ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち
“ハイドライド”をMZへ移植した実力派ソフトハウス「キャリーラボ」と、初期はADVなども数多くリリースしていた「日本ファルコム」
~永久保存版 激レア!お宝発掘!! 80年代マイコン読本~
2020年10月20日 07:30
連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 激レア!お宝発掘!! 80年代マイコン読本」(著:佐々木 潤)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。
今回取り上げるページは、メジャーソフトハウス編から「キャリーラボ」と「日本ファルコム」となる。
なお、書籍版では画像はモノクロだが、本記事では一部カラーの写真を掲載している。
メジャーソフトハウス編 ―キャリーラボ―
有名ソフトタイトルには事欠かない実力派ソフトハウス
キャリーラボといえば、ニデコからニデコムキャリーブランドで、タイトーアーケードゲームの移植タイトルを数多く発売したり、T&E SOFTの『ハイドライド』『ハイドライドII』をMZ-2000シリーズへ移植したりと、高い技術力に定評のあるソフトハウス。
早い時期からMZシリーズに注力したほか、BASE-80やWICSといった開発環境も提供し、雑誌掲載プログラムなどでも数多く使われてきた。当時のスタッフの1人である平野洋一郎氏は現在、アステリア株式会社(旧:インフォテリア)の代表取締役社長となっている。
MZ-2000シリーズ用『ハイドライド』『ハイドライドII』はキャリーラボ制作だが、もともとはPC-8801版『ハイドライド』をベースにキャリーラボが勝手にMZ-2000版を制作し、T&E SOFTに持ち込んだところ採用され、発売になったという経緯がある。スタッフに制作する余裕があったのか、それともどうしてもMZ-2000で遊びたかったのか?
キャリーラボのタイトルはどれも有名だが、その中から「PP3」の通し番号が付いている、プレイした人があまりいないと思われる『フライトシミュレーター&スペースビー』を取り上げてみた。
『フライトシミュレーター』は、ワイヤーフレームで表示されたステージを舞台にゲームを進めていくゲーム。飛行機を格納庫から飛び立たせて目標を爆撃し、着陸させるのが目的だ。当時としては非常に優れた3D表示で、これがのちに有名タイトル『JELDA』などに繋がるというのも頷ける。
『スペースビー』はシューティングゲーム。宇宙バチをキャノン砲で撃退するのだが、飛んでいる宇宙船を数多く破壊すればチャレンジングステージに行けるという、さりげない工夫も凝らされている。ちなみに、これらを開発したのは“ゼロソフト”と書かれていた。
メジャーソフトハウス編 ―日本ファルコム―
マイコン用タイトルを積極的にリリースしたソフトハウスの雄
同社HPによると、設立は1981年3月。同年7月にはコンピュータランド立川を設立し、1982年6月からマイコン用ソフトの制作・販売を始めたとのこと。今や『イース』シリーズや『軌跡』シリーズで有名だが、初期はアドベンチャーなどを数多くリリースしており、タイトルとしては『ホラーハウス』『狂気の館』などがある。
シミュレーションゲームには木屋善夫氏が制作した『ギャラクティック・ウォーズI』のほか、ソ連との戦闘を描いた『北の脅威』、ほかにもゴルフや麻雀も発売していた。また、『スタートレーダー』に先駆けること6年、コクピット視点の3Dライクなシューティング『コスモファイターII』も登場させている。
アドベンチャーゲームブームの頃は、『ホラーハウス』『モンスターハウス』『狂気の館』『異次元からの脱出』といった、骨太な作品をリリースしていた。
なかでも『異次元からの脱出』は、テープ版でありながらロードは最初の1回のみ。それでいてエリア数は数百にも及び場面間を自由に移動できるという、まるでディスク版で遊んでいるかのような快適さがあった。効果音も入っており、価格も3,800円だったのだから、ファンにならないはずがない。
ほかにも、マイナー機種であるPC-8001mkIIにアクションゲーム『バードランド』、FM-7用に本格的近未来ウォーシミュレーションゲーム『SSGN』などを発売するなど、ジャンルとしてはバラエティに飛んでいた。