ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

富士通のパソコン「FM」シリーズ後期モデルと、1980年代後半のソフトハウス「システムソフト」編

~永久保存版 80年代マイコン大百科~

永久保存版 80年代マイコン大百科

 連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 80年代マイコン大百科」(著:佐々木 潤)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。

 今回取り上げるページは、懐かしのマイコンたち!!編から富士通「FM」シリーズ編Part2と、ボクたちを虜にしたソフトハウス編から1980年代後半の「システムソフト」。

 なお、書籍版では画像はモノクロ(電子書籍 Kindle版はカラー)だが、本記事ではカラーの写真を掲載している。


- 懐かしのマイコンたち!! -富士通「FM」シリーズPart2- -


 1985年、従来機種からAV機能を強化したFM77AVが登場する。当時としては画期的な、320×200の解像度で4096色同時発色が可能な機種だったため、広告ではキャッチコピーとして“総、天、然ショック。”が使われた。キーボードも赤外線ワイヤレスとなり、レイアウトフリーに。

FM77AVはFM-77などが採用していたホワイト系カラーから一転、シックな黒に近いグレーのカラーで登場。4096色同時発色という画期的な性能が、ユーザーの夢をかき立てた。キーボードも赤外線ワイヤレスとなり、複数キーを一度に押下しても反応するようになっている。値段も、FM77AV-1ではインパクト大の128,000円だった。

 翌86年には、次期モデルとして2DDと2D兼用のFDDを搭載したFM77AV20/40が誕生。87年には、マイナーチェンジモデルとして128,000円のFM77AV20EXと、さらに同時発色数が多くなったFM77AV40EXが168,000円で登場している。

FM77AV40では400ライン8色に対応したほか、26万色カラー表示も可能になった。FM77AV20は、77AVと機能的な違いはそれほど多くないモデル。FDDは両モデルとも、77AVの2Dから2DD/2D兼用に。価格はAV40が228,000円だった。
FM77AV20EXはAV20からCMTインタフェースを削除した以外、ほぼ同スペック。FM77AV40EXは、メインCPUの動作クロックをAV20/40から実質25%アップ。AV20やAV40ではMMR使用時に1.6MHzに落ちてしまうクロックが、ノーウェイトの2MHzで動作するようになっている。画面も、320×200で4096色画面を2枚または26万色を1枚持てた。キャッチコピーは“ スーパー・クリエイティブ・パソコン”。

 そして88年、シリーズ最終機種としてFM77AV40SXが178,000円で市場に投入されるが、勢いを取り戻すのは難しい状況だった。そこで富士通は更にAV機能を充実させた後継機、FM TOWNSを送り出す。

 世界初のCD-ROMドライブ搭載機種であり、グラフィック面では1677万色中256色発色できるほか、サウンド面ではPCM音源も搭載するハイスペックマシンだった。同シリーズはこの後、1997年まで走り続けることになる。

FM77AV40SX
FM TOWNS
筐体のデザインが変更され、のちに登場するTOWNSと同じカラーリングになった。ビデオ連携機能も標準装備している。イメージキャラクターが、これまでのタモリ氏から南野陽子さんになり、本モデルをもってFM-7シリーズは最後となった。
FMTOWNSの名称は、広告などでは小さな“FM”+大きな“TOWNS”で表現されていた。X68000に劣らないスペックを持ち、さらにCD-ROMドライブも標準搭載していた。本体の標準価格は、FDDが1基でメモリ1MBのモデル1が338,000円、モデル2が398,000円。ただし、キーボードは別売り。モニタやキーボード、日本語MS-DOSV3.1(MS-DOSエミュレータ)などが付属した発売記念限定セットも3万台販売され、こちらはモデル1セットが478,000円、モデル2セットは538,000円となっていた。

- ボクたちを虜にしたソフトハウス・80年代後半編 -システムソフト- -


「大戦略」シリーズを発売し、軸足をSLGへシフト

 1985年、システムソフトは『現代大戦略』を発売する。本作は、それまで小難しいゲームという印象があったウォーシミュレーションゲームの敷居を一気に下げ、大ヒットとなった。当時は、16ビットのCPUでなければ思考ルーチンが遅いなどという問題点もあったが、それを差し引いてなお魅力があったのは間違いない。

 また、このシリーズでは戦闘を行い、生き残ったユニットが経験値を得るというシステムも採用していたが、これがのちに誕生するシミュレーションRPGの原点となった、とも言えるのでは無いだろうか。

80年代後半のシステムソフトといえば、なんといっても「大戦略」シリーズ。『大戦略II』にはエディタセットも登場し、これを使えば自由にユニットを作ることができた。その一方で『かわいそう物語』といったアドベンチャーも発売している。
『大戦略88』から大きくパワーアップした『キャンペーン版大戦略II』と、シナリオジェネレータシステムを搭載した『ティル・ナ・ノーグ』のPC-88版が同時掲載。この時代、PC-9800シリーズへのユーザの移行が始まっていたとはいえ、まだまだPC-8800シリーズ向けソフトのニーズは大きかった。

 このヒットにより同社は『大戦略』をシリーズ化し、『大戦略II』や『スーパー大戦略』『大戦略III』、さらにはそのファンタジー版ともいえる『ファンタジーナイト』『マスターオブモンスターズ』なども登場させている。

「大戦略」シリーズがヒットしたことから、派生作品も数多く登場している。『ファンタジーナイト』は、『大戦略』のユニットをファンタジー世界に登場するキャラクターに置き換えたものといえる。ドラゴンなどは、敵を倒してレベルアップすると巨大な1ユニットになるのがユニークだった。

 途中、『SeeNa』『冒険浪漫』といったアクションゲームや『銀河』『上海』といったテーブルゲームもリリースしているが、以降はシミュレーションまたはシミュレーションRPGでヒットを飛ばしていく。

『ティル・ナ・ノーグ』のヒットを受けて、関連作品として登場したのがこの『ブルトン・レイ』だ。こちらもケルト神話をテーマとし、ダークでシリアスな雰囲気の物語が描かれている。シナリオ生成機能も強化され、プレイヤー自身が作成できるようになった。
一部の画像は、書籍版とは異なるものを掲載している場合がございます。