ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

プレーヤがあればLDゲームを楽しむこともできた!パイオニア「PX-7」

キーボードと本体が分離したデザインを採用していて、キーボード一体型よりもちょっとした高級感を醸し出しています。同社のレーザーディスクと縦に積むと一体感がありましたが、配線を美味く取り回さないとレーザーディスクの挿入と取り出し時にキーボードケーブルが邪魔になるというところが惜しい部分でした。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、パイオニアが1984年に発売したMSX(1)パソコンの、PX-7となります。

本体正面のインタフェースは左から、電源スイッチ、ビデオ・オーディオスイッチ、キーボード接続端子、ジョイスティック接続端子、ヘッドホン端子、音量調節スライダ、ミキシングレベルスライダ、その上部にリセットスイッチとカートリッジスロットが並んでいます。
背面は上段左から、ステレオオーディオ入力・出力、ビデオ入出力・RFモジュレータ接続端子、合成画面色調調節つまみ、RGB接続端子となっていて、下段は左側から拡張スロット、システムコントロール端子、CMT・オーディオ端子、プリンタポート、サービスコンセントとなっていました。

 1983年に発売が始まったMSX(1)パソコンは、共通規格のために特徴が出しづらいというなかでも、さまざまなメーカーからバリエーション豊かな機種がリリースされます。RAM容量を削って安くしたり、カートリッジスロットを多数搭載して他社と差別化、または本体とモニタを一体化させたモデルなど、各社とも知恵を絞っていました。そんななか、この時期にオーディオ機器メーカーとして名を馳せていたパイオニアが、“palcom”ブランドで発売したMSX(1)パソコンが、1984年4月に登場したレーザーディスクと接続できる機種・PX-7です。本体デザインを同社のレーザーディスクプレーヤLD-7000と統一したことで、重ねて配置しても違和感がないようになっていました。

 MSX(1)パソコンとしては平均的なスペックで、メインメモリは32Kbytes、VRAMは16KBytesを搭載していました。ROMは40KBytesで、そのうちの8KBytes分がP-BASICと呼ばれる拡張BASICが占めています。これは、PX-7が装備しているスーパーインポーズ機能やレーザーディスクコントロール機能などをBASICコマンドでサポートするものでした。

 カートリッジスロットは正面に1つと背面に1つの合計2つ設けられていたほか、ジョイスティック端子も2つ準備されています。このあたりは、ほかのMSX(1)パソコンとそれほど代わりはありません。価格は、セパレート型と考えれば少々お安い、89,800円でした。

キーボードには他のMSXパソコンには見られない、SUPER-IMPOSEやVIDEO、COMPUTERというキーがあるのが特徴と言えます。

 他機種との大きな違いは、レーザーディスクを操作するために背面に設置されたシステムコントロール端子でしょう。ここに、同社のレーザーディスクプレーヤなどを接続することができます。その状態で本体を起動して、最初に表示されるメニューから1番の“MSX BASIC + P-BASIC”を選べば、BASICコマンドから“CALL ××”といった拡張命令を入力することでレーザーディスクをMSXパソコン側から操ることができました。

 レーザーディスクのソフトは十数タイトルが発売されていましたが、それらには「COMPUTER PROGRAM ENCODED このディスクはオーディオチャンネルの一部にコンピュータープログラムが記録されています」と書かれていて、プレーヤとPX-7を起動してP-BASICを選択後に“CALL LD”と入力すれば、コントロールプログラムを読み込んでゲームが始まるようになっています。また本機以外にも、オプションで提供されていたMSX EXPANSION PROCESSOR ER-101とMSXパソコンを用意すれば、同じような手順でソフトを遊ぶことが可能でした。

こちらは、実際のレーザーディスクソフトです。表面はイメージイラスト、裏面に遊び方などが書かれているのは、どのゲームでも同じでした。

 ソフトラインアップとしては、ゲームセンターでお馴染みだった『BADLANDS』のようなアクションゲームやシミュレーションゲーム『日本海大海戦』などが発売されていたほか、教育用ソフトも用意されていたようです。ただし、ソフトの価格が9,800円と若干お高めだったことや、実際にレーザーディスクと接続して活用するといったユーザーが少なかったためか、ソフト・ハードどちらも出回った数はそれほど多くはないようでした。

 なお、パイオニアが発売したMSX(1)パソコンは、ここで取り上げたPX-7のほかにPX-V7とPX-V60がありますが、そちらはまたの機会に紹介することとしましょう。

広告では「ニュービジュアル人間達におくる先進のMSXパソコン「パルコム」。」として、レーザーディスクとの連携を大々的に謳っていました。