ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

名作ソフト一網打尽「アステカ」シリーズ ~永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記~

永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記

 連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記」(著:佐々木 潤・レトロPCゲーム愛好会)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。

 今回取り上げるページは、“名作ソフト一網打尽「アステカ」シリーズ”だ。なお、書籍版では画像はモノクロだが、諸事情により本記事では一部カラーや別の写真を掲載している。


名作一網打尽「アステカ」シリーズ


日本ファルコムが放った名作アドベンチャーゲームシリーズ第1弾は、リアルなCGを瞬間表示


リアルなグラフィックに驚かされるが、アドベンチャーなのでコマンドを入力して進めていく。画面数はそれほど多くはないものの、なかなか手強い作品に仕上がっている。画面は、『デーモンズリング』と同じく瞬間表示。

 80年代といえば、日本ファルコムが飛ぶ鳥を落とす勢いでヒット作品を生み出していた時代。その最中に誕生した「アステカ」シリーズは、アドベンチャーゲームでありながら知名度も高く、日本ファルコムの名作タイトルだったといえる。

 1985年に発売された『アステカ』は、南米メキシコにあるパレンケの町と周囲を舞台に、アステカ文明の謎を解くために冒険を進めていくというアドベンチャーゲームだ。

 約1年前に発売された『デーモンズリング』と比べて、さらに早くなった画面瞬間表示、そしてデジタイザで取り込んだと思われる女性のCGをウリとしていた広告が印象深い。

 ゲームは当時らしくコマンド入力式なので、画面情報から重要なキーワードを思いつけるかどうかによって難易度は変わる。とはいえ、アイテムを“カウ”ことばかりに慣れていると、このゲームでは重要な“ネギル”を思いつかないため、なかなか難しいかもしれない(笑)。

 それにしても、今になって画面を見てみると、グラフィックのクオリティがバラバラなのが不思議だ。すべてデジタイザで取り込んだCGにすると、容量の問題があったのだろうか、とつい勘ぐってしまう。当時プレイしていたときは気にならなかったのだから、そう思うのも時代の流れなのかもしれない。

 なお、本作発売時点で『アステカ』はシリーズ化が決定されており、そのことが、『チャレンジ!! パソコンアドベンチャー・ゲーム』(電波新聞社)の『アステカ』ページに記載されていた。


シリーズ第2弾では、コマンド入力方式からアイコン選択方式へ進化

この2作品で「アステカ」シリーズは幕を閉じ、同時に日本ファルコムのアドベンチャーゲーム史も終わりを告げる。以降、ファルコムはRPGへと舵を切り、80年代を駆け抜けていく。

 その翌年、86年10月に登場した『太陽の神殿 アステカII』は、『アステカ』の続編となっているものの、大幅なパワーアップを果たしている。

 舞台はやはり南米メキシコで、古代遺跡チチェン・イッツァにて太陽の鍵を探すのが目的だ。前作のコマンド入力式から一転、アイコンを選択してアクションを起こすことになる。

 2つのアイコンを組み合わせる行為を特定の場面で行わないといけないなど、難易度は前作よりも明らかに上昇。ハマりのシーンもあるため、かなりのプレイヤーがヒントの書かれたパソコン雑誌のお世話になったことだろう。

 特筆すべきは、今作で導入されたBGMだ。オープニングだけでなく、ゲーム中やエンディングでアドベンチャーゲームとは思えないほどのハイクオリティで奏でられる曲は、当時も各所で話題になった。

 場面移動はフィールド上に配置された小さな主人公をテンキーで移動させるのだが、オリジナルのPC-8800シリーズ版ではマップ全体が15×15の大きさがあり、適当に歩いていると迷子になってしまう。のちに移植されたMSX版では、6×6に縮小され、どこにいるのかわからなくなることはなくなった。

 ちなみに、本作に登場する“生け贄の泉”と、条件を満たしていると落としてしまう“金の台座”が、のちの同社作品『イース』にも登場することは、有名なエピソードだろう。

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