ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち

日本のマイコン文化発展に大きく貢献した「PC-8001」と、ハイドライドなどが大ヒットした「T&E SOFT」

~永久保存版 80年代マイコン大百科~

永久保存版 80年代マイコン大百科

 連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 80年代マイコン大百科」(著:佐々木 潤)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。

 今回取り上げるページは、懐かしのマイコンたち!!編から「NEC PC-8000シリーズ」と、ボクたちを虜にしたソフトハウス編から「T&E SOFT」。

 なお、書籍版では画像はモノクロ(電子書籍 Kindle版はカラー)だが、本記事ではカラーの写真を掲載している。

(編集部)


- 懐かしのマイコンたち!! -NEC「PC-8000シリーズ」- -


日本のマイコン文化発展に大きく貢献した名機

 NECは、TK-80が起こしたマイコンブームに手応えを感じ、キットではなく完成品としてのマイコンを作ることを目指していた。そうして登場したのが、同社初の完成品パソコンPC-8001だ。

 それまでは、マイクロコンピュータの略称で“マイコン”と呼ばれていた一連のハードを、8001では頭に“PC”と付けることでパーソナルコンピュータ・略称パソコンという愛称に変更することに成功する。ちなみに、国産初の筐体型パソコンは日立のベーシックマスターが先だ。

PC-8001は1979年に発売され、定価は168,000円だった。セミキットが多かった当時のマイコンの中で、本格的な完成品として登場。グラフィック画面が160×100ドットのデジタル8色で、ドットによっては意図した色で着色できなかったこともあった。それでもキーボード一体型の本体は高級感があり、これで何をしようかといろいろ考えたもの。カーソルキーの使いづらさは、その後に登場するPC-8800シリーズにも引き継がれてしまう……。

 そんなPC-8001の後継機として発売されたのがPC-8001mkIIだが、中途半端なパワーアップだったため、位置づけとしては微妙なままフェードアウトしてしまう。筆者が最初に購入したパソコンがPC-8001mkIIだったのだが、PC-6001と比べると音はBEEP音のみ、グラフィックは他機種と比較すると肌色が酷いなど、当時は非常に悔しい思いをしたものだ。

PC-8001の後継モデルで、1983年に123,000円で登場した。グラフィック機能を強化したものの、320×200ドットで黒・赤・緑+選択色または青・マゼンダ・シアン+選択色という画面は、肌色を表現するには無理があった。そのため、専用ソフトはそれほど出なかったという苦い機種。購入したものの、ハズレ機種だと思った人も多かったのでは。

 そして、世の中がPC-8000シリーズからPC-8800シリーズへと移り変わった頃、最後のPC-8000シリーズとなるPC-8001mkIISRが登場する。FM音源を搭載し、グラフィック画面も320×200の8色を2画面重ね合わせられるモードを持つなど、PC-8001mkIIの存在を忘れるほどに機能強化されていた。スペック的にも非常にバランスの取れたハードだったが、市場の主流はPC-8800シリーズになっていたこともあり、それほど台数が出ないまま消えるという悲劇の最後を迎える。

1985年1月に108,000円で発売。PC-8001mkIIと比べて、グラフィック機能にくわえサウンド機能も大幅に強化された。PC-8800シリーズにはない、カラー2画面グラフィックを活かした『ゼビウス』『パックランド』などのゲームソフトが発売された。地味ながらも名機。

- ボクたちを虜にしたソフトハウス 「T&E SOFT」編-


T&E SOFT-「スターアーサー伝説」シリーズと「ハイドライド」が大ヒット

 創業者の兄・横山俊朗氏と弟の横山英二氏の名前から付けられたT&ESOFT。最初は『I/O』誌にプログラムリストを投稿し、そのパッケージを販売していた。初期はPC-6001向けのタイトルが多く、『ピラミッド』『リンシューター』などが挙げられる。翌1983年、『3Dゴルフシミュレーション』を発売。表示が遅かったものの、3Dでボールが飛んでいくリアルさが好評を博した。

 同年、全3部作となる「スターアーサー伝説」シリーズ1作目『惑星メフィウス』が登場。同社としては初の本格派コマンド入力アドベンチャーゲームで、壮大なストーリーとフルカラーグラフィックが特徴だった。ちなみに、3部作すべてが発売されたのは、PC-6001mkII対応版とFM-7対応版のみ。PC-8800シリーズとX1シリーズが入っていないのは、ビッグタイトルにしては珍しかった。

“T&Eソフト開発陣が総力を挙げて開発”とのキャッチコピーのもと作られた本格スペースアドベンチャー『スターアーサー伝説』3部作は、現在でも傑作として称されている人気シリーズだ。『「スターアーサー伝説」惑星メフィウスはこうして作られた:パソコンゲームの大傑作』(東京書籍)という本も発売されている。テープ版は3本組だが、この時期の大作では一般的。全般的にPC-6001mkIIとFM-7の文字が目立つ。

 このシリーズが発売された同社の人気が高まっていく中、1984年末に登場したのは『ハイドライド』。日本ファルコムの『ドラゴンスレイヤー』と発売日も近く、またRPGという同じジャンルでアリながら違う方向性を見せたタイトルということもあり、これ以後、RPG2大タイトルを生み出すクリエーターとして、“東の木屋・西の内藤”などというキャッチフレーズが雑誌に載ることも。

“1985年 そして始まる新たなる挑戦……T&E SOFTが放つ大作二題”というキャッチコピーとともに、『ハイドライド』と『テラ4001』の広告が掲載された。『テラ4001』は『スターアーサー伝説』シリーズの最終作となる。

【お知らせ:レトロゲームイベントを5月4日に開催します】

 レトロゲームのトークショー『レトロゲーム・リアルトーク#01』を5月4日(木・祝)に新橋のツクモデジタル.ライフ館にて開催します。入場は無料。

 エメラルドドラゴンの木村明広氏のトークショーやログイン編集部OB会、そして“ゴチャキャラシリーズ”の呉ソフトウェア工房社長の呉英二氏と、テグザーの続編“ファイアーホーク”(ゲームアーツ、1989年)のプログラマである大畑和幸氏の対談、そして実機展示などを行います。イベントの詳細はこちらを参照のこと。

【お知らせ:レトロゲームイベントを5月4日に開催します】

 レトロゲームのトークショー『レトロゲーム・リアルトーク#01』を5月4日(木・祝)に新橋のツクモデジタル.ライフ館にて開催します。入場は無料。

 エメラルドドラゴンの木村明広氏のトークショーやログイン編集部OB会、そして“ゴチャキャラシリーズ”の呉ソフトウェア工房社長の呉英二氏と、テグザーの続編“ファイアーホーク”(ゲームアーツ、1989年)のプログラマである大畑和幸氏の対談、そして実機展示などを行います。イベントの詳細はこちらを参照のこと。