ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち
ソニーのセパレート型MSX2パソコン「HB-F500」
2025年1月15日 09:05
想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、ソニーのHBシリーズの中でもセパレートタイプとなる、HB-F500です。
MSX界では1985年にMSX2規格が登場しますが、それを採用したMSX2パソコンが、その年に数多くデビューすることとなります。中でも、それまでは見なかったセパレートタイプが、三洋のWAVY25FD(135,000円)や東芝のHX-34(148,000円)、ナショナルのFS-5500(188,000円)、三菱のML-G30(168,000円/RAM128Kbytes)と、次々と市場へと送り出されていきました。そのうちの1台として1985年10月17日から22日にかけて大阪で開催されたエレクトロニクスショーで初お披露目され、同年12月にソニーから128,000円という価格で発売されたのが、今回取り上げたHB-F500となります。この時点では、ライバル機種たちの中では一番安い価格設定となっていました。
MSX2規格のパソコンなので基本スペックとしてはそれを踏襲していて、RAMが64kbytes、VRAM128Kbytesを搭載しています。正面にはカートリッジスロットが2つと2DDのフロッピーディスクドライブが1基それぞれ内蔵されていて、中央下段にリセットボタンが位置していました。カートリッジスロット部分はグレーになっているので、視覚的にも分かりやすいです。ちなみに、その上に書かれている文字ですが、特に意味はありません(笑)。
背面にはRGB21ピンが用意されていて、こことRGB21ピン対応テレビを繋ぐことで映像をクッキリと映し出すことが可能となっていました。もちろん、ビデオ端子やRF端子も用意されているので、汎用のテレビに接続することもできます。RS-232Cコネクタは用意されていませんので、この時期くらいから流行り始めたパソコン通信を行うには、モデムの他にRS-232Cカートリッジを準備する必要がありました。ソニーからは、本機と同発でHBI-232というMSX用RS-232Cカートリッジが発売されていたので、それを購入すればOKです。モデムだけでなく、コンピュータ同士での通信を行うことも可能でした。
FDDは1基でしたが、49,800円で同時に発売された外部ドライブのHBD-30Wと、5,000円のセカンドドライブ用ケーブルHBK-35を購入すれば、背面に接続することでBドライブになり合計2基に増設できます。フロッピーディスクで発売されていたいくつかのソフトは、1ドライブでは入れ替えするのが面倒だったりしたので、予算が許せば2ドライブ仕様にはしておきたいものでした。
このHBD-30Wは、インタフェースケーブルのHBK-30を購入すれば、他のMSXでもセットで使用することができます。その際にはカートリッジスロットに用意されている切換スイッチをSINGLEに設定すれば、1ドライブという認識になりました。既にドライブを内蔵している機種に接続する場合は、もちろんDOUBLEにすることで2ドライブ仕様へと設定できます。
本体に付属していたキーボードですが、特殊なキーを除けば一体型のHB-F5とほぼ同じになっています。テンキー上部にカーソルキーが配置されているのも一緒で、キータッチの感覚は質が良く、ステップスカルプチャタイプとなっていました。これを正面に用意されたキーボード接続端子に繋ぐのですが、他機種と違いコネクタが前面に用意されていたため、取り回しがしやすかったという特徴もあります。
本機が登場した1985年末から86年頭にかけては、MSX2はまだちょっとお高い価格となっていました。そのため、MSX(1)も新機種がリリースされていて、10万円以上のセパレート型MSX2、10万円前後のキーボード一体型MSX2、5~8万円クラスのRAM64kbytesを搭載したMSX(1)パソコン、そしてメモリ32Kbytes以下の低価格MSX(1)パソコンというラインアップとなっていました。
ちょうどこのタイミングで、カシオが19,800円という驚異的な価格でMX-10を、YAMAHAがメモリ32KbytesでRGB接続に対応したSX100を36,800円で発売するなどして、MSX(1)は徐々に値段が下がり購入しやすくなっていきます。しかし、MSX2がお手頃価格になるのは、1986年秋に登場するFS-A1やHB-F1を待たなければなりませんでした。