ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

プラズマディスプレイを搭載したNECのラップトップパソコン「PC-9801LS2」

今となっては珍しい、オレンジ色のプラズマディスプレイが特徴のラップトップパソコンです。全体的に角を落としてアールを効かせたデザインを採用していますが、蓋を開けたときのシルエットは当時としてもかなり格好良い部類だったかと思います。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は、NECが1988年10月24日に発表した重さ約8kgで価格が約60万円となるラップトップパソコン「PC-9801LS2」を取り上げました。

 1990年代前後になると、日本のオフィスで幅を利かせるパソコンとして台頭してきたPC-9801シリーズですが、その多くは据え置き型のデスクトップマシンでした。そのような中で、デスクトップよりもダウンサイジングされたラップトップパソコンのニーズが増えてきたことや、エプソンをはじめとしたライバルの存在といった理由から、NECはラップトップパソコンのPC-9801LV21を1988年3月に登場させます。しかし、視認性が今ひとつだったということもあり早々に解決策を求められ、その答えとして登場したのが今回取り上げたPC-9801LSシリーズでした。発表されたのは1988年10月24日で、翌11月より順次発売となっています。

キーボード部分を真上から見た状態です。かなりコンパクトになっているものの、基本的なキーに関しては問題無くタイピングすることができました。キーボード右上部分には、メモリを増設するためのスロットが用意されています。蓋を閉めると左側に電源とFDDのインジケータが見えますが、これは稼働中にも見えるようになっていて、FDDへアクセスしていることは右側面のFDDを見なくてもわかるようになっていました。手前に引き出されているのが取っ手で、かなりしっかりしています。

 用意されたのは、FDDを2基搭載したPC-9801LS2と、それに加えて40MBのHDDを内蔵したPC-9801LS5の2モデルです。価格は、PC-9801LS2が628,000円、LS5が866,000円でした。ちなみに、似たようなCPUスペックのPC-9801ESがディスプレイ別で448,000円だったことを考えると、PC-9801ES2とプラズマディスプレイをセットで買った……という感じでした。今の時代から考えると、とんでもなく高価な買い物ですが……

 スペックとしては、CPUに80386SX(16MHz)を搭載していて、メモリアクセスノーウェイトによって「ラップトップパソコンで最高レベルの高速処理を実現しています(広告より)」と謳っていました。内蔵したメモリも標準で1.6MBと、先に発売されていたPC-9801RA2などと同じ容量となっています。メモリは、本体上部のスロット部分に1Mbytes単位で増設することができて、最大で4.6MBまで内蔵可能となっていました。

右側面は左からリセットボタン、テンキー増設コネクタ、FDD2基、マウスポートと並んでいて、左側面にはB4670II用のコネクタと電源コード差し込み口、電源スイッチ、ボリュームつまみ、明るさ調整つまみ、ディップスイッチがありました。

 本機の大きな特徴と言えるのが、高速8階調表示の見やすいプラズマディスプレイを採用(15階調表示も可能)と宣伝されていたプラズマディスプレイでしょう。オレンジ色に光るディスプレイは、当時としては文字認識がしやすく、同時期に登場していたPC-9801LV21などが搭載していた液晶モニタよりも見やすかった、と同時期に発売されていた雑誌には書かれていました。ただし、人によっては長時間見ていると非常に目が疲れることもあったようです。

 側面と背面には各種インタフェースが用意されていますが、リセットボタンと電源ボタンに電源コード差し口、ボリュームと明るさ調整つまみ以外の部分は、すべて爪で引っかけるタイプのカバーで覆われていました。今回使用した個体は、残念ながら背面左側のカバーが紛失してしまっていますが、本来購入時はそこも含めて綺麗に塞がれていたことを考えると、高い買い物らしいデザインと言えるかもしれません。ただし、ディップスイッチ部分の蓋以外は完全に外れる仕様になっているので、そのままなくしてしまったという人もいたのではないでしょうか。

本体背面は左からプリンタポート、RS-232Cコネクタ、アナログRGB端子、拡張ポートと並んでいます。底面部分には数値データコプロセッサを実装するための場所が用意されていました。

 本体の手前側には持ち運び用の取っ手が付いていますが、これはキー入力時にはパームレストとしても作用します。本体を設置して入力するためキーボードの位置に手を置くと、腕が机から数センチほど浮くので作業しづらいのですが、取っ手を引っ張り出してその上に腕を載せれば、ある程度は自然な姿勢でタイピングすることができました。

 そんなPC-9801LS2の本体サイズは幅339mm×奥行き380mm×高さ103mmで、重量はLS2が8.1kg、LS5は8.8kgとなっています。先に登場していたPC-9801LV21は幅こそ同サイズなものの、奥行きは315mm高さが85mmで重量5.8kgだったことを考えると、やや大きく重くなっていました。ラップトップパソコンだからといって膝の上に置いて作業をすると、半日持たずに脚が痛くなってしまうかもしれません。

広告では「わたしは、MOVE ON!」のキャッチコピーとともに「高速32ビットCPU、プラズマディスプレイ搭載。ラップトップ98はここまで来た。」との見出しとともに紹介していました。右ページには実機に映し出されたグラフィック画面を撮影して掲載していますが、さすがに今の時代から見比べると厳しいものがあります。

 キーボードは、デスクトップ用に付属するPC-9800 SERIESと書かれたバージョンのものからテンキー部分を省き、コンパクトにした感じとなっています。キータッチも似ていますが、それよりもやや手応えのある感じでフカフカとした感じまではいきません。CAPSキーやカナキー、NUMキーは機械的にロックされるものではなく、ソフトロック方式が採用されています。

 動作可能なOSとしては、マルチタスクOSの日本語MS OS/2(Ver1.0)や日本語MS-WINDOWS/386のほか、日本語MS-DOS(Ver.3.3)、日本語MS-WINDOWS(Ver.2.0)も利用することができたので、ビジネスの分野でも活躍が期待された1台でもありました。PC-98LTのような機種とは違い、PC-98シリーズの豊富な市販ソフトが使えるというのも大きな売り文句となっています。

プラズマディスプレイに映した画面の接写と、カラーモニタにミラーリングしての比較写真です。後者はややコントラストが高めに映っていて、実際の画面はもう少し暗めです。

 実際のプラズマディスプレイにて、カラーがどんな感じで表示されるのかを試してみました。手元のPC-9801LS2は、FDDの故障でフロッピーディスクへのアクセスができなかったため、BASICで簡単なプログラムを書いて7色を表示させています。あわせて、左側にはいわゆるミラーリングでカラーモニタへと表示させてみました。

 COLOR=1がカラー表示での青色で、以降は赤色、紫色、緑色、水色、黄色、白色に対応しています。プラズマディスプレイでは、基本的にはCOLOR=1→7へ向かって徐々に明るくなっているという感じで、隣のカラーモニタと比べると今となっては見づらいというのが分かります。とはいえ、当時としては通常のPC-98用ソフトが動く、液晶ディスプレイよりも見やすい画面が搭載されたラップトップパソコンということで、一定の人気を博していました。

 PC-98のラップトップパソコンはこの後、カラー化されたりキーボード部分が分離可能になるモデルが登場するのですが、それらについてはまたの機会に譲ることにします。