ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

本体カラーリングが大きく変わった富士通「FM77AV40SX」

以前の機種は本体カラーがブラックでしたが、FM77AV40SXではグレーになっています。いわゆる、御影石や墓石と呼ばれるカラーリングでした。本体デザインも丸みを帯びた感じに変わり、FDD部分の曲線ラインと合わせて柔らかい雰囲気を醸し出していました。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は1988年11月に登場した、FM77AVシリーズの最終機種となったFM77AV40SXを取り上げます。

キーボードも、本体と同じカラーリングを採用しています。赤で目立っていたBREAKは、FM77AVのキーボードと同じく他の特殊キーと変わらないカラーになりました。FM77AVから長らく、メインのキーが白、特殊キーがグレーというカラーリングでしたが、本キーボードではメインキーが濃いグレー、特殊キーはブラックという配色になっています。背面には、miniDIN4ピン端子が用意されていました。

 1987年11月に、FM77AVシリーズ一番のてんこ盛り機種として168,000円で登場したFM77AV40EXは、それまでよりもさらにグラフィック部分に力を入れたことで、より表現力がアップしていました。そして、その約1年後となる1988年11月、FM77AVシリーズ最後の機種としてデビューしたのが、今回取り上げたFM77AV40SXとなります。価格は178,000円で、FM77AV40EXから1万円の値上げとなりましたが、後述するビデオカード(FM77-414:29,800円)分の機能を内蔵していたことを考えれば、約2万円のプライスダウンと言えるのではないでしょうか。

 基本的なスペックとしては、前機種のFM77AV40EXとほぼ同じとなっています。CPUにはMBL68B09E(2MHz)を採用、メインメモリは192KBytesを搭載して、VRAMの容量も192KBytesでした。これにより、320×200ドットで最大26万色が同時表示可能だったほか4,096色であれば2画面を、さらに640×200ドットであれば8色を4画面と、非常に多彩な表現力を駆使することができます。サウンド面は前機種から変わらずで、FM音源3声、PSG音源3声を標準装備していました。

本体正面は左に富士通のロゴと機種名、その下には“FUJITSU PERSONAL COMPUTER.”と“EXCELLENCE IN AUDIO & VISUAL.”と書かれていました。隣には3.5インチFDDが2基、その下には電源スイッチと電源、CAP、かな、INSの各インジケータ、そしてリセットボタンと並んでいます。最下段にはキーボードコネクタと音量・バランスつまみ、200ライン/400ライン、高速/低速、BASIC/DOSの切換ボタンがありました。

 本機最大の特徴は、従来機種と同じくビジュアルにこだわった部分でしょう。FM77AV40EX/20EXなどに装着することで、パソコンの画面やスーパーインポーズした画面をビデオ信号に変換しVTRに録画もできるビデオコンバート機能と、テレビ・ビデオの画像を26万色のパソコン画像に変換するビデオデジタイズ機能を可能にした、従来は別売りだったビデオカード(FM77-414)を標準装備したことが挙げられます。ビデオコンバート時にはインタレース/ノンインタレース/ハーフトーンの3モードから選択できるので、こういった作業をメインで行う人にとってはお買い得な機種だったといえました。

背面は左側上段から拡張FDDインタフェーススロット、ビデオコンバート時のモード選択スイッチ、RS-232Cコネクタ、I/O拡張バス端子、音声、映像入出力端子、色の濃さ調節つまみ、色合い調節つまみ、オプションI/Oスロット、25ピンアナログRGB端子、プリンタポート、サービスコンセントとなっていました。

 これらのビデオ機能を内蔵したことを受けて、標準添付のF-BASICもそれに対応したV3.4L21となっています。もちろん、FM77AV40EXで強化された日本語処理機能も受け継いでいて、ハンディ・ワープロ“OASYS Lite”シリーズと同等の辞書をROM化して搭載しているため、約4万語の辞書で専用ワープロに匹敵するハイスピード日本語変換が可能でした。

 添付されているサンプルプログラムを使うことで、好きな文字を画面内の好きな位置にカーソルを合わせるだけでテロップとして入力することができます。この時代であれば、ビデオデッキもそれなりに普及していましたので、録画した番組を取り込んで遊んだり、スーパーインポーズ機能で楽しんだりすることもある程度は簡単にできました。

広告は前機種から引き続き、南野陽子さんがイメージキャラクターを担当しています。「ビデオ機能が標準装備。編集ソフトもついてる。いろいろついて、さらに充実。AV40SX、新登場。」などのキャッチが付いていました。本体と同時に写っているモニタは型番が書かれていませんが、値段からFMDPC232Dかと思われます。

 楽器が弾けない/楽譜が読めなくても作曲や編曲が自由自在にできるという触れ込みのFMミュージックエディタIIや、26万色をフルに活かしたCGも簡単と謳ったFMグラフィックエディタIIといったソフトも別売りで用意されていて、ゲームだけでなくクリエイティブな方向で活用できるような準備もされています。

 インタフェース類は、それまで付いていたCMT端子がFM77AV20EXと同様に取り除かれたほか、映像出力がRGB21ピンからD-SUB25ピンへと変更になりました。キーボード接続端子はFM77AV40EX/20EXと同じminiDIN4ピンで、今であればS端子ケーブルで代用できる形状に変わっています。

実売価格がどのくらいだったのかを、1989年1月に雑誌に掲載されたショップ広告から見てみました。FM77AV40SXとモニタFMDPC232Dとの組み合わせであれば、188,000円という価格で購入できたようです。このショップの場合、似たような価格ではX1turboZIIまたはPC-8801MA2が、それぞれディスプレイとセットで182,000円、195,000円という価格でした。この時期は、8ビットパソコンを卒業して16ビットパソコンへ移行する人もいたので、この金額で8ビット機を買うか、もう少し出費して16ビット機を購入するかで悩んだ人もいたかと思います。

 8ビットマシンは本機が登場したタイミングで、NECから168,000円でPC-8801MA2と129,000円でPC-880FE、シャープからは169,800円でX1turboZIII(発売は翌月となる12月1日)、MSX陣営からはソニーがMSX2+となるHB-F1XDJを69,800円と、49,800円でMSX2のHB-F1XDJが、それぞれ市場へと投入されていました。とはいえ、この3ヶ月後にはCD-ROMを搭載したマルチメディアパソコン・FM TOWNSが登場することを考えると、FM77AV40SXがなかなか難しいタイミングでのデビューだったことがわかるのではないでしょうか。

 年が明けて1989年2月28日、パソコン御三家の一角として富士通は32ビットパソコンのFM TOWNSを発売し、市場ではPC-98シリーズ vs X68000シリーズ vs FM TOWNSシリーズという新たなバトルが勃発するわけですが、そのあたりについてはまた別の機会に述べたいと思います。