ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

デザインを変更して新登場、NEC「PC-9801UX21」

従来のPC-9801U2やPC-9801UV2、PC-9801UV21などと比べてすぐにわかるのが、FDDが縦2段に配置されたことです。また、フロントパネルも98VXシリーズと同じ感じにデザインされました。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、NECから発売されたPC-9801UV21の後継機種、PC-9801UX21です。

広告では、同じタイミングで登場したPC-98LTの新機種と一緒に掲載されていました。どちらも、3.5インチモデルということを強調しているのがわかります。

 PC-9801U2から始まったPC-9800シリーズの3.5インチモデルですが、その後はPC-9801UV2、PC-9801UV21と進化を遂げていきます。そして、5インチモデルがCPUに80286を搭載して新たな型番となるPC-9801VX21をデビューさせたタイミングに合わせ、「3.5インチのトップ極める。」とのキャッチコピーの元に登場した3.5インチモデルが、今回取り上げたPC-9801UX21でした。いくつかの違いはあるものの端的に表現するならば、PC-9801VX21の3.5インチドライブ内蔵バージョンと言えるでしょう。

背面は左上段に拡張スロット×3があり、下段が左からRS-232C端子、アナログRGB出力端子、デジタル出力端子、モノクロ出力端子、1MBフロッピーディスクインタフェース、プリンタポート、右上にサービスコンセントで、1MBFDDインタフェースの上には音声出力端子が用意されていました。

 CPUは、μPD70116(V30)8MHzと80286の10MHzをそれぞれ搭載して、メインメモリとしては640KBytesを標準装備し、最大で6.6MBytesまで拡張可能でした。ドライブは2DDと2HDに対応した3.5インチを縦に2基積むという、横型に配置した従来機種とは異なる縦型のデザインを採用しています。これにより、背面の拡張スロットがそれまでの2つから3つへと増えていました。

 前面のパネルも、これまではPC-9801Uシリーズからの見た目を継承してきましたが、本モデルからはPC-9801VX21などと同一印象になるスリットの入ったものへと変更されています。更に、ハードディスクを最初から内蔵しているPC-9801VX4などのような機種についてはアクセスランプが最初から用意されていたものの、PC-9801VX2などには付いていませんでしたが、本機からはハードディスク内蔵モデルでなくとも、電源オンの表示LEDの隣にあらかじめアクセスランプが用意されるようになりました。

正面は左側からリセットスイッチ、ボリュームつまみ、ディップスイッチ類、キーボードコネクタ、マウスコネクタが並んでいます。デザインも、PC-9801VX21の弟分のような感じのパネルになっているのがわかります。前機種までは背面にあったマウスコネクタが正面になり、使い勝手がアップしました。左側面には、電源スイッチとファンがあります。

 もちろん、これまで通りにFM音源3和音とSSG3和音も搭載しているので、ゲームをメインとして使うには都合の良いマシンとなっています。価格は、FDDのみモデルのPC-9801UX21が348,000円、20MBのHDDを内蔵したPC-9801UX41が545,000円でした。とはいえ、5インチモデルではあるものの音源が載っていない、PC-9801UX21に対応したPC-9801VX21が433,000円、同じくPC-9801UX41に対応したPC-9801VX41が630,000円もの価格だったことを考えれば、3.5インチモデルのほうがゲームを遊ぶのであれば相変わらず“本体は”安かったということになります。

 ちょうどこの時期、セイコーエプソンはPC-9801UV21に対応した互換機のPC-286Uを、248,000円という価格で発売しました。PC-9801UX21と比べれば、CPUに80286を搭載していないものの、それ以外で見劣りする部分はほとんどなかったことから、10万円の価格差を考えてどちらを買うかで悩んだ人も多かったかもしれません。

 ちなみに、8ビットパソコンは同じタイミングでNECが88シリーズの新機種としてPC-8801FA(168,000円)とPC-8801MA(198,000円)を、シャープはX1turboZII(179,800円)とX1twin(99,800円)を、富士通はFM77AV20EX(128,000円)と40EX(168,000円)をそれぞれ発売していました。16ビットマシンは1ランク上の価格帯だったということもありましたが、この時期は8ビットマシンの陰が少しずつ薄くなっていく時期でもあったため、ある意味では8ビットと16ビットマシンの端境期とも言えた、と思われます。

ロジテックのハードディスクやテープストリーマの広告と、大阪日本橋にお店を構えていたマイコンペットの広告です。後者は特にフロッピーディスクの価格に注目してもらえると、当時の3.5インチがいかに高かったのかがわかるかと思います。

 なお、前機種であるPC-9801UV21の時にも取り上げたHDDの価格ですが、今回も同じく調べてみました。セイコーエプソンのHDDは見つからなかったものの、ロジテックのHDDで20MBのものが158,000円ということで、比較すると4万円ほど安く入手出来るようになっていたようです。

 あわせて、フロッピーディスクの価格も調査してみました。広告を見ると、主にPC-98シリーズなどで使われていた5インチ2HDは1枚当たり200円という単価が表示されていますが、3.5インチ2HDはなんと1枚730円!ノーブランドであれば3,5インチでも450円まで下落しますが、それでもこの価格は100枚以上購入したときに適用されるそうなので、まだまだ高かったというのがわかります。ちなみに、5インチ2Dであればマクセルでも170円で、ノーブランドなら100枚以上購入で1枚あたり45円と激安でした。

※2/21 10:54更新 編集時のミスにより、掲載写真1枚目に別製品の説明を記載しておりました。訂正してお詫びいたします。