ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

名作ソフト一網打尽「夢幻の心臓」シリーズ ~永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記~

永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記

 連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記」(著:佐々木 潤・レトロPCゲーム愛好会)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。

 今回取り上げるページは、“名作ソフト一網打尽「夢幻の心臓」シリーズ”だ。なお、書籍版では画像はモノクロだが、諸事情により本記事では一部カラーや別の写真を掲載している。


名作一網打尽「夢幻の心臓」シリーズ


2Dフィールド移動と3Dダンジョン探索を両立、後世に多大な影響を与えた3大RPGの1作!


まだRPGが珍しかった頃のタイトルのためか、敵を倒し続けて経験値を稼ぎレベルアップして強くなる……というスタイルではない。倒す敵、逃げる敵を見極めて戦闘を行う必要があった。力押しが効かないので、今のプレイヤーは苦労するだろう。

 1980年代、「ドラゴンスレイヤー」シリーズ、「ハイドライド」シリーズと並び、国産3大RPG といわれたタイトルが、「夢幻の心臓」シリーズだ。

 特に『夢幻の心臓II』の全体マップやトリックなどが、のちにファミコン向けに発売されたロールプレイングゲーム『ドラゴンクエスト』に酷似したものがあったため、一部では“ドラクエは『夢幻の心臓II』のパクリでは?”という噂も出たほど。真偽のほどは定かではないが、当時「夢幻の心臓」シリーズは、それだけ大きな影響を持っていたという説明にはなるだろう。

 シリーズ1作目となる『夢幻の心臓』は、1984年に登場する。40000日以内に“夢幻の心臓”を手に入れることが目的の、ロールプレイングゲームだ。

 マップは上から見た2D視点、ダンジョンは『ウィザードリィ』のような3D視点という、その後のロールプレイングゲームのお手本になるようなシステムを採用している。

 また、RPG黎明期ということもあり、今では珍しい数々のユニークな面も持ち合わせていた。その1つが、レベルアップの概念がないという点。別の手段を用いて主人公のパラメーターをアップさせ成長させる、珍しい手法を採用している。倒しても得られるものが少ない敵が数多く出現するので、意味のある相手のみと戦いほかは逃げるという戦法も、今ではなかなかないシステムだ。

 なんといっても、ラスボスが存在しないというのも珍しいだろう。戦闘部分に関しての難易度はやや高いものの、謎解きについてはヒントもそれなりに配置されているので、理不尽というものではなかった。とはいえ、敵を倒してレベルアップさせるという常識が通じないので、今プレイすると苦労することだろう。


適切な難易度と遊びやすくなったシステムにより、名前を一躍有名にした『夢幻の心臓II』

フィールドには視界という概念があり、地形や建物の影に隠れると見えなくなるため、どこから敵に襲われるのかがわからない怖さがあった。また、とある場所でスペースキーに重しを載せて経験値を稼ぎまくった思い出を持っている人も多いはず。

 その翌年、85年に発売された『夢幻の心臓II』では、新たに視界という概念が導入されている。山の陰やドアの向こう側は見えず、回り込んだりドアを開けない限り、視界がクリアにはならない。そのため、あまりマップが複雑ではなくても十分難解に思えた。

 また、前作では非常に遅かった移動や戦闘が改善され、とても軽妙に動くようになったのが嬉しい改良点だ。85年に登場した作品としては見た目は地味だったが、サクサクとプレイできるというのは大きなポイントであり、木屋・内藤両氏が揃って“よくできたRPG”に挙げていたといわれているほど。

 ストーリーは、1作目で“夢幻の心臓”を手に入れた主人公が死後の世界から蘇り、もとの世界へと戻った……と思ったら、なんとそこは暗黒世界「エルダーアイン」だった。主人公はもとの世界へと戻るために、エルダーアインを支配する暗黒の皇子打倒を目指すのだ。

 ゲーム自体は前作から比べると難易度が下がり、それほど苦労することもなくなった。むしろ、キャラクターを育てるためにスペースキーに何を載せていたか、などの話のほうが有名になったほど。ただし、仲間にした一部のキャラには賃金を支払う必要があったり、パーティーメンバー分の食料を消費する要素が含まれていたため、放置しすぎて食料0や所持金0といった悲惨な目に遭った人も多いのではないだろうか(笑)。


ファンタジー世界から、メカやロボットなど何でもありの世界観で冒険が繰り広げられる『夢幻の心臓III』

前2作までとは雰囲気も変わり、今風(といっても80年代後半)の中身になっている。戦闘はオート、視界の概念もダンジョン内のみなど、今までの苦労を思えば一気に簡単になった。ただ、発売時期が遅かったのは否めない。

 『夢幻の心臓II』からしばらく経過した1990年、年明け直後にシリーズ3作目として『夢幻の心臓III』が登場する。

 1作目では、死の間際に神に向かって暴言を吐いたことで天国でも地獄でもない「夢幻界」へと落とされ、そこから生き返るために戦った。2作目では「夢幻界」から蘇ったものの、そこはもとの世界ではなく暗黒世界「エルダーアイン」だったために、2度目の冒険に出る。

 そして『夢幻の心臓III』では、もとの世界「ルイザード」に帰り着いたものの、主人公が暮らしていた時代から遙か数十億年が経過した変わり果てた世界が舞台だ。そのため、ファンタジー系からロボット系、ホラー系など多種多様な敵たちが登場する。

 戦闘は従来と違いタクティカルバトルになったものの、自動的に行われてストレスも少ないので、サクサクとキャラが育っていくのがよかった。マップも、地上部分での視覚効果はなくなり、ダンジョン内に限定されたため、苦労が減ったのもありがたい部分だ。主人公の胸に宿った“夢幻の心臓”についての事実も明らかになるなど、シリーズ集大成として秀逸な仕上がり具合だった。

 しかしながら、クリスタルソフトはこの年の秋にT&E SOFTに吸収合併され、続編の伏線を張ったままシリーズは3作目で終了となってしまう。

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