないサイズです。その大きさは縦186×横115×高さ32mmで、重さ約650g、当時の価格は12,800円でした。

月刊誌I/Oの1983年7月号に掲載されているPASOPIA7の広告ページではなぜか、価格が128,000円と掲載されていました(笑)。誤植なのは分かるのですが、本体より高いというのが面白い間違いです。

シャープ データレコーダ CE-152

 型番から分かるように、1982年にシャープのポケコンPC-1500シリーズ向けに発売されたデータレコーダです。大きさは、先ほど紹介した東芝のPA7230と同一ですが、アクセサリのストラップがついている部分が左右で異なっていました。マニュアルによると、本機もAUTO LEVEL CONTROL機能を搭載しているとのことで手動でのレベル調整が不要なため、それに類するレバーなどは内蔵していません。

 単三乾電池×4本を使うか、または別売りのACアダプタEA-11Eと接続することで駆動させられます。ちなみに、本機で使用するEA-11Eには、6V150mAセンターマイナスと書かれていました。

左側面にはDC IN 6V端子、EAR、MIC、REM端子、TONE調整つまみ、VOLUME調整つまみが並んでいます。

 ユニークな機能としては、音質調整つまみが搭載されているという部分があります。つまみをHの方向へ回せば高音が強められ、Lへ回せば低音が強くなると言うものでした。

 ポケコン向けに登場した本機ですが、もちろん当時使用されていたほとんどのパソコンで使うこともできます。ただし価格は19,800円と、他のデータレコーダと比べると少々お高めでした。

シャープのポケコン、PC-1500のオプションとして紹介されていました。なお、PC-1500にCE-152を接続するには、「PRINTER AND CASSETTE INTERFACE」CE-150が必要となります。

ソニー データコーダ SDC-500

 ソニーが1984年にMSX用として発売したデータレコーダですが、もしかすると『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』に登場しているから知っている、という人の方が多いかもしれません。そこでは“BIT CORDER”と書かれていましたが、手元にあるのは“DATA-CORDER”と表記されています。本機は、発売時期によって書体が違っていたり、“DATA-CORDER”の直下に書かれている“AUTOMATIC DATA SENSOR”という文言がないものもあるようでした。

 デザインとしては手前が低く、奥が高くなるよう傾斜が付けられていて、セットしたカセットテープの残量が覗きやすくなっているのが特徴でしょう。また、他のデータレコーダにはない“MUTE”ボタンがあるのもユニークです。録音時、このボタンを押している間は無音区間が記録され、そのブランク部分をサーチして頭出しを行う“オートマチック・データ・サーチ”機能を搭載していました。

背面にDC IN 6V(センターマイナス)、LOAD、REMOTE、SAVE端子と配置されていました。

 フェーズ切り替えスイッチだけでなく、ロードレベルを調整するつまみ、ロード・セーブ時の動作状態が確認出来るスピーカモニタ音のスイッチを用意し、さらにはプログラムのセーブ中は赤に、その他の状態時はグリーンに光るインジケータが設置されているので、ランプを見ただけでステータスが分かる便利な部分があります。テープが終わると自動的に電源が切れるオートシャットオフ機構を搭載しているので、電源の心配をしなくて良いのも便利でした。これだけの機能を持ちながらも価格は12,800円だったので、メインのデータレコーダとして使っていた人もいたと思います。

 名称が、データレコーダではなくデータコーダになっているのが気になって調べてみたのですが、ソニーのラジカセは1966年に発売された1機種目から“テープコーダ”と付けられていたので、その流れではないかと思います。