ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち

日本での初期RPGの代名詞とも言える「ザ・ブラックオニキス」

モンスターの描かれた渋いパッケージが目を惹きます。主な機種の販売元はBPSでしたが、PC-6001mkII以降対応版とMSX版はASCIIからの発売でした。

 想い出のレトロパソコンやゲームを写真とともに振り返る本コーナー、今回紹介するのは日本でRPGというジャンルの火付け役になった一本「THE BLACK ONYX(ザ・ブラックオニキス)」です。発売は1984年。

初期の雑誌記事では、「THE BLACK ONYX」を「ザ・ブラックオニクス」と表記していました。左側の当時の広告でも、「ブラックオニクス」と書かれているのがわかります。これが後に右側の広告のように「ブラックオニキス」と変わりました。

 1983年は、光栄マイコンシステム(当時)から「ダンジョン」が発売されるなど、日本でもRPGというジャンルが盛り上がる兆しが現れた年でした。そんな1983年末から84年初頭にかけての時期に姿を現したのが、この「THE BLACK ONYX(ザ・ブラックオニキス)」です。

 見た目が3Dで描かれたダンジョンを進み、出現する敵を倒して経験値を稼ぎパーティを鍛え、装備品でプレイヤーキャラたちを強化しつつ、ブラックタワー内にあると言われる宝石・ブラックオニキスを回収するのが目的でした。

 本作が、始めてプレイしたRPGゲームという人も少なくはないと思いますが、戦闘をシンプルに物理攻撃に絞ったり、途中に出会う冒険者達を仲間に入れることができるなど、RPGの基本的な部分を備えルールを複雑にしなかったことが、ヒットの一因だと思われます。ヒットポイントを示す棒グラフもわかりやすく、赤く染まっていく様を見てダメージを与えている・喰らっているが明確だったのも好印象でした。プレイ開始直後に井戸に降り、クラーケンに瞬殺された経験を持つ人も多いはず。

戦闘シーンはコマンド入力式。アクションを選択すると、素早い順から行動を開始します。画面写真はPC-6001mkII版です。
こちらが噂のクラーケン。遭遇して初めて、井戸からいきなり降りてはダメということが分かる強敵です。これを倒せるようになれば、次の目標は透明のマントです。

 最初に発売されたPC-8801版は処理速度が遅かったのですが、X1版は呉ソフトウェア工房の呉英二さんが移植を手がけ、非常に快適にプレイできました。なお、有名な「イロイッカイズツ」は機種ごとに順番が異なっていたため、所有機ではないハードでプレイしていた人には難しかったかもしれません。