ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち
フニフニと押せる愛嬌あるキーボードが特徴、コモドール「MAX MACHINE」
2025年12月2日 08:05
想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は、コモドールから1982年の初冬に発売された、銀色の渋いカラーリングのパソコ「MAX MACHINE(マックスマシーン)」を取り上げます。
1980年代前半は、まだまださまざまな種類のマイコン・パソコンが発売されていた時代で、多くのメーカーが、特徴ある機種を開発して市場へと投入していました。そんななか、コモドール社が日本市場向けに発売したパソコンが、黒と銀色の渋いツートンカラーで構成されたフレンドリーコンピュータ・マックスマシーンです。
最初に紹介されたのは、手元の資料を見る限りでは1982年10月に発売された『マイコンBASICマガジン』11月号で、そこではマックスマシーンという名前ではなく「VICKEY」という名称で掲載されていました。写真も載っていましたが、ほぼマックスマシーンと変わらないものとなっていました。
マックスマシーンという機種名で発売されたのは11月初旬で、コモドール社は同時期にコモドール64もリリースしています。マックスマシーンの価格は34,800円で、この時期の競合機種としてはトミーのぴゅう太(59,800円)とソードのm5(49,800円)、さらに近いタイミングで松下からはJR-200(79,800円)などがありましたが、マックスマシーンは群を抜いて価格が安く抑えられていました。
スペックとしては、CPUに6502相当のMPS6510を、ビデオインタフェースチップにはMPS6566(VIC-II)、サウンドインタフェースデバイスとしてMPS6581(SID)を採用しています。またスクリーンRAM、ユーザーRAM、カラーRAMをそれぞれ1KBytesずつ実装していました。
本体サイズはコンパクトで、幅約350mm×奥行き約180mm×高さ60mm、重量1.4kgと、持ち歩くにも苦になりません。しかし、付属しているACアダプタが縦120mm×横77mm×高さ60mmと非常にかさばり、さらに重量は約1.5kg前後ではないかと思われるほど重く、片付けの際に誤って足に落としたら大変なことに……
画面出力に関しては、スクリーン解像度は320×200ドットで16色、スプライトは24×21ドットで8枚持っていて、マルチカラーモードが可能でした。さらに、任意の文字および図形のデザインを設定することができる、プログラマブル・キャラクタ機能も装備しています。サウンドは9オクターブ3重和音を奏でることができ、RFモジュレータを内蔵しているので購入後すぐに家庭用テレビと繋いで遊べました。
キーボードは、フラット・メンブレーム・キーボードを採用していて、いわゆる押すと“ふにっ”と凹む感触のキーボードになっています。類似のものにはシンクレアのZX81などがあるので、このコーナーの読者であれば何となく察しが付くのではないでしょうか。ただし、スペースキーの部分だけは凹まず、触ると反応するようになっていました。BASICのプログラムを入力するとき、キーを押した感触がしないため、慣れるまでは違和感を覚えるかもしれません。
ソフトはカートリッジ形式で供給されていて、発売時にはゲームカートリッジが9種類用意されていたと『アスキー』1983年1月号に書かれていました。それぞれの価格は各2,800円で、そのほかに当時の雑誌には言語カートリッジとして、フリーエリアが0.5KBytesのMINI-BASICと2Kbytesおよび4KBytesのコモドールBASICが各3,980円で供給されるとあったのですが、実際の販売価格は3,800円で、残念ながら後者の4KBytes版は筆者の手元では確認できませんでした。なお、音楽ソフトも同価格の3,800円でした。
筆者所有のソフトは、カートリッジとしてMAX BASIC/OMEGA RACE/JUPITER LANDER/SUPER ALIEN/RADAR RAT RACE/ROAD RACE/MOLE ATTACK/MUSIC COMPOSER/WIZARD OF WOR/KICK MAN/BOWLING(以上、カートリッジに貼られた表記より)があるほか、なぜかケースに入らずむき出しの状態でミニベーシック/MUSIC KEY BOARD/カー・チェイス/SOUND・M/不明基板の4つが存在していたので、すべてを動作させてみました。結果的に、カー・チェイスがROAD RACEと、SOUND・MはMUSIC COMPOSERと同一で、不明基板はクラウンズということも判明したものの、クラウンズはゲームパドル専用タイトルなので遊ぶことができず……。
今回は所有全タイトルが稼働したので、それらを写真で紹介してみました。これらの作品のいくつかは、タイトル画面で権利表記に“HAL LABORATORY”と書かれているので、ハル研究所が手がけたことが分かります。
コモドール社が、ゲームパソコンとして日本市場向けに送り込んだマックスマシーンですが、同時期にライバル機種がいくつも登場したことや、ソフトの本数に恵まれなかったということもあり、早々に姿を消すことになりました。





























