ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち

X68000の機能を活かしたアーケードクオリティのアクションゲーム「GENOCIDE」

タイトルロゴだけという、非常にシンプルなパッケージです。この割り切り方は、なかなかできないと思います。

 想い出のレトロパソコンやゲームを写真とともに振り返る本コーナー。今回はズームのデビュー作となるX68000用タイトル「GENOCIDE」を取り上げます。

 1987年に、パソコン界へ衝撃的なデビューを果たしたシャープのX68000ですが、そのハードが持つポテンシャルを引き出して作られたタイトルが、ソフトハウス・ズームのデビュー作となった「GENOCIDE」です。

当時の広告によると、当初は1989年7月7日発売とアナウンスされていましたが(写真左)、2週間遅れて7月21日にリリースされています(写真右)。発表時と発売時では文字の間が詰められるなど、タイトルロゴが微妙に変わっているのがわかります。

 名の知れないソフトハウスの、しかも1作目ということで、当時としてなかなか手を出しづらかったという記憶があります。しかし実際に遊んでみると、ゲームセンターに置かれていてもおかしくないクオリティのアクションゲームで、とにかく夢中になりました。これだけの大きさのキャラクターが“滑らかに”動いているゲームは少なかったため、新鮮な驚きもありました。

本作では、メーカーロゴ表示時は∞ではなく「Z」のマークになっています。
この側転を上手に使うことで、敵からのダメージを最小限に食い止めながら進んでいきます。途中セーブが無いというのが、よりプレイに緊張感を持たせました。

 プレイヤーは自機であるトレーサーを操作し、出現する敵をサーベルで斬りまくりながら先へと進んでいきます。移動以外のボタンは2つ用意され、1つはサーベルによる攻撃で、もう一つがジャンプです。上に入力しながらジャンプボタンを押すとトレーサーは側転しながらジャンプし、その間は当たり判定が無くなります。

 パワーアップの要素は無く、途中に出現する特定の敵を倒すとエネルギーを回復してくれるアイテムが拾える程度なので、いかにダメージを受けずに先へ進めるかがカギとなります。中盤からは、飛び道具としても応用可能なベティが登場しますが、そこまでは孤独な戦いが続きます。

各ステージのラストには、ボス敵が出現します。自機より大きく攻撃力も高いので、パターンを見切った攻略法が必要になります。

 全編を通してアーケードゲームライクな攻略法が要求されるため、ゲームセンターのゲームに遊び慣れていないと難しく感じるかもしれません。敵の出現パターンを完全に把握する必要があるほか、ステージの最後に出現するボス戦でもプレイヤーのテクニックが問われます。ステージごとにセーブするという機能はなく、ゲームオーバー時にそのステージの最初からやり直せるコンティニューがあるだけなので、よりアーケードゲームの雰囲気を味合わせてくれます。

 また、FM6声+ADPCMを使用した迫力満点のBGMは聞き応え十分で、それまでのパソコンゲームよりワンランク上の体験をもたらしてくれました。

背景は多重スクロールしていて、それを見ながら当時は「あのゲームもオープニングデモで多重スクロールしていたけれど、こちらはもっと滑らかに多重スクロールしていてX68000とズームは凄い!」などと単純に思ったものです。

 ズームはこの後、続編となる「GENOCIDE2」やF1レースシミュレーションゲーム「OVERTAKE」など、技術的に優れた作品を以降も発売していき、ソフトハウスとして確固たる地位を築いていきます。