ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち
キャラグラフィックが特徴的だった「ベーシックシステム」と、日立PC向けに力を入れていた「サイパックソフト」
~永久保存版 激レア!お宝発掘!! 80年代マイコン読本~
2020年8月13日 08:10
連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 激レア!お宝発掘!! 80年代マイコン読本」(著:佐々木 潤)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。
今回取り上げるページは、マイナーソフトハウス編から「ベーシックシステム」と「サイパックソフト」となる。
なお、書籍版では画像はモノクロだが、本記事では一部カラーの写真を掲載している。
- マイナーソフトハウス編 ―ベーシックシステム― -
広告に描かれたイラストが印象的なソフトハウス
横浜駅から約5分ほど歩いたところにある、ビルの5階に位置したソフトハウス。雑誌広告はなぜか毎号赤と黒の2色刷で掲載していて、非常に目立っていたことを覚えている。今の時代に見ても、派手派手しい広告なのは間違いないだろう。
他社と大きく違うのは、イラストを多用していたというところ。『楽譜と演奏』『詰め将棋ゲーム』『英文タイプ教室』『熱海温泉アドベンチャー』など、目立つようにイラストが添えられているのが印象的だ。
ゲームはキャラクターグラフィックを使用したものが多く、初期メインの『本格的四人ポーカー』もキャラクターで顔グラフィックが描かれているが、その似顔絵が非常に強力なインパクトを与えている。名前も“タケチャン”“セイコチャン”“キンチャン”といった、どこかで聞いたことのあるようなものなので、いやがおうにも記憶に残ってしまう。
対応機種はキャラクターグラフィック使用なので幅広く、PC-8001シリーズ、FM-8やFM-7、PASOPIAシリーズ、MZシリーズ、さらにはFP-1100までも網羅していた。のちに、PC-8001mkII用やX1向けにも発売するようになるが、ほどなくして市場がグラフィック中心の流れになると、静かに手を引いたようだ。
イラスト、キャラ、謳い文句……それらすべてが個性的だった
キャラクターグラフィックがユニークな『熱海温泉アドベンチャー』は、無実にもかかわらず強盗殺人犯として追われる身となった主人公となり、真犯人を捕らえ1億円の入ったバッグを見つけるのが目的だ。
熱海を舞台にしており、“ハツシマ”のような地名だけでなく、“赤尾ホテル(2016年現在のホテル・ニューアカオ)”や“コウラクエン(2016年現在の熱海後楽園ホテル)”といった、今(2016年当時)も実在する場所が登場するのがユニーク。26ものレベルが選べ、レベルを上げるほどに所持金やヒントが少なくなっていくほか、プレイするたび犯人の居場所が変わるため、この当時としては何度もプレイできる楽しさがあった。
ちなみに『詰め将棋ゲーム』では、パッケージにて“世界最初のマイコンによる将棋プログラムです”と謳っていたのだが、果たして?
- マイナーソフトハウス編 ―サイパックソフト― -
JR-200やベーシックマスターシリーズへソフトを供給
システムソフトと同じ福岡県に存在したサイプレスは、82年中頃から“サイパックソフト”ブランドで広告を出し始める。ユニークなのは、JR-200やベーシックマスターJr.といった機種へ、数多くのゲームソフトを供給していたこと。82年には、ベーシックマスターレベル3用開発ソフトをいち早く販売しているのも特徴だろう。
その流れを引き継ぎ、新たに発売されたベーシックマスターレベル3マーク5用にもゲームをリリースしている。その中には、オリジナルソフトではあるものの『ゴルゴさあてぃ』などというタイトルの付いた危ない(?)作品もあった。
この機種用に音声合成ユニットも発売するなど、日立パソコンに対しては同社の力の入れようがうかがえる。その後は、同じ日立のS1シリーズにターゲットを変更した。なお、サイプレスが入っていたビルは取り壊されてしまったようで、同住所は(2016年)現在コンビニエンスストアになっている。これも時代の流れというものなのだろう。
実はハードを使いこなしたソフトをリリースしていたサイパックソフト
同社がリリースしていたソフトの価格は1本2,800円で、当時としても平均より若干安かったため、ユーザーにとってはありがたかったはず。
『ヘリボンバー』は、当時アーケードでコナミがリリースしていた『スクランブル』タイプのゲーム。スクロール方向が珍しく左→右で、自機は上下のみの移動が可能だった。かなりスムーズに動いているので、プレイすればJR-200に対する印象ががらりと変わることだろう。ほかにも『ギャラクシアン』タイプのゲーム『レジャック』なども発売していた。処理が早いので襲来する敵を狙って倒すのはなかなか難しい、歯ごたえのあるシューティングだ。