ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

ADVを軸として突き進んだ「リバーヒルソフト」と、四国の貴重なソフトハウス「SSKオフィスコンピュータ」

~永久保存版 激レア!お宝発掘!! 80年代マイコン読本~

永久保存版 激レア!お宝発掘!! 80年代マイコン読本

 連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 激レア!お宝発掘!! 80年代マイコン読本」(著:佐々木 潤)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。

 今回取り上げるページは、メジャーソフトハウス編からは「リバーヒルソフト」と、マイナーソフトハウス編から「SSKオフィスコンピュータ」となる。

 なお、書籍版では画像はモノクロだが、本記事では一部カラーの写真を掲載している。


- メジャーソフトハウス編 ―リバーヒルソフト― -


福岡にあった、地方を代表するソフトハウスの1つ

 当初は企画をリバーヒルソフト、製作販売をユニオンプランニングと宣伝してきた、福岡のソフトハウス。創業は1982年で、83年には普賢電子3作品の版権を譲渡されている。

 当時、同じ福岡県内のシステムソフトと共に人気を集めていたのは間違いない。初期ラインアップからミステリアドベンチャーものを得意としており、代表作に『黒猫荘相続殺人事件』『狼男殺人事件』などがある。シミュレーションゲームやRPGも発売していたが、基本はアドベンチャーゲームを軸として突き進んだ。

 『妖怪ウォッチ』などで有名な会社、レベルファイブの社長である日野晃博氏が、リバーヒルソフトに在籍していたことは有名だろう。

ミステリ作品の中にも意外に知られていないタイトルが?

 当時、『巨大地震』は積極的に広告で宣伝されたため、知っている人も多いと思われる。そのため同時期に発売されたタイトルの象が薄くなっているので、その中から『手掛りを探せ!』を取り上げよう。

 プレイヤーは主人公として、小さなペンションの2階で起きた殺人事件の手がかりを探していきながら、殺人の謎を解き犯人を見つけていく。ペンションには主人公を含めて4人いるのだが、果たしてどんな展開を迎えるのか?

 当時としては一般的な、動詞→名詞入力というコマンド入力式のアドベンチャーだが、証拠品や手かがりを探して犯人を追い詰める様が、まさに探偵気分を味合わせてくれる。なお本作を手がけたのは、現在福岡県で株式会社ベルウッドの代表取締役を務める、鈴木理香さんだ。

シンプルな画面故に想像力を掻き立てられる
この時期のソフトでは当たり前のことだが、機種によって画面レイアウトが違う。これはPC-8001mkII版だが、PC-8801版では画面上に人物のグラフィックが並んでいる。『手掛りを探せ!』は、移動できる場所が2階の廊下と6部屋だけという狭さで、ゲーム進行とともに死体が見つかっていく様が簡易なグラフィックで表示される。しかし、だからこそ頭の中で自由に想像し、ストーリーを勝手に盛り上げることもできた。この当時のゲームに対して、“そうしないとゲームがつまらなかったんでしょ?”と言う人もいそうだが、そうではなく“想像力を膨らませられる余地があったことも楽しめた要因の一つ”と主張したい。

- マイナーソフトハウス編 ―SSKオフィスコンピュータ― -


四国でゲームを作っていた、貴重なソフトハウスの一つ

 SSKオフィスコンピュータというブランドで広告を出したりソフトを発売していたが、本体は四国伸鉄鋼業株式会社オフィスコンピュータ事業部。愛媛県にあり、現在は法人向けにビジネスを展開するエスエスケーコンピュータになっているようだ。当時は、同県松山市にあるロータスが開発したゲームボードを応用したゲームや、土木・建築・測量をはじめとしたビジネス向けソフトも取り揃えていた。

 特に1983年末には、完成したばかりのX1用タイトル『宝珠』を広告ページで大々的に取り扱っている。おもにMZ-80Kシリーズ向けとして、ロータス・ゲームボードまたはPCG8000を使用したゲームソフトを販売していたが、当時らしくアーケードから移植してタイトル名をそれらしくしたものが多かった。ただし、ゲームボードまたはPCG8000がないと動かないため、発売本数などは多くないと思われる。また、ロータスゲームボードの販売だけでなく、MZ-731にロータスゲームボードを取り付けたモデルを当初は138,000円で、のちに118,000円で発売するなど、ロータスとの共同作業が目立つのも特徴だ。四国というと、ビジネスソフトを作っている某大手ソフトハウスを思い浮かべるかもしれない、それ以外にも活躍したソフトハウスがあるのだ。

ユニークなタイトルもあったソフト群から2作品を紹介!

 特に誌面で目立ったのが、派手な画面で“トクトウ!!”と表示されている『福引プログラム』。“商店等では客寄効果抜群!!”“新聞でも好評”とあるのを見ると、地元の商店街などでウケたのではないかと思われる。荒いグラフィックが、かえって人の目を惹いたのかもしれない。アーケードゲーム『DONKEY KONG』をもとにした『PCG CRAZY BOY』は、1面目はアーケード版に近い雰囲気で仕上げられているなど、技術力の高さもうかがえる作品だ。

 そして、満を持して1983年末に発売した『宝珠』は、銀河系の中に漂う5つの宝珠を集めるゲーム。スタートレック的要素、アドベンチャー的要素、ロールプレイング的要素、シミュレーション的要素をすべて含んだ超大作だったようだ。

一部の画像は、書籍版とは異なるものを掲載している場合がございます。